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フュージョン料理とは その概要や歴史を解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/10/06
更新日:2022/12/20
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目次

世界には数えきれないほどの料理文化が存在します。伝統的な料理は継承されつつも、人々の暮らしや社会の変化に伴い、新たな料理も次々に誕生しています。
「フュージョン料理」は、その名からはあまり馴染みのない料理のような印象を受けますが、実は人々から親しまれている料理がとても多いです。

この記事では、フュージョン料理とは何か、例とともに解説いたします。 

フュージョン料理とは 概要の解説

フュージョン料理とは、様々な国の料理や食材、調理法を融合させた料理のことです。
「多国籍料理」や「無国籍料理」ともいわれます。

フランス料理、イタリア料理、中国料理、韓国料理などの料理は、国の伝統的な文化であり、独自の歴史をもち、特有の食材や調理法が用いられています。一方で、フュージョン料理は、複数の国の伝統文化を取り入れ、かけ合わせた新たな料理です。 

日本では、フュージョン料理は身近な飲食店や家庭でも当たり前に食べられるようになりました。その例として、カレーうどんや明太子パスタは、今や誰もが知る料理で日本食として食べられている料理でありながら、元をたどれば外国の文化と日本の文化が融合した料理です。外国文化を受け入れ、日本人好みにアレンジされて広がっていったフュージョン料理は数多く存在しています。 

「イノベーティブフュージョン」とは?

イノベーティブフュージョンは、国籍にとらわれない、独創的な料理のことを示し、近年、フュージョン料理とは別の新しい料理のジャンルとして分類されるようになりました。 

フュージョン料理は、複数の国の食文化の良いところを融合させた料理であるのに対し、イノベーティブフュージョンは、どのジャンルにも属さない、これまでにない革新的な、新しいスタイルに進化した料理のことをいいます。

イノベーティブフュージョン料理を楽しめる飲食店や惣菜店は増えており、斬新なアイディアに驚かされることも多いです。料理人の技術や知識により、可能性は無限大であり、新たなイノベーティブフュージョン料理が数多く生み出されています。 

フュージョン料理の歴史を解説

国を代表する料理の文化は、各国それぞれに歴史をもっていますが、あらゆる要因で他国からの影響を受けてできた歴史的背景があります。多くの人々が世界を行き来するようになったことで、多種多様な食材や調理法が世界に広がり、独自文化と伝来文化の融合がみられるようになりました。フュージョン料理の成り立ちは多様な文化の国際化から始まったといえるでしょう。 

例として、イギリス料理を代表する「フィッシュアンドチップス」は、白身魚のフライとフライドポテトを一緒に楽しむイギリスの定番料理ですが、白身魚のフライはユダヤ文化、フライドポテトはフランス文化からきています。それぞれイギリスへの移民が持ち込んだ文化が合わさって、イギリスの地で一つの料理となったのです。フィッシュアンドチップスは今でこそ間違いなく「イギリスの料理」として広く知られていますが、文化の融合によって生まれ、時代背景に後押しされて普及していったといわれています。 

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移民大国といわれるオーストラリアやカナダは、様々なルーツを持つ人々が暮らし、人種や言語、宗教などの文化が多様化している国です。食においても同様で、世界各国の本格料理店が多く存在し、バラエティー豊かな食事が楽しまれています。様々な国の文化が共存している土地であるが故に、食文化が融合した料理が一般的に親しまれ、現在も多くの料理や料理店が誕生しているようです。 

アメリカやイギリスのアジア料理店では、いくつもの国や文化からなるアジアをひとくくりにしてアジア料理として提供されていることがしばしばあります。異なる地域の料理を一緒に提供したことで、新たな料理の組み合わせが生まれ、新しい食文化が形成されてきたようです。 

以上のように、文化が融合してきた要因は様々にあり、人々の生活や社会の変化が大きくかかわりあっているといえます。 

フュージョン料理で用いられる手法とその例を紹介

フュージョン料理は、自国の料理に他国の食材や調味料をかけ合わせて作られる場合や、自国の食材を他国の料理や調理方法を用いて新しい形に調理する場合、いくつもの料理文化をかけ合わせて作る場合など様々です。 

以下にフュージョン料理の例を紹介いたします。

タイと日本のフュージョン料理「トムヤムクンラーメン」 

「トムヤムクンラーメン」は、タイ料理の「トムヤムクン」と「ラーメンの麺」をかけ合わせた料理です。
トムヤムクンは辛味と酸味の効いたスープ料理で、具材にはえびを使用しています。

日本ではタイ料理がまだ珍しかった1990年代に、日本にオープンしたタイ料理店で、トムヤムクンとラーメンの麺と合わせるという発想が生み出され商品化されたといわれています。のちに日本の食品会社からカップ麺となって販売され、広がっていきました。 

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インドと日本のフュージョン「カレーうどん」 

うどんやそばの店で、メニューの一つとして用意されていることの多い、「カレーうどん」。
カレーうどんはインド発祥の「カレー」と中国発祥の「うどん」をかけ合わせた料理です。

日本では、古くからうどんが親しまれ、日本の麺文化を支えてきました。
カレーはインドからイギリスを経由し、明治時代に日本に持ち込まれてから普及していったようです。

洋食文化が広がりを見せる中、日本のそば店がカレーうどんを開発したとされています。カレーうどんのスープは和風だしと欧風のカレーを合わせた日本人好みの味で、うどんとの相性も良く人気となり、現在では家庭でも定番の麺料理です。カレーの味付けやトッピングなど様々なアレンジを効かせたカレーうどんもみられるようになりました。

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アメリカ発の寿司「カリフォルニアロール」

「カリフォルニアロール」は、カリフォルニア州ロサンゼルスにある日本食レストランにて、日本人の料理人によって生み出された、巻き寿司です。

今でこそ寿司は海外でも人気の高い料理となっていますが、当初は生魚や海苔に抵抗のあったアメリカ人には受け入れがたい料理だったといわれています。アメリカ人にも馴染みやすいように、具材には生魚を使用せず、アボカドやカニをマヨネーズで和えたものを入れ、海苔はシャリの内側に巻くという工夫が施されたようです。

のちに日本でも珍しい寿司として話題となり、回転寿司店などで販売されるようになりました。現在では、ツナやサーモン、きゅうりなども使われ、アレンジの幅は広がっています。 

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まとめ 

フュージョン料理とは、様々な国の料理や食材、調理法を融合させた料理です。
多様な食文化が国際化したことで普及していきました。
今でこそ日常に溶け込み、自国の料理として親しまれている料理も、様々な要因から文化が融合してできた歴史があります。
フュージョン料理は今後もさらに広がりをみせ、人々の食を豊かにすることでしょう。 

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