栄養士になるには「栄養士養成施設」を卒業し、国家資格である「栄養士資格」を取得する必要があります。努力の末、国家資格を取得して栄養士として働き始めたものの、様々な理由で離職を考える方は少なくありません。
この記事では、栄養士が仕事を辞めたいと思ってしまう理由、転職の際の選択肢などを解説します。

栄養士を辞めたい主な理由とは

世の中には様々な仕事があり、退職理由も千差万別です。栄養士の主な退職理由は、どのような職種でも上位に入ってくることの多い「仕事量」「低賃金」「人間関係」が主な理由でしょう。
職場にもよりますが、栄養士を職場に配置する人数が全体的に少ないところが多く、一人あたりにかかる負荷が大きくなってしまい、結果的に仕事量が多く激務になっているケースもございます。また職場の人員配置が少ないことから、相談相手なども少なくなりがちで、人間関係がうまく構築できないという状況も発生してしまいます。

仕事量の多さ

栄養士は、一般企業、病院、社会福祉施設、自衛隊、保育園、幼稚園、学校などで献立の作成、調理、栄養管理を行うのが主な仕事です。業種や職場によっては仕事内容に若干の違いはありますが、献立作成や、栄養管理だけでなく、盛り付けや食事指導に加えて、調理師と協力しながら調理業務にも加わるケースがあります。
また、病院や福祉施設、食品製造業など、健康をサポートするための食生活のアドバイスが求められる場所などで活躍しており、栄養士を必要としている職域は非常に幅広いのが特徴です。
結果、業務内容が多岐にわたり、人員配置も少ないことから、一人で抱える仕事量が多くなってしまう傾向にあります。

長時間労働・低賃金

仕事量が多くなる傾向があることから、長時間労働になりがちな上に、賃金も平均値から比べると高いとは言えません。株式会社カカクコムが運営しています、求人ボックスによると栄養士の平均年収は312万円となっております。また公務員栄養士の場合は、定額昇給が定められているため、勤続年数が上がっていくことで昇給が見込めますが、民間の職場では昇給額も多くはないでしょう。
参考：求人ボックス

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人間関係の悩み

栄養士は調理現場の監督のような立ち位置になることが多く、時には年齢の離れた部下に注意をしたり、敬遠される業務の割り振りをしたりする必要があります。調理現場のトラブルの解決をしなければならない立場になっていることもあり、それがストレスにつながってしまう事も。
また、女性比率の高い職場になることが多いため、板挟みになってしまい立ち回りが難しい、すでに派閥が出来ていた・出来てしまった、という悩みもあるようです。

想像していた仕事内容とのギャップ

栄養士の職場は、一般企業、病院、社会福祉施設、自衛隊、保育園、幼稚園、学校など様々です。企業や学校ごとに異なるルールがあり、最初に聞いていた業務内容からかけ離れた業務までこなさなければならない場合もございます。
例えば、職場によっては保育園に配属された栄養士が「調理と献立作成が主な業務で、たまに子供たちと遊ぶこともありますよ」といわれていたのに、実際はほとんどほとんど子供たちのお世話をする時間になってしまっている、というパターンなどもあるでしょう。
また、多くの職場で調理や盛り付け、洗浄、仕込みを行うパート等の人員不足により、栄養士のメインの業務である栄養管理を行いたいにも関わらず、栄養管理以外の業務の比重が多いという現状によって、栄養士としての働き方に悩んでしまう方も多くなります。

転職を考える際の選択肢

栄養士を続けていくか、それとも全く異なる職種へ転職をするのか、悩んでしまった時の選択肢をいくつかご紹介します。

同じ会社内で他職種へ異動

様々な職場で勤務している栄養士ですが、会社によっては他業種への異動も可能です。専門職で採用した社員を、基本的には他職種への異動は考えていないという会社も多いですが、本人の意向をくんで検討してもらえる場合があります。中には、ジョブローテーションという、社員の能力開発を目的に、人材育成計画に基づいて行われる戦略的な異動を積極的に行っている企業も存在します。

幅広い業界を検討する

栄養士は一般企業、病院、社会福祉施設、自衛隊、保育園、幼稚園、学校など、幅広い業界から職場を選択できます。選ぶ業界によって、業務内容も変わってきます。
例えば、病院では医師や看護師、薬剤師などと連携をして、患者さんの病状や栄養状態に合わせた食事提供や退院後の食生活指導を行いますが、自衛隊で働く栄養士・管理栄養士には「特別職国家公務員」の肩書きが与えられ、「防衛技官」とも呼ばれるようになり、野外炊事の献立作成支援などが業務に入ります。
保育園や幼稚園では、子ども達の昼食とおやつを年齢に合わせて献立作成し、季節の行事イベントに合わせたメニューの考案、「食」に対する関心を高めるために子ども達への食育活動を行う事もあります。
今の職場からは離れたいけれど、栄養士という職業は続けたいという場合は、現在と異なる業界を検討してみるという手段があります。

栄養士以外の職種を選ぶ

栄養士という職業そのものから離れたくなった場合は、全く異なる分野での転職活動を行う事になります。栄養士は専門職であり、栄養士になるには「栄養士養成施設」を卒業し、国家資格である「栄養士資格」を取得する必要があります。異業種への転職は、栄養士の国家資格を活用することが難しくなりますので、同じ栄養士への転職以上に慎重に業界選びをしていく必要があります。
異業種・未経験可の求人も世の中にはたくさんあり、異業種転職のサポートを受けられるエージェントなども多数あります。

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現在の仕事について悩んだら

栄養士の仕事が向いているかわからない、このまま働き続けるべきなのかわからない、と悩んでしまったときは、一度立ち止まって、自分自身に問いかけてみましょう。

職場環境が合っているか

栄養士は幅広い業界で求人があるため、労働環境もその業種によって大きく変わります。人間関係や、人員配置、業務内容、今後のキャリアプランなどを客観的に分析した上で、自分が現在の職場で無理せず働けているのか考えましょう。働き始めた時にはマッチングしていた職場でも、ライフサイクルの変化でミスマッチとなっている可能性もあります。
また、同僚や上司に他に栄養士がいる場合は、何歳くらいまで働けているのか見てみると、自分自身の今後を考えていくうえで参考になります。結婚や出産を考えている方は、産休や育休の取得実績も要確認です。

労働条件に納得しているか

勤務時間、時間外労働時間、給与、賞与、福利厚生など、納得して働けているでしょうか。給与や賞与に関しては、勤続年数や実績に応じて、今後の昇給が見込めるかどうかも重要になってきます。採用時に目安となる昇給率が提示されている職場もありますが、勤務状況や実績によって変動する職場も多いです。

自分の目的や希望する将来を明確にする

自分が現在の職場で何を成し遂げたいのか、数年後の未来にどんな働き方をしていたいかを明確にすることで、転職をするのか現状維持をするのかを、自分自身と相談できます。しっかり考えずに、曖昧なまま時間だけが過ぎてしまうと、後々の後悔につながりかねません。

まとめ

栄養士になるには「栄養士養成施設」を卒業し、国家資格である「栄養士資格」を取得する必要がありますが、努力して得た資格を生かして栄養士として働き始めても「辞めたい」と思ってしまう瞬間が訪れるかも知れません。そんな時に、転職先の選択肢がたくさんあることを知っておけば、悩みも軽くなります。
現在の仕事について悩んだら、まずは自分の目的や希望する将来を明確にしましょう。その将来に向かって最善の選択ができるように考えていけると良いですね。

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