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お通しとは お通しのシステムと地域別の呼び名について解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/07/23
更新日:2022/11/08
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目次

居酒屋や小料理店で最初に出てくる「お通し」は、日本独自のもので、気軽につまめるような一品料理が代表的です。
お通しのシステムは、お店側にもお客様側にも、様々なメリットがあります。この記事ではなぜお通しを出すのかなどについて紹介いたします。記事を通して、「お通しの意義」や「地域による呼び方の違い」を知ることができます。
 なぜお通しを出すのか
お通しは、「入店したお客様を席にお通しした合図」もしくは「お客様の注文内容を厨房にお通しした合図」としての役割がありました。
席にお通し料理が置かれていると、お店のスタッフは、お客様が料理の注文待ちであることを把握できます。
お通しのシステムは、日本では暗黙の了解になっており、現在も居酒屋や小料理店で広く浸透しています。

お通しとは

お通しは、お客様が席に着いて注文をした後に出てくる簡単な料理です。メニュー表にも記載がない料理のため、出てきてからどのような料理かがわかります。
お通しの料金には、席料の意味も込められています。金額は、相場はあるものの、お店側が自主的に決めることが可能です。海外にはない「お通し」のサービスは、外国人観光客が日本に来て驚く文化の一つでしょう。日本人でも、お通しのシステムについて知らないお客様は戸惑うこともあるのです。お通しに馴染みがないお客様とお店の間で、お通しの件でトラブルになった事例もあり、お店側は対策を取っておく必要があります。特に、インバウンド需要が高まり多くの外国人観光客が日本の居酒屋や小料理店を訪れる時期は、注意が必要です。起こりうるトラブルを事前に想定して、解決策をお店のスタッフで共有しておけば、いざという時にも冷静に対応することができます。お通しに関するトラブルとして挙げられるのは、以下が代表例です。

  • お通しについては理解していても、好みではない料理のため返品したいと言われる
  • 注文していない料理が運ばれてきたことにクレームを付けられる
  • お通しを無料サービスだと勘違いしており、会計時にクレームを付けられる

お店側は、多言語に対応した外国人観光客向けの「お通しについての説明書」を作成しておくなどの準備をしておくことで、理解を得やすくなります。 説明書の内容には、「お通しには席料としての意味があること」「お通しは、お店のおもてなしであること」を記載しておくと良いでしょう。
海外の飲食店でも席料を支払うことは浸透しています。席料を取られるだけでなく、小料理が付いてくるのは、お得であると捉える考え方もできます。
また、お通しにはお客様にもメリットがあり、お店からのおもてなしサービスであることをわかりやすく伝えることができれば、日本の飲食文化を好印象にすることも可能です。

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 地方により言い方や由来に違いがある

お通し

「お通し」は、主に関東で使われる呼び方です。

突き出し

関東では「お通し」と呼ばれるものを、関西では「突き出し」と呼んでいます。
お通しは注文をしてから運ばれてくる料理である一方、突き出しは席に着いた時点で提供されるのが、両者の異なる点です。
「突き出し」と呼ばれるようになったのは、お客様の注文に関係なく突き出すメニューであるからと考えられています。
しかし、現在は「お通し」と「突き出し」は、区別がなく、意味合いは同じものと捉えて差し支えありません。

先付け

先付けは、コース料金に予め含まれている前菜のことを指します。お通しや突き出しとは異なるものです「先付け」という呼び方は、懐石料理の「向付け(むこうづけ)」が由来となっています。
懐石料理は、ご飯と汁ものに加え「向付」と呼ばれる料理が出されます。「向付」は本膳のおかずを指し、「向付」より先に出される小料理を「先付け」と呼んでいました。
懐石料理の派生で、酒を楽しむ「会席料理」が始まり、現在の会席料理での最初の料理も「先付け」と呼ぶようになったのです。

お通しの料金(平均)

お通しの料金の相場は、300円〜500円くらいの金額となっています。
しかし、お店によっては200円以下の安価な場合や1000円以上の高価な場合もあります。

お通しを出すメリット

店の顔として基本の味を伝えられる

特に新規客にとっては、最初に食べる料理でお店の味を知ることができます。
一品目に食べる料理の味は、お客様にとって印象に残るでしょう。
様々なお店を回っているお客様は、お通しを食べただけでお店のレベルがわかる場合もあります。
味の良いお通しを提供することで、お店を気に入ってもらうことに繋がるでしょう。

新商品として試す

お客様の需要を反映して新商品を加えていくことも、お店の経営には欠かせません。
新商品の試作をお通しとして提供し、お客様から意見をもらうのは、今後のメニュー考案に有効です。
評判の良いお通しは、通常のメニューに加えるのも良いでしょう。
余りがちな食材を有効活用して新商品を試作することで、食材の廃棄を予防することにも繋がります。

次の料理の繋ぎ

提供までに時間の掛かるメニューを注文したお客様は、特に待ち時間が長くなってしまいます。
お通しは、お客様の小腹を満たして、待ち時間の長さを感じづらくなるためにも有効です。
しかし、お通しを単なる繋ぎとして考えるか、お店のPRを込めるかで今後の客の獲得状況も変わってきます。
手抜きのように思われてしまう簡素なお通しではなく、ひと工夫凝らしたようなお通しは喜ばれるのです。
お店側が決めて提供する料理であるからこそ、お客様は、お通しに込められるお店の熱意も期待しています。
 お客様の中には、お通しを楽しみの一つにして来店する人もいます。
お通しにも旬の食材を入れたり、他店にはない独自性を出すことで、お客様にお店を気に入っていただくことにも繋がるでしょう。

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まとめ

日本文化として強く根付いている「お通し」ですが、知らない人からは否定的な意見が出てしまう側面もあります。
「お通しのシステムを知らないことによるトラブル」が発生しやすいことは承知の上で、予め対策をとっておくのが良いでしょう。
お通しについて多くの人に正しく知ってもらうことで、居酒屋や小料理店の安定した経営にも繋がります。
繋ぎとしての役割だけでなく、お店の新規客やリピーターの獲得にも影響する「顔」の位置づけであることも意識しておきましょう。

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