宮城県の郷土料理について解説 レシピや特産品も合わせて紹介
目次
宮城県は、北上川や阿武隈川などの大きな川を有し、西の県境一帯には標高1,000m以上の奥羽山脈、中央から太平洋側にかけては標高100m以下の仙台平野が広がる自然豊かな県です。
この記事では、宮城県の郷土料理について解説いたします。
宮城県の生産高が高い農産物を紹介
宮城県で生産高が高い農産物や畜産、水産をご紹介いたします。
農産物では米・枝豆・梅・りんごなど、畜産では仙台牛(黒毛和牛)が有名です。
また、水産では金華サバ・さんま・ふかひれ・牡蠣などについて、日本でも有数の生産地となっています。
農業、畜産業、水産業の生産高について、全国ランキング中の宮城県の順位は以下の通りです。
【農業】
- 米:全国5~6位
- 梅:全国7位
- 枝豆:全国13位
- りんご:全国9位
【畜産業】
- 仙台牛:全国10位 ※和牛肉の生産量として
【水産業】
- 金華サバ:全国4位 ※サバの漁獲量として
- さんま:全国3位
- ふかひれ:全国1位
- 牡蠣:全国2位
東北地方で最も面積の広い仙台平野は、河川による沖積作用で形成された沖積平野です。沖積平野は肥沃な土壌であることから、宮城県では古くより稲作中心の農作が盛んに行われてきました。
宮城県の代表的なお米の銘柄には、ササニシキ・つや姫・ひとめぼれなどがあります。お米の生産高が多いことから、日本酒の製造が多い県でもあります。
仙台牛は和牛ブランドとして名が上がることも多く、黒毛和牛の中でも全国的に人気の高い品種です。
また金華サバとは、宮城県石巻市沖にある金華山という島周辺で獲れたサバのこと。金華山周囲に生息して回遊をせず、決まった時期に獲れた大型のサバにのみ、「金華サバ」のブランド名をつけることができます。
宮城県の郷土料理を紹介
宮城県の郷土料理をご紹介します。
具材たっぷり「仙台雑煮」
仙台雑煮は江戸時代末期から食されている郷土料理。
仙台雑煮の大きな特徴は、お椀からはみ出すほど大きな焼きハゼです。その他にもハラコ(いくら)、仙台せり、おひきな(大根、人参、ごぼうの細切り)などの具材が乗っており、一般的な雑煮と比べても豪華さや見た目の美しさが特徴といえます。
おひきなは各具材を細切りにして湯通しし、一食分ごとに外気にさらして凍らせます。凍らせることで味が染みやすくなる工夫ですが、近年では冷凍庫を使う手法が一般的です。
<作り方>
- おひきなを作る。大根、人参、ごぼうをそれぞれ細切りにし、さっとゆでて凍らせておく。
- 焼きハゼを鍋で1時間ほど水につけ、そのまま20分ほど火にかけ出汁をとる。
- 水につけて戻した干し椎茸と高野豆腐、ずいきをそれぞれ千切りにする。
- 出汁を火にかけ、醤油、塩、酒で味をととのえたら①のおひきな、③の干し椎茸と高野豆腐、ずいきを加えやわらかく煮る。
- 椀に④を盛り、焼いた餅、いくら、かまぼこをのせて出汁を注いだら焼きハゼを飾る。
観光客にも愛される「ずんだ餅」
お米の生産量が高い宮城県では餅を食べる機会が多く、50種類以上もの餅料理があるとされています。正月や婚礼などの年中行事から農作業の合間など、日常的に食されています。
なかでもずんだ餅は宮城県を代表する餅料理。観光客の目にもつきやすいですが、宮城県では来客用として日常で出されることが多い料理です。
名前の由来には諸説あり、甚太という農夫がつくったという説、伊達政宗公が陣太刃の柄で枝豆を砕いたという説。また、豆を打つ「豆ん打」という音をあらわしているという説などさまざまです。江戸時代末期にはこのずんだが和え衣として定着し、古くから枝豆が使われてきました。
かつては家庭で餅をつくところから作ることが多かったものの、現代ではスーパーなどで購入した既製品の餅を使うことが一般的になっています。また、でき合いのものを購入する機会も多くなった料理です。
<作り方>
- 枝豆を水洗いし、塩を振る。
