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福島県の郷土料理について解説 レシピと特産品も紹介

シェアダイン編集部
作成日:2022/09/30
更新日:2022/12/20
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目次

福島県は東北地方に位置し、北海道・岩手県に次いで全国第3位の面積を有する県です。
南北方向に伸びる山脈や山地によって地形や気候、歴史に違いがあり、3地域に分けられているという特色がある福島県。

この記事では、そんな福島県の郷土料理について解説いたします。

福島県の生産高が高い農産物を紹介

福島県は、農産ではお米、さやいんげん、つるむらさき、きゅうり、桃、りんごなど、畜産では産卵鶏や福島牛、水産ではイワシ、ヒラメなどが生産高の高いものとして有名です。

お米の銘柄としては「コシヒカリ」「ひとめぼれ」「福乃香」、和牛ブランドとしては福島牛が人気が高く、野菜や果物の農業も活発に行われています。特に野菜ではさやいんげん、きゅうりが全国的にも有名。

また盆地では桃、りんごなどの栽培がされており、中でも桃は全国2位の出荷量となっています。特に「あかつき」「黄金桃(おうごんとう)」などは有名な品種で、全国的にも根強い人気があります。

水産についても、同様に活発に行われています。福島県沖の海は南からの黒潮と北からの親潮がぶつかり合い、漁獲の好条件がそろっているという特色がある地域。そのため、いわき市周辺ではサンマやマグロ、カツオなどをとる沖合・遠洋漁業が活発です。また、相馬、双葉地方ではカレイやヒラメを獲る沿岸漁業が中心となっており、年間を通して様々な種類の魚が水揚げされています。

福島県の郷土料理を紹介
いかにんじん

いかにんじんは、100年以上前から家庭で食べられている福島県の代表的な郷土料理です。
するめいかとにんじんを細切りにし、醤油と酒、またざらめやみりんなどで甘辛く味付けします。
常備菜として重宝もされ、特に年末年始に食べられることが多いおかずです。

また北海道の松前漬けとよく似ており、ルーツについても「どちらが発祥なのか」という話題にのぼることが多くあります。諸説あるため真偽のほどは不明ですが、どちらにしても「非常に美味しい」と当時の人たちの間で話題になったことで郷土料理として広まっていったようです。

作り方

  1. 鍋に醤油、酒、みりんを合わせ火にかける。沸騰したら弱火にし、火を止めて冷ます。
  2. するめいかと昆布はキッチンばさみで細く切る。にんじんの皮をむき、こちらも細切りにする。
  3. ジップロックに①と②を合わせて入れ、軽くもんで冷蔵庫に入れる。半日以上冷やす。

ほっきめし

米の生産が盛んな相馬市では、コシヒカリやひとめぼれなどの人気銘柄が多く作られています。出荷額においても、米は市内の農作物の中で最も高いといわれています。

また、福島唯一の潟湖(海の一部が砂し・沿岸洲などの発達で区切られてできた浅い湖)である松川浦を中心としてほっき貝の収穫量が高く、名産地として古くから知られてきました。

この、どちらも特産品である米とほっき貝を合わせてできた郷土料理がほっきめしです。ほっき貝の出汁がごはんに染み込み、うまみたっぷりに仕上がる料理となっています。ほっきめしがよく食べられる時期は6~11月。元々は漁師たちが食べる漁師飯でしたが、次第に家庭にも広まり、日常的に食されるようになりました。

作り方

  1. 米はとぎ、ざるに上げておく。
  2. ほっき貝は中を開いてウロをとり、洗って細かく切る。
  3. ごぼう、にんじんをささがきにして水にさらしておく。
  4. 油を引いた鍋に③の野菜を入れ炒める。全体に火が通ったら醤油、砂糖、酒で味をととのえる。ほっき貝を入れて軽く火を通し、具と煮汁を分けておく。
  5. 炊飯器に米と④の煮汁を入れて水加減を調整し、炊く。
  6. 炊きあがったら④の具を加え、軽く混ぜて器に盛る。

キャベツ餅

あまり有名ではありませんが、郡山市の逢瀬地区では80年以上前から食べられている郷土料理です。
米やキャベツの農家が、「大量にできた米やキャベツを飽きずに食べられるように」という工夫で生み出されたアイデア料理。炒めたキャベツと餅を絡めて食べ、シャキシャキとした食感も楽しめます。

近年はチーズを加えたり、春巻きの皮で包んで揚げたりと現代風にアレンジもされているようです。また、学校給食で出されたり飲食店などでの提供も多く、地元の人にとってはなじみ深い料理となっています。

作り方

  1. 切り餅をお湯でゆで、やわらかくしておく。キャベツはざく切りにする。
  2. 熱した鍋に油をひき、キャベツを炒める。
  3. ②に酒と水を加え、キャベツがやわらかくなるまで火にかける。
  4. 鍋に昆布つゆを加えて味をととのえる。
  5. ①のゆでた餅に④のキャベツを絡め、あたたかいうちに食べる。

鯉のあらい

郡山で鯉の養殖が始まったのは明治時代。郡山の安積原野(あさかげんや)は水の利用に向かず、安積疏水(あさかそすい)が出来るまでは不毛の大地でした。疏水とは新たに土地を切り開いて水路を設け、通水することをさします。猪苗代湖(いなわしろこ)から安積原野まで水路を引いたこの安積疏水は、実に40万kmにも及びます。

完成までには非常に長い時間がかかるため、それまでは市内に作った溜め池を水源として利用していました。そして安積疏水の完成とともに不要になった溜め池が出たため、何かに利用できないかと鯉の養殖に使うようになったことが始まりです。

郡山で養殖された鯉は猪苗代湖の豊富なミネラルで育っているため、臭みがなくみずみずしいのが特徴。そのため、新鮮な鯉をそのまま刺身で食べる「鯉のあらい」は福島の代表的な郷土料理のひとつとなっています。

作り方

  1. 鯉は三枚おろしにし、皮をはいで薄造りにする。
  2. 42℃程度のお湯でさっと洗う。
  3. 氷水でしめる。
  4. からし酢味噌をそえていただく。

じゅうねんぼたもち

福島ではえごまが盛んにつくられており、栽培の歴史は明治時代よりも前といわれています。
えごまは「じゅうねん」の名称で知られています。「食べると十年長生きする」ほど栄養価が高い、また「十年たっても種子を蒔けば芽を出す」ことからこう呼ばれています。

じゅうねんは収穫後乾燥させて保管するため、通年を通して手に入れることができる食材。じゅうねんの品種には白種と黒種がありますが、黒種は白種に比べ含油量が2~3割多いそうです。じゅうねんもちには、この黒種を使って作ります。

作り方

  1. じゅうねんをフライパンで炒る。ゆすりながら火にかけ、2~3粒くらいはじけたらすり鉢で粘り気が出るまでする。
  2. すったじゅうねんに砂糖、塩、醤油を混ぜて調味する。
  3. ゆでた餅にじゅうねんをからめる。

まとめ

日本で第三位の面積を有する福島県。安積原野などの豊かな自然を生かした農畜水産が特徴で、お米の生産量や魚の漁獲量が多い東北地方の県です。
猪苗代湖の豊富なミネラルで育った養殖鯉は臭みがなく新鮮なため、福島で広く愛されています。
自然と地形の特色のかけ合わせで生まれた背景を持つこのような食文化は、まさに郷土料理の特色といえるでしょう。

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