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食品開発技術者の仕事内容を解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/07/21
更新日:2022/11/16

目次

食品開発技術者とは、新しい食品やメニューに関する企画や開発、品質管理や研究などを行う専門職のことです。
あまり広く知られている職業ではないかとは思いますが、実は多くの企業で活躍の場がある食品開発技術者。
この記事では、そんな食品開発技術者の具体的な仕事内容や必要となる学歴や資格、採用企業や勤務体系、年収などについてくわしく解説いたします。

食品開発技術者の仕事内容・役割・種類

食品開発技術者とは主に、外食産業や食品メーカーにおいて新しい食品・メニューを作る際、企画や開発、品質管理などに関わる仕事をする人です。
その多くは食品・飲料メーカーやコンビニエンスストア、外食チェーンなどの開発部門に属し、企画開発や品質管理・製造工程に反映するための技術開発などを行います。
例えばコンビニエンスストアで新しくスイーツ商品が発売されることになった場合、
 

  • どのような顧客層に売り込むのか
  • 具体的にどういった商品を作るのか
  • 原材料の選定
  • 配合(レシピ)の作成
  • 商品パッケージはどのようなデザインにするか
  • 賞味期限や衛生品質の基準をクリアするための製造工程

 
など、企画から製造までを幅広く担当し開発にあたります。
これらの企画案に基づき、試作や試食を繰り返しながら企画商品のイメージに近い味を目指します。また原価コストや販売価格、生産ラインの調整など、製造販売における課題をクリアすることも重要な仕事内容のひとつです。
また開発段階だけにとどまらず、生産ラインにおいて品質チェックや製造現場への指導を行うなど、開発後の現場業務に直接携わる場合も少なくありません。
 
食品開発技術者の仕事は、扱う製品によって水産食品開発技術者・清涼飲料開発技術者・乳製品開発技術者などと職業名が定められていることもあります。
「食品開発技術者」と言うと食品開発に関わる技術者をまとめて大きく指し示す言葉となりますが、非常に多分野に渡るため細分化された名称を使用する場合もあるようです。
さらに、企業によっては研究職として活躍するパターンもあります。その仕事内容は品質分析や生産における技術開発など様々なものがあり、直接的に食品に関わるものだけではない例もあるようです。

食品開発技術者になるための資格と方法

次に、食品開発技術者になるための資格と方法についてです。
結論から申し上げますと、就業にあたって特に学歴や資格に規定があるわけではありません。
 
食品開発技術者になる場合の主なルートとしては、学校卒業後に食品や飲料・菓子メーカーなどに就職するのが一般的です。
高校卒業後にそのまま就職する場合、食品関係の高校としては水産高校や農業高校が多いため、必然的に水産・農産関係。また大学や大学院卒業者の場合は、より専門的な知識を必要とする食品化学や栄養学関連が多くなります。
より幅広い選択肢の中から自分のやりたいことに特化していきたいと考える場合、やはり大学や大学院でじっくりと学ぶほうが希望はかなえられやすいでしょう。
もちろん、水産や農業関連の仕事に関わりたいとすでに目的が定まっている人にとっては、より早く就職することで経験と実績を積む選択肢もメリットが大きいと考えられます。
 
また資格とは異なりますが、商品開発を担当する場合、嗅覚や味覚などの鋭い感覚や企画力なども求められます。一般消費者のニーズに刺さる商品を開発しなければならないため、日ごろからアンテナを張って世の中の動きや情報に敏感であることも必須のスキルです。
専門色で技術的な面がイメージとして先行しやすい職業ですが、実際は技術や知識以外の面で必要とされる感覚的な能力も多い仕事だと言えるでしょう。

食品開発技術者になるために必要な学歴・資格

先ほど述べたように、学歴や資格は特に決まったものがあるわけではありません。
しかし現場ではかなり高度な専門知識が求められるため、栄養学、工学、農学、化学系の学科で食品化学や工業化学の知識を身に着ける必要があります。そのため、採用基準も大学・大学院卒の企業が一般的であるようです。
高卒者の場合は、必然的に水産や農業関連の仕事に就業することが多くなります。先に述べた通り、高校で食関連の学校となると、水産高校や農業高校がそのほとんどを占めているためです。
大学や大学院まで進学するとより選択肢は幅広くなります。前述した食品化学や工業化学はもちろん、薬学や生物学など、直接的ではなくとも食の関連分野で学んだ人からの採用がある場合もあります。
また、必須ではないものの取得していれば役立つ資格もあります。
たとえば食品衛生責任者・管理栄養士・毒物劇物取扱責任者・危険物取扱者などがその一例です。
特に管理栄養士・毒物劇物取扱責任者・危険物取扱者は国家資格でもあり、目指す業界によっては需要が高く、優遇される可能性も大いにあります。
たとえば管理栄養士であればメニュー開発をする際、食品の栄養面からの品質分析や研究を行う場面で知識を大いに生かすことができます。
自分がどういった立ち位置で働きたいか? どのような働き方が理想なのか? というイメージを思い描き、逆算して自分なりのルートを探っていくことがポイントだと言えるでしょう。