- ゆでた枝豆を水にさらし、さやと薄皮を取り除く。
- すり鉢ですりつぶす。細かくすりつぶすようにすると食感もなめらかになる。
- すりつぶした枝豆に砂糖と水を加え、ゆでた餅にからめる。
縁起のよい「えび餅」
数多くある餅料理のなかで、ずんだ餅ほどの知名度はないものの家庭ではなじみ深いえび餅。
県北は特に餅料理が豊富で、一度に5・6種類もの餅料理が食卓に並ぶことも少なくありません。
なかでもえび餅は、紅白の美しい見た目が特徴で、正月料理として振舞われるご馳走です。
一般的なえび餅は蒸したもち米に干し海老などを混ぜ込み作ることが多いですが、宮城県では餅に調味した沼えびをそのまま絡めます。
見た目の美しさやインパクトが大きく、晴れの日にぴったりの郷土料理です。
<作り方>
- 蒸した桜エビを醤油、酒で調味する。
- 濡らした手のひらにつきたての餅をとり、丸く形をととのえる。
- 熱いうちに①の桜エビのなかに餅を入れ、からめる。
歴史深い「しそ巻」
しそは古くから現代にいたるまで、日本人に非常になじみのある食材です。
宮城県では仙台味噌が有名です。そのはじまりは藩政時代に伊達政宗公が仙台味噌の製造を推奨したことにより、現代にいたるまで名産品として広く根付いています。この仙台味噌にごまやくるみを入れて練り、青しそで包んで揚げたものがしそ巻です。
もともとはおかずとして食べられていましたが、砂糖などを加え甘い味付けにアレンジされるようになったことから、おやつとしても定着するようになりました。家庭ではお茶受けとして出されることも多い一品です。
<作り方>
- 練みそを作る。鍋に赤みそ、砂糖、小麦粉を入れ、少しずつ水を入れてよく混ぜ合わせる。
- 鍋を火にかけ、へらで混ぜながら2~3分間煮詰める。一味唐辛子を振り軽く混ぜ、バットに広げて冷ます。
- 青じそは軸を落としたら葉の裏側を表になるように置き、②のみそを棒状にのせて手前から巻く。さらにもう一枚の青じそで二重になるように巻く。
- ③の巻いた青じそを3個ずつ爪楊枝で刺し、多めの油をひいたフライパンで焼く。
家庭料理「さんまのきがき」
さんまの漁獲量が多い宮城県には、さんまのきがきという家庭料理があります。
気仙沼の本吉地方では、昔からカツオの漁獲量がとても多く、塩蔵ガツオとして広く流通していました。この塩蔵ガツオの漬け汁を「きがき」と呼びます。このきがきを樽に詰め売り歩く業者がいたほど、当時は画期的でとても美味しいと評判の調味料でした。イメージとしてはナンプラーなどに近く、魚醤の一種です。
その後、イカの塩辛や塩漬けした大根を煮たものを「きがき」と呼ぶようになります。
醸造業があまり発達していなかった当時は醤油は高級品だったため、このきがきが重宝されていました。近年ではきがきの代わりに醤油を使い味付けすることが一般的です。
<作り方>
- さんまは頭を落として内蔵を出し、水洗いして綺麗にする。
- 大根の皮をむき、せんつきでおろす。※ある程度の太さのある千切りにする。
- ②でおろした大根を汁ごと鍋に入れ、さんまを並べて火にかける。
- さんまが煮えたらしっぽの方から手でしごき、身を骨から外して軽く混ぜる。醤油を回し、大根に火が通るまで煮る。
- 大根がやわらかく煮えたら長葱を斜め切りにして加え、火から下ろす。
まとめ
標高1,000m以上の山脈や蓄積平野、太平洋などの豊かな自然を生かした農産、畜産、水産が特徴の宮城県。
中でもお米や仙台牛、金華サバなどは全国的にも有名かつ人気があります。
お米の生産が多たいめ餅料理が50種類以上あるなど、郷土料理にも地域の特産品の特色が強く出ています。枝豆の生産高が高いことからずんだ餅という郷土料理が生まれるなど、特産品同士のかけ合わせで生まれた郷土料理が多いのが特徴です。
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