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在宅訪問管理栄養士とは 仕事内容や必要資格、給与相場についても合わせて解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/10/11
更新日:2022/12/06

目次

昨今、在宅の療養者や要介護者が増えており、今後は更なる増加が予想されています。そのため、在宅での栄養や食事に関するケアサービスの需要が高まっています。一方で、在宅訪問栄養食事指導が可能な管理栄養士は不足している現状です。

この記事では、在宅訪問栄養食事指導ができる管理栄養士の資格取得や働き方などに関して解説いたします。

在宅訪問管理栄養士とは?

在宅訪問管理栄養士とは、在宅での医療が必要な療養者や要介護者が、住み慣れた自宅にて安全かつ快適な日常生活を送ることができるように、栄養や食事のケアを行う管理栄養士です。医師や看護師、薬剤師など関連するスタッフと連携しながら、在宅医療者の症状や状態に応じた専門的な栄養相談や指導を行うことが求められる職業です。

在宅で療養している人の中には、病院への入院や介護施設への入所を希望せず、自宅で治療や療養を続けることを望む人がいます。そのため、自宅でも栄養バランスが取れた食事をとることができるよう、療養者や家族に寄り添い希望を聞きながらサポートすることが在宅訪問管理栄養士の大切な役割となります。
 
在宅訪問管理栄養士の制度は、公益社団法人 日本栄養士会と一般社団法人 日本在宅栄養管理学会による認定です。2011年に、在宅医療に関わる他の職種との連携を取りながら、在宅療養者の栄養食児童や支援ができる管理栄養士を育成することを目的として、両団体認定の「在宅訪問管理栄養士」制度が始まりました。在宅訪問管理栄養士は、「療養者が在宅での生活を安全かつ快適に継続でき、QOLを向上させることができる栄養食事指導(支援)の技術を備えた管理栄養士」の認定です。

在宅訪問管理栄養士のおもな仕事内容を紹介 

在宅訪問管理栄養士のおもな仕事内容は、在宅療養者の自宅を訪問し、栄養や食事の指導を行なうことです。訪問栄養食事指導には、介護保険サービスでもある「居宅療養管理指導」と、医療保険適用サービスの「在宅患者訪問栄養食事指導」の2つがあります。2つとも医師の指導に基づいて、療養者の自宅に訪問して行います。

療養者ごとの訪問の回数や頻度は、一般的に月1〜2回で、1回の訪問での滞在時間は大体30〜60分です。療養者の食事の状況や栄養状態などについて聞き取りを行うなどして確認し、食生活の問題があれば改善できるよう指導を行います。

指導内容には、食事の管理・偏食や症状を改善するための提案・体重管理などがあります。食欲や食事量、食べ物の好み、嚥下機能の状態などは一人ひとりの療養者によって異なりますので、状態や状況に応じたサポートが必要です。料理が苦手な人には冷凍食品やレトルト食品を使った調理指導をしたり、嚥下機能の低下がみられた療養者には自宅にある調理器具を使ったとろみのつけ方やむせにくいメニューの提案などを行ったりします。また、自宅の近所にコンビニエンスストアしかなければ、コンビニでの食品選びのポイントを教えるなど、臨機応変に対応します。

訪問栄養指導終了後は、その日の内容によって栄養ケア計画の見直しを行います。今後の訪問の継続が必要かどうか、終了時期などの検討も必要です。また、医師や看護師、ケアマネジャーなどと連携し、療養者や療養者を支える家族に寄り添った支援内容を検討します。
 
訪問栄養食事指導の対象となるのは、通院や通所が困難で、食事管理が必要とされる在宅療養者やその家族です。対象となる食事には、腎臓病食・肝臓病食・糖尿病食・高血圧に対応する減塩食など病状に応じた食事制限がある人や、嚥下が困難な人のための流動食、低栄養状態の対応食、がん患者のための治療食などがあります。

在宅訪問管理栄養士のおもな職場となる場所を紹介 

在宅訪問管理栄養士のおもな職場には、以下の2つがあります。

1つ目は病院やクリニック、診療所など医療保険が適用される「在宅患者訪問栄養食事指導」ができる医療機関です。2つ目は、介護老人福祉施設やデイケア、デイサービスセンターなどの通所施設、ケアハウスなど介護保険が適用される「居宅療養管理指導」ができる介護施設となります。

そのほかに、事業所には属さず、フリーランスとして指定事業所と契約をして仕事をする在宅訪問管理栄養士もいます。そして、最近では薬局が在宅患者の訪問栄養指導サービスを始め、管理栄養士を採用するケースもあるのです。したがって、在宅訪問管理栄養士が働ける場所は少しずつ広がりを見せています。

在宅訪問管理栄養士の給与相場について解説 

厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、栄養士の年収は約374万円とされています。

在宅訪問管理栄養士の給与は、医療機関や福祉施設などに勤務する管理栄養士と同等です。在宅訪問管理栄養士の給与とその他の管理栄養士との給与に差がないので、まだ在宅訪問管理栄養士の人数が少なく、認知度が高くないことが影響していると考えられます。高い専門性が求められる在宅訪問管理栄養士の需要は高まってきているので、今後認知度が上がることにより、今以上に需要が高まり、それに伴い給与アップも期待できるでしょう。

 参考:令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省 (mhlw.go.jp) 

在宅訪問管理栄養士になるのに必要な資格について解説 

在宅訪問管理栄養士として働くために必要な資格は、以下の2つがあります。

1つ目は日本栄養士学会の会員であり、日本在宅栄養管理学会の正会員でもある管理栄養士であること。2つ目は、管理栄養士として登録してから5年以上が経過し、病院や診療所、高齢者施設などでの実務経験日数が通算900日以上(週休2日と仮定した場合、3年6カ月以上)であることです。

以上の2つを満たすと認定試験に申請することが可能になります。認定試験を受けるためには事前学習プログラムを受講し、認定試験とレポート審査に合格しなければなりません。

認定試験とレポート審査に合格後、在宅訪問管理栄養士として認定されます。認定資格は5年間有効で、更新の際は研修会などへの参加が義務付けられています。

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在宅訪問管理栄養士のニーズが高まっている理由を解説 

厚生労働省が、高齢者が住み慣れた地域で自分らしく生活できることを目的に、地域ぐるみでサポート体制を整える「地域包括ケアシステム」を推進しており、2025年までの実現を目指しています。この取り組みが進むことで、病院や施設ではなく自宅で過ごす高齢者が増加すると見られているのです。

高齢者が自宅で生活する場合、病院や施設のようにはきちんとした食事管理が難しく、栄養バランスが崩れてしまったり、低栄養状態になってしまったりすることが懸念されます。そのため、在宅訪問管理栄養士が高齢者の自宅にて専門的に食事や栄養の指導を行い、改善することが必要です。今後は、在宅訪問管理栄養士の需要はますます高まっていくことでしょう。

管理栄養士を募集している調剤薬局がありますが、中には在宅訪問管理栄養士の資格取得をサポートする事業所もあります。このような動きが今後広がっていけば、現場で働きながら資格取得を目指すほかに、転職した職場でも資格取得を目指しやすくなります。

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まとめ

在宅訪問管理栄養士について、仕事の内容や資格のとり方など詳しく解説いたしました。
在宅訪問管理栄養士の需要は高まっていますが、まだまだ認知度が低く、人数が少ないのが現状です。しかし、今後はさらに需要が増加し、活躍の場が広がることが期待されています。また、今は他の管理栄養士と変わらない待遇ですが、より専門性が求められる仕事の内容なので、今後待遇が向上することにも期待ができます。

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