保育園栄養士辞めたいと思う理由と転職先を選ぶ際の注意事項
目次
保育園で働く栄養士は、給食管理や食育活動を通して、子どもの成長に携わるやりがいのある仕事です。一方で、仕事内容や取り巻く環境から辞めたいと感じる人がいるのも現状です。 この記事では、保育園の栄養士の仕事内容、辞めたいと思う主な理由について解説し、転職先を選ぶ際のポイントを紹介します。
なぜ?保育園の栄養士を辞めたいと思う理由
子どもが好き、食に携わる仕事がしたいといった思いから保育園の栄養士として就職したものの、実際に働いてみると、仕事内容や仕事量、待遇面、人間関係など、職場によってはさまざまな課題やトラブルに直面することもあります。栄養士自身の力では改善を図ることが難しい状況では、辞めたいと転職を考える理由に繋がる場合があります。
保育園の栄養士の仕事内容
給食の献立作成、アレルギー対応
子どもの年齢や成長に合わせて、必要なエネルギーや栄養素が摂取できる献立の作成を行います。保育園には0~5歳の乳幼児期の子どもたちが通っており、離乳食から幼児食まで対応します。離乳食では、子どもの発達に適した食材を使用し、食材の形状にも留意します。献立を作成する際には、栄養バランスを考慮することに加え、子どもたちが食べることに興味を持ち、食事を楽しめる工夫を凝らすことも大切です。
乳幼児期の子どもたちに給食を提供する際に最も気をつけなければならないことは、アレルギーを持つ子どもへの対応です。食物アレルギーは乳幼児がかかりやすいアレルギー疾患の一つで、食物アレルギーの有症率は乳幼児期で最も高くなっています。安心して給食が食べられるように、アレルギーの原因食品を除去した食事を提供します。保育園の職員全体で共通認識を持ち、誤食のないよう徹底して配慮することが重要です。
食材の発注、検品
作成した献立をもとに、必要な食材の発注を行います。納品された食材に間違いがないか、異物の混入がないかなど検品することも栄養士の仕事です。
調理
保育園では、調理員とともに栄養士も調理作業を行うことが多く、調理員とコミュニケーションを取りながら、昼食やおやつの調理をします。保育園によっては夕食を用意する場合もあります。喫食者は子どもたちであるため、子どもが食べやすい大きさや柔らかさに調節する、食事が楽しいと思えるような盛り付けや見た目の工夫する、季節感や行事を意識する、といったことも大切になります。安全に、衛生的に調理することが求められます。
食育活動
保育園における食育活動とは、子どもたちが心身ともに健やかな生活を送れるよう、食を営む力の基礎を育てることをいいます。食育は保育の一貫として、保育士、調理員、看護師などの他の職員や保護者、地域と連携して行います。発達段階に合わせた食育計画を作成し、子どもたちがさまざまな経験や知識を得られる取り組みを実施します。日々の給食そのものが食育の中心となりつつも、栄養士が子どもたちの前で食に関する話をする、一緒に調理をする、畑で野菜を育てるなど、活動内容のアイディアはさまざまです。
作業工程表の作成
作業工程表は、調理の際に、誰が、何を、どのように作業するのかといった調理分担を時間を追って示したものです。効率よく、衛生的に作業するために作成します。
辞めたいと思う主な理由とは
仕事量の多さ
保育園の規模にもよりますが、栄養士の勤務人数は1名であることが多く、1名で栄養士業務全体をこなさなければなりません。仕事内容は多く、多岐に渡っており、献立の作成から、作業工程表の作成、食材の発注・検品、離乳食・幼児食・アレルギー対応食の調理などの給食業務、子どもたちの食事の見守りや食育活動、保護者への対応、おたよりの作成、その他事務作業などがあります。保育士の人手不足から、保育士業務の手伝いを任される園もあります。
一方で、栄養士や調理員の配置人数が多く、適切に仕事分担されている園もあります。直営か委託か、市立か公立かにより業務の範囲が異なることもあります。
仕事量が多い園に勤めている場合、保育園栄養士を辞めたいと考える理由の一つになっています。
待遇面での不満
栄養士の勤務時間や残業、給与などの待遇についても、保育園によってさまざまです。
基本的に日曜・祝日は休園している園がほとんどで、栄養士も休日となります。保育園の開園時間により、土曜日の食事や夕食の用意が必要な園では、長時間勤務になる、出勤時間を調節する、交代制で出勤するなどの勤務時間の違いがあります。人員不足や仕事内容の多い園では、残業しなければ業務が終わらないこともあります。
給与は正社員での年収が250~350万ほどといわれています。一般的な職業と比べ、低い傾向があります。
やりがいのある仕事といえど、給与が低く、仕事内容の割に合わないといった理由から辞めたいと感じる人が多くなっています。
保育士や周囲との人間関係
保育園で働く職員は、保育士、看護師、調理員、事務員などがいます。栄養士が給食の提供や食育を行う上で、他の職員との連携は必要不可欠です。専門職ならではの考え方の違いや性格の違いもあり、円滑なコミュニケーションがとりにくい場合、業務がスムーズに行いにくくなります。職場の人間関係は自分の力だけでどうにかなるものではないため、人間関係に問題があり辞めたいと感じてしまうことは、一般の業種と同様によくあることです。
想像と仕事内容が食い違うケース
保育園によって仕事内容に違いが大きく、想像していた仕事内容と違っていた、やりたいことが実現できない、ということもあります。
栄養士の努力で状況を変えられるのであれば、周囲の人々に働きかけを試みることも必要ですが、改善を図ることが難しい場合は、職場を変えた方が早い、と感じてしまうようです。
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転職先を選ぶとき
仕事内容や条件、環境を確認する
職場によって仕事内容や条件、環境はまったくといっていいほど異なります。仕事を辞めたいと感じる原因がはっきりとしてるならば、転職先の求人情報をよく確認しておくことが大切です。気になることは直接聞き、不安を解消してから転職すると良いです。職場に求めるものの優先順位を付け、自分に合った、やりたいことができる職場か見定めることで、転職してからのギャップをある程度埋めることができます。
幅広い業界を検討する
栄養士と一口に言っても、活躍できる場所は幅広くあります。保育園と同様に子どもたちの食に関わる仕事がしたい場合は、児童養護施設などの社会福祉施設に勤める、学校栄養職員・栄養教諭として学校に勤める、といった働き方があります。
子ども関連以外にも、医療分野で怪我や病気を抱える人々を栄養の力でサポートしたい、栄養指導で直接人と関わりたい、調理を中心に経験したい、食べる楽しさを伝える仕事がしたい、スポーツや美容の分野に関わりたい、研究や商品開発がしたいなど、栄養士として、誰を相手に、どのような仕事がしたいのか、今一度視野を広げて幅広い業界を検討してみることも大切です。
国民の食や健康に対する意識の向上から、今後も栄養士の需要は高まっていき、活躍の場はますます広がっていくと見られます。既存の分野を超えて、新しい分野へ挑戦してみることも面白いのではないでしょうか。
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まとめ
保育園の栄養士は、給食管理や食育活動を行い、子どもたちと関わり、成長を見守ることのできるやりがいのある仕事です。一方で、割に合わない仕事量の多さや待遇面での不満、人間関係の軋轢、仕事内容への不遇感などから、辞めたいと感じる人もいます。転職先を選ぶときは、仕事内容や条件、環境をよく確認してから転職を決めること、幅広い業界に目を向けてみることが大切です。
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