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焼き鳥について その歴史と種類を解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/08/11
更新日:2022/11/30

目次

私達の生活に根付いている“焼き鳥”は、今では当たり前に食べるものの、昔の日本では肉類を食べることですら法律で禁止されていたこともありました。文化とともに、肉類が許され、調理方法が工夫され、現代の焼き鳥に至ります。現在は、鶏肉以外にも、豚肉・牛肉、野菜など様々な種類があり、その数は70種類以上です。
今回はその焼き鳥(やきとり)についての歴史や発症、種類、それぞれの部位や特徴について解説いたします。

焼き鳥はどんな種類があるか

日本人の肉食文化を辿ると、675年に「肉食禁止令」が出されており、それまで農繁忙期での肉食は禁止されていました。ただ、日本の隅々まで「肉食禁止令」を伝達する手段もない為、地域によっては食べられていたともいわれています。
焼き鳥については諸説ありますが、平安時代頃から食べられており、その頃は鶏でなく雀やうずらを狩猟して食べていたといわれています。食べ方も串に刺したものでなく、単に炙って焼いた肉だったようです。1689年刊行の「合類日用料理抄」で、串に刺した「やきとり」の描写がはっきりと書かれ、その頃が焼き鳥の始まりともいわれています。
現在のような、やきとり屋が登場したのは明治時代頃で、鶏肉・豚牛の串焼きを扱う店も増えていました。しかしながら、昭和初期頃までは鶏は高価な食材であった為、やきとり屋も高級店がほとんどでした。
焼鳥は昭和30年代後半に、アメリカからブロイラー(短期間で肥育できるように品種改良された若鳥)が導入されたことで一気に普及したといわれています。
また、焼き鳥には、焼き鳥・やきとりの漢字・ひらがな両方での表現があります。
一般的に「焼き鳥」は鶏肉を串に刺したもの、「やきとり」は鶏肉以外の豚・牛・馬などの肉や内臓を串にさしたものと表現されることが多いです。

定番焼き鳥の種類を紹介

焼き鳥には、定番のものから鶏以外を使ったもの、野菜系など沢山の種類があり、その数は70種類以上といわれています。

定番の肉類

・もも
鶏のもも肉で、焼き鳥の定番。もも肉は、焼き鳥以外でも様々な料理に用いられます。
もも肉を更に細かく分類すると、アキレス(とうがらし)、おび、ソリ(ソリレス)に分類可能です。
・むね
鶏のむね肉。さっぱりとしており、低脂質・高タンパクであるため、ダイエット食材としても人気が高いです。
・ささみ
むね肉の内側で胸骨に沿ったところに左右1本ずつある部位。
鶏肉の中で最も脂質が少なく、高タンパクで低カロリーです。
・手羽
鳥の羽の付け根部分の肉で、上腕の部分を手羽元、残りが手羽先。
手羽先は、ゼラチン質(コラーゲン)と脂質が豊富で、翼の他の部分と比べて旨味が強いのが特徴です。
対して手羽元は、脂質が少なく、手羽先に比べてあっさりとしているのが特徴になります。
・せせり
鶏の首の肉。頻繁に動く鶏の首を支えている筋肉のため、身がしまって歯ごたえがあり、ほど良く付いている脂肪のジューシーさが魅力です。
・つくね
鶏のひき肉を丸めた焼き鳥。形は様々で、タレで食べることが多いです。

希少部位の多い内臓系

・ボンジリ
尾骨の周囲にある肉。運動量が多い筋肉ゆえ適度な弾力があり、脂も多いので噛むとジューシーで甘みがあります。
・レバー
鶏の肝臓のことで、「きも」とも呼ばれます。独特で濃厚な味わいで、栄養価の高い部位です。
・砂肝
鶏には腺胃と筋胃の2つ胃があり、そのうち筋胃のことをさします。味は淡泊で、こりこりした食感が特徴です。
・軟骨
胸にある軟骨「やげん軟骨」と、膝にある軟骨「ゲンコツ」の2種類があります。
やげん軟骨は、1羽から1つしか取れない希少部位。コリッとした食感で脂が少なく、ゲンコツより柔らかです。
ゲンコツは、膝の軟骨であるため1羽から2個しか取れない部位です。やげん軟骨よりもやや硬く、ゴリゴリとした食感が特徴となります。
・ハツ
心臓のことで、「こころ」とも呼ばれます。
内蔵の部位だが、食感は筋肉と一緒で、クセもなくプリッとした歯ごたえが特徴です。

その他の部位

・かわ
文字通り、鶏肉の皮の部分のことです。デコボコと細かく盛り上がった表面や、独特のプルプルとした食感などが特徴としてあげられます。脂質が多く、100gあたり約50gが脂質で500kcalと高カロリーです。
・もみじ
鶏の足先(主にスネから爪先あたりまでのこと)で、コリコリとした歯ごたえが特徴です。焼き鳥で食べることもあるが、ほとんどはラーメン屋等でダシをとる目的で使用されます。

豚肉系

・タン
豚の舌。先端よりも根本の方が柔らかく脂が多いです。タン先にいくにつれ脂が少なくなり、さっぱりとしています。
ビタミンA、B、鉄などが豊富で栄養価も高い部位です。
・シロ
豚の大腸。豚の内臓の中でも脂が多い部位です。脂の甘みと、噛み締めるほどに出てくる旨味が特徴となります。
・テッポウ
豚の直腸。柔らかいが、シロよりも歯ごたえがあり、噛むほどに旨味が染み出るのが特徴です。
・ガツ
豚の胃。脂質が少なく、タンパク質が豊富です。食感はやや硬めで、鶏の砂肝にちかい食感です。
・豚ナンコツ
豚の気管と食道、声帯、肺動脈、肺静脈などの総称。コリコリとした食感が特徴です。
・豚バラ
豚のばら肉。脂が多く100gあたり35gが脂質です。福岡県の定番やきとりとして知られています。
・カシラ
豚のこめかみや頬。脂が少なめの赤身肉で、味にクセがなく食べやすいのが特徴です。
・ハツ
豚の心臓。鶏のハツと似た、プリッとした歯ごたえがあります。

欠かせない野菜系

・野菜を串に刺して焼いたもの
ししとう、しいたけ、ねぎ、ぎんなん、エリンギ、玉ねぎ、ピーマンなどが定番です。
・野菜巻き
アスパラ巻き(福岡県の久留米発祥のアスパラガスを豚バラ肉で巻いたもの)が代表的でしょう。
その他の具材として、トマト巻き、レタス巻き、エノキ巻き、ねぎ巻き、ニラ巻き、オクラ巻きなどがあります。
いずれの野菜も、豚バラ肉で巻くことが多いです。

その他、牛肉のカルビ・ハラミ・ハツなどを串に刺して提供しているお店もあります。

まとめ

今では当たり前のように流通している肉類ですが、日本では675年「肉食禁止令」が出されるまで、肉を食べることが当たり前ではなかったようです。その中で、焼き鳥は平安時代頃から食べられるようになり、当初は雀やうずらを串に刺して食べていました。それから現代の鶏肉が徐々にメインとなり、様々な部位、鶏肉以外の豚肉・牛肉・野菜なども串に刺して食べるのが主流となりました。
ここ最近では、語呂合わせで8月10日が「焼き鳥の日」と名付けられてもいます。
今では“肉を食べる”という事は当たり前になっていますが、食の歴史や文化に意識を向けて味わうのも良いのかもしれません。
 
参考1:土田美登世/著(2014年)『やきとりと日本人』光文社
参考2:焼き鳥の種類 - 日本焼き鳥協会 (alex-co.jp)

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