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病院調理師の仕事内容となるための試験概要の解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/09/28
更新日:2022/11/01
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目次

病院調理師とは、病院内の厨房で患者さんに向けた料理を提供することです。
調理に関する業務だけでなく、食器洗いや厨房の清掃、配膳に至るまでの作業を行います。
また、一度に大量の料理を作るだけでなく、患者の体調や病状に沿った献立内容で調理する必要があります。
業務内容が多く、大変なことが多い現場ではありますが、その分やりがいを感じられる仕事でもあるでしょう。本記事では、病院調理師の仕事内容や調理師になる方法、向いている人について詳しく解説いたします。

病院調理師とは

病院調理師とは、入院している患者さんに向けた食事を作る仕事です。
病院内での厨房で調理を行い、食材を切る作業や盛り付け、洗浄、配膳に至るまでの業務を行います。
病院の規模によっては、1度に数百人分作ることもあるでしょう。また、患者さん一人ひとりの健康状態に応じて食事を作るため、全て同じ献立も作るわけではありません。
食べ物の硬さからカロリー制限に至るまで、細かく作り分ける必要があるのです。

病院調理師の仕事内容

病院調理師の主な仕事内容は、入院患者に向けた調理を行うことです。
通常の調理方法とは異なり、患者の症状や治療方針に沿った食事を作るのが病院調理師の役目です。

塩分・糖分制限をしている人や嚥下障害がある人など人によって食べられる食事も異なります。
患者さんによっては、食事内容を間違ってしまうことで命に関わってしまう場合もあります。
念入りな確認作業を徹底する必要があるでしょう。

病院調理師と飲食店調理師の違い

  • 1度に大量の食事を作る必要がある。
  • その日提供する料理はその日のうちに作る必要がある。
  • 仕込みや事前に作り置きすることができないため、残業時間が少ない。


病院調理師は、他の飲食業界とは異なる仕事をこなす必要があります。
また、大人数分の料理を提供する病院の厨房は、大鍋や思い食材を運ぶことが多いため、ある程度の体力や力も必要となるでしょう。

病院調理師の働く場所

病院調理師とよく似た職場が社会福祉施設です。
高齢者施設や障害者福祉施設でも、病院調理師の仕事内容と同じような業務を行います。
高齢者福祉施設では、利用者様に向けて朝・昼・夜の食事を提供する必要があります。
高齢者福祉施設での基本的な業務内容は下記の通りです。

  • 調理業務
  • 食材の発注
  • 点検や検品などの事務作業
  • 献立作成
  • 厨房の清掃・食器洗浄


上記の業務基本として、社会福祉施設においても利用者の体調や健康状態に応じた料理を提供する必要があります。
さまざまな調理形態の食事を用意するため、病院調理師に近い仕事内容といえます。利用者の中には、麻痺などの障害を持った人もいるため、介護職との相談も欠かせません。

そのため、食事しやすい食器の選定なども調理師が行う場合があります。さらに、介護職の厨房では調理師免許を持った人だけではありません。
パートやアルバイト、栄養士、管理栄養士とも連携して調理する必要があるでしょう。

また、調理師は免許を持っていない人への指導や助言なども行います。介護職で用いられることの多い食事内容は下記の通りです。

  • 嚥下症状のある人に向けたペースト食やとろみ食
  • 咀嚼に障害がある人に向けたきざみ食や一口大の食事
  • 腎臓病や糖尿病などの疾患を持った患者への配慮


また、これらの施設では、クリスマスやお正月などの季節のイベントを楽しむ料理も提供する場合があります。
食事を通して利用者に楽しんでもらうための工夫をするのも調理師の仕事です。