食品開発技術者の年収

食品開技術者といっても、ここまで述べた通り職種が幅広くばらつきは否めませんが、平均年収としての参考値は550~600万円ほど。しかし大手メーカーや勤続年数、役職によっては700~1,000万円を超えることもあり、給与水準は比較的高いといえます。
やはり大手企業のほうが待遇が良いというのは通説であり、大手メーカーや専門職であればあるほど高所得になる傾向があります。そのため、ひとくちに食品開発技術者の年収と言っても、学歴や所有資格の難易度・希少性に比例すると考えておくとよいでしょう。

食品開発技術者の勤務体系と休日

では実際に働く場合、どういった勤務体系になるかについても解説いたします。
食品開発技術者の多くは食品・飲料メーカーや外食産業などの勤務になることから、「9:00~18:00勤務」「週休二日制の土日祝休み」というような一般的な勤務体系がほとんどです。シフト制や夜間勤務などがある職場はほとんどないでしょう。
なぜなら食品開発技術者は、他部署の担当者と打合せをしたり、連携して研究開発を進めるような場面が少なくないためです。
また生産ラインへの現場指導などが必要な場面もあり、食品開発技術者が単独で別の時間帯に勤務することはほぼありません。
他部署と時間帯や休日が合わなけば、それだけで連携がスムーズにいかない原因となります。そのため一般的な企業で採用される時間帯・休日をイメージしてもらえば、実際の勤務体系と大きくずれることはそうないといえるでしょう。

食品開発技術者を採用する有名な企業

次に、食品開発技術者を採用する有名企業の具体例をあげていきます。
 大手食品/飲料メーカー

  • サントリーグループ
  • 味の素
  • キリン
  • 日清食品グループ
  • 山崎製パン

外食チェーン

  • スターバックスコーヒージャパン
  • ゼンショーホールディングス(すき家など)
  • すかいらーくホールディングス

コンビニエンスストア

  • セブン&アイホールディングス
  • ファミリーマート

このように、業種は違えど誰もが日常で目にする企業の多くに雇用があります。
食品・飲料メーカーやコンビニエンスストア業界であれば新製品の開発、外食チェーンであれば新メニューを打ち出すときなど、食品開発技術者は食関連の企業において欠かせない存在です。
食品や飲料を扱う企業の多くはどこも食品開発技術者を採用し、専門知識に特化したチームでメニューや商品開発にあたっています。

まとめ

食品開発技術者とは、新しい食品やメニューを開発する際、開発や品質、製造工程の管理などに幅広く携わる人を指します。
食品の開発や品質の専門知識を必要とするため、食品化学や工業化学などの高度な専門知識が学べる大学・大学院卒からの採用が一般的と言えます。そのため、水産高校や農業高校を卒業した高卒者よりも大学・大学院卒者のほうが就職先の選択肢は広がるでしょう。
 
就業先としては食品・飲料メーカーや外食・コンビニエンスストアなどの企画開発部門が一般的です。新メニューや新製品の企画開発、また製造ラインの管理や品質チェックなど、働く場所によって幅広い業務内容があります。
食品開発技術者になるためには、特別資格や学歴に規定があるわけではありません。しかし先ほど触れたように、どの企業でもより専門的な知識が必要とされるため、大卒・大学院卒者のほうがやはり必然的に有利ではあります。
また、必須ではなくとも持っていると役立つ資格もあります。管理栄養士・毒物劇物取扱責任者・危険物取扱者などは国家資格のため、特に優遇されやすいでしょう。食品開発技術者の中でも何かに特化した知識や能力がアピールできると、それだけ自分の立ち位置が確立しやすくなります。
 
食品開発技術者を雇用している企業は多く、食品・飲料メーカーではサントリーグループや日清食品グループ、外食チェーンではスターバックスコーヒージャパンなど誰もが知っている有名企業もその中のひとつです。
平均年収は550~600万円ほどですが、上記のような大手メーカー・勤続年数や役職によっては700~1,000万円を超えることもあります。そのため、一般的な年収と比較すると給与水準は高いと言えます。
 
勤務体系や休日も9:00~18:00、土日祝休みというようなところが多く、夜間勤務やシフト制は基本的にはない場合がほとんどでです。食品開発技術者は他部署と連携をとって仕事を進めることが多く、そのため会社の一般的な勤務時間に合わせる必要があるためです。

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