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調理師になるには

調理師になるには、主に2つの手段があります。

  • 調理師養成施設を卒業する
  • 調理師試験を受ける


また、調理師は国家資格であり、独学での取得はできません。
上記のいずれかの方法で取得する必要があります。

調理師養成施設を卒業する

調理師養成施設を卒業する場合は、厚生労働省が指定した調理師養成施設を卒業する必要があります。

  • 大学
  • 短期大学
  • 専門学校


上記の3種類があり、1年以上通学する必要があります。
卒業と同時に調理師資格を取得できるため、試験をする必要がありません。

また、在学中に知識を身につけられるため、時間やお金に余裕がある場合は入学を検討してみると良いでしょう。

調理師試験を受ける

社会人や働きながら調理師の免許を取得する場合、調理師試験に合格すれば資格を取得することが可能です。

しかし、この場合は受験資格が設けられ、調理業務における2年以上の実務経験が必要となります。
対象施設には基準があり、大きく分けて以下の4つに部類します。

  • 飲食店を営業をしている店舗(旅館や簡易的な宿泊所を含む)
  • 魚介類販売業(ただし、魚介類を生きたまま販売する営業や競売り業は含まない)
  • 惣菜製造業(和物・揚げ物・酢の物・煮物などを製造する営業施設)
  • 学校給食や病院などの施設(1回20食以上の継続か1日50食以上の調理を行う施設)

※パートやアルバイトの場合は、週4以上かつ1日6時間以上の勤務が原則

調理業務認められない業務は下記の通りです。

  • 喫茶店営業
  • 接客業務
  • 食肉処理、食品製造、飲食の調整
  • 外国の飲食店で充実している場合 など


試験を受けて取得する場合は、対象施設を満たす基準があるか事前に確認しましょう。

●試験概要
調理師試験は、各都道府県で実施している試験です。
全国の多くの地域で会場を設けている場合が多く、マークシートによる四肢択一方式で問われます。
試験の日程や会場などは下記の通りです。

  • 試験日程・・・例年7~12月に実施(都道府県によって異なる)
  • 試験会場・・・各都道府県指定の会場(公益社団法人調理師技術技能センターなど)
  • 試験学科・・・食品学、公衆衛生学、栄養学、食品衛生学、調理理論、食文化概論
  • 試験形式・・・全60問、マークシートによる四肢択一方式


病院調理師に向いている人

病院調理師は、従業員や患者さんとのコミュニケーションも重要です。
調理業務を行うだけでなく、患者さんの元へ直接配膳などの作業も行うため、患者さんと接する機会も多いでしょう。

また、調理現場では、パートさんや栄養士、管理栄養士との連携も大切です。
病院調理師が向いている人の特徴についていくつか紹介いたします。

几帳面な性格の人
病院調理師は、患者さんの命を預かる仕事でもあります。
そのため、物事を一つ一つ確認する人や言われたことをきっちり行う人は安心して調理を任せることができるでしょう。

状況によっては、臨機応変な対応も必要ですが、病院の厨房においてはマニュアルに忠実な人は重宝される傾向にあります。

センスがある人
病院調理師の仕事は、食事を通じて患者さんに料理を楽しんでもらうことも重要です。
そのため、盛り付けの美しさやバランスなどを考えて料理を提供する必要があります。
色彩を意識した料理が作れる人は、患者さんに楽しんでもらえる料理を提供することができるでしょう。

体力がある人
病院調理師の仕事は、体力やある程度の力も必要です。
一度にたくさんの料理を作り、時間に追われて忙しいためきついと感じてしまう人も多いでしょう。

また、厨房の中は熱がこもりやすく、立ち作業がメインです。
力や体力に自信がある人は病院調理師に向いていると言えるでしょう。

給与相場について

調理師業界の中でも、病院調理師は比較的給料が良い傾向にあります。
病院の規模によって違いますが、月20~40万円、年収の場合は300~500万円が相場です。

また、病院調理師の場合は、管理栄養士や栄養士などの資格が求められることが多く、朝・昼・晩の3食食事を作る必要があります。

比較的残業時間は少なく、他の職場に比べて年収も高いと言えます。
しかし、患者さんの食事は休みなく必要なため、勤務はシフト制が多く、場合によっては早朝出勤などもあるでしょう。

まとめ

病院調理師は、調理から食事の提供までを行います。
患者さんの病状や健康状態に応じて料理を提供するため、一度に同じ献立を作るという訳ではありません。

また、病院調理師は食事を通じて患者さんとコミュニケーションを取ることや楽しんでもらうことも重要です。
調理師の資格を取得して、病院調理師として活躍してみてはいかがでしょうか。

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