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飲食店の事業譲渡について 流れや注意点、売却相場なども合わせて解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/10/11
更新日:2022/12/13
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目次

飲食店を閉店する場合、完全にお店を無くしてしまうことだけが閉店ではありません。
「事業譲渡」という形で、新しいオーナーに大切なお店を経営してもらうことも可能です。
新しいオーナーにお店を任せることで、大切に守ってきたお店を存続し、成功に導くこともできるでしょう。
しかし、飲食店の譲渡には注意点や事前準備も必要です。

本記事では、飲食店の事業譲渡の種類やメリットやデメリット、注意点について詳しく解説いたします。

飲食店の事業譲渡とは?

飲食店の事業譲渡とは、事業や店舗を新しいオーナーに譲渡することです。
店舗そのものだけでなく、お客さまの評価や経営ノウハウなどの目に見えない資産も事業譲渡の対象になります。

事業譲渡の対象は、下記の通りです。

  • 店舗全体(厨房機器、飲食店の内装)
  • 従業員
  • 経営ノウハウ・ブランド力(口コミやメニューなど)

事業譲渡の種類について解説

事業譲渡の種類には、下記の種類が存在します。

  • 事業譲渡
  • 造作譲渡
  • 株式譲渡


それぞれの内容やメリット・デメリットについて詳しく解説いたします。

事業譲渡の概要とメリットデメリット

事業譲渡とは、事業の一部、または事業全てを譲渡することです。
会社の事業だけを売却するため、会社の独立性を損なわないといえるでしょう。
事業譲渡の目的は、組織再編の一環として行われるケースが多い傾向にあります。

一方、債務や債権が移転するわけではありません。

メリット
事業譲渡のメリットは、事業単体を売買できることです。
事業を資産として売買できるため、株式を必要しないことがメリットといえるでしょう。

規模の大きな会社の場合、複数の飲食店を抱えることは珍しくありません。
複数ある事業の中に不採算事業がある場合、事業譲渡を行なって売却益を獲得しながら同時に整理することが可能です。
その他にも経営不振で経営が経ちいかなくなった場合、飲食店を存続させるたもの活用にすることもできるでしょう。

デメリット
事業譲渡のデメリットは、複雑で手間がかかることです。

不動産の名義や各種契約などが白紙になるため、改めて取り直す必要があるのです。
また、事業譲渡は許認可の取り直しも必要になります。
経営者が変わるため、買い手は改めて「飲食店営業許可証」を取り直す必要があります。
上記の手続きには、時間や手間がかかるため、事業譲渡を行う場合は、事前にスケジュールに注意することも大切です。

造作譲渡の概要とメリット・デメリット

造作譲渡とは、新たに飲食店をオープンさせる場合に、以前オープンしていた店舗から内装や設備を譲渡してもらうことです。
内装や厨房などの設備をそのまま引き継ぎたいと考える経営者は少なくありません。

メリット
造作譲渡のメリットは、店の設備に関する資金や改装費用を抑えることができる点がメリットといえます。
新たな設備を新品で揃える必要がなく、初期投資の金額を大幅に抑えることができるでしょう。

また、同じ業態で造作場とを行なった場合、設備を買い揃える時間や改装にかかる時間を削減できるため、お店を早く開店させることが可能です。

デメリット
造作譲渡は、設備が最新のものではないことや場所が限定されてしまうことなどがデメリットとしてあげられます。
中古品を引き継ぐ場合が一般的であり、故障やメンテナンス費用で返って高くなってしまったという場合もあるでしょう。
特に電化製品の場合は、中古品の故障のリスクが非常に高い傾向にあります。

また、造作譲渡を探す場合、場所が限定されてしまいます。
造作譲渡の物件は、以前の経営者の経営失敗が背景にある場合もあるため、立地や集客力などの要因について注目することが重要です。

株式譲渡の概要とメリット・デメリット

株式譲渡は、株式を売買することで、経営権を買い手に譲渡することです。
日本で最も利用されている方法で、比較的知名度が高いといえるでしょう。
会社そのものを売買するため、「会社譲渡」と呼ばれることもあります。

メリット
株式譲渡には、事業譲渡や造作場と違った、以下のメリットがあげられます。

  • 手続きが簡単
  • 従業員の雇用を引きつ次ぐことができる
  • 会社の発展につながる可能性がある
  • 廃業コストを抑えられる


売り手、買い手両方に、メリットがあるのが株式譲渡の特徴です。

デメリット
株式譲渡は、会社の資金に限らず、負債も買い手側に引き継がれます。
抱えるリスクや負債が大きい場合、買い手が見つからない可能性がある点もデメリットとしてあげられます。
また、株式譲渡で経営がうまくいかなければ、従業員との関係や取引先との関係が悪化、混乱する場合があるため注意が必要です。

事業譲渡の売却の相場について解説

事業譲渡価格の算定方法の種類を解説

事業譲渡の売却には、下記の価格算定方法があります。

  • DCF法
  • マルチプル法
  • 時価純資産法
  • 年買法


それぞれの方法について以下に解説いたします。

・DCF法
DCF法とは、将来獲得が見込まれるキャッシュフローの総額を割引現在価格に直して事業価値を算出する方法です。
事業の将来計画によって事業価格が変動するため、合理的な策定が実務上の鍵となるでしょう。


・マルチプル法
マルチプル方とは、上場した企業の株価をもとに事業価値を算出する方法です。
マルチプルとは、上場企業の財務数字に対する起業家りの倍率をさします。


・時価純資産法
時価純資産法とは、会社が有する資産の直合計額から、負債の総額を免除した額を事業売却価格にする方法です。
事業売却の対象資産に、高額の土地が含まれる場合、有用な計算方法といえます。


・年買法
年買法とは、営業利益+直純資産×◯年で事業価値を算出する方法。
時間をかけずに大体の金額を算出したい場合に有用な算出方法です。

事業売却の相場は?

店舗の立地やきぼ業績によって売却価格は変わります。そのため、一概に相場を断言することはできません。
しかし、一般的な売却価格は数百万円から数千万円が多い傾向にあります。

また、飲食店の売却価格を左右する要素は下記によって異なります。

  • 業績
  • 店舗の立地や規模
  • 知名度、ブランド力
  • 従業員数やスキル
  • 設備の充実度


例えば、好立地で知名度の高い店舗の場合、他の飲食店と比べて高い金額で売却できる場合が高いと考えられます。
しかし、施設が古かったり、立地が悪かったりする場合は、相場を下回る可能性が高いといえるでしょう。

事業譲渡をする際に気を付けることを紹介

新しいオーナーに事業を渡す「事業譲渡」ですが、簡単に行えるものではありません。
事業譲渡をする際に気をつけることについて解説いたします。

注意点1:目的を振り返る

事業譲渡をする際は下記のような目的をしっかりと留めておく必要があります。

  • 経営を立て直したい
  • 信頼できる後継者を見つけたい
  • お店を発展させたい


良い買い手に出会えても、譲渡の話が進んでいくにつれて高い売却金額を設定したくなる場合もあるでしょう。
また、本当にこの人に任せていいのか、もっと高く売れるのではないかという欲や不安も出てきます。
本来の目的を忘れないよう、譲渡が進んでも目的を忘れないことが大切です。

注意点2:譲渡の流れ

譲渡の合意が得られたら、事業譲渡契約を締結します。
契約書に記載する内容は、法律で決まっているわけではないため、誰が見てもわかりやすく記載することが大切です。
譲渡資産の内容の細かい部分まで記載すると良いでしょう。

契約が締結後は、資産を引き渡したり、名義を変更したり、取引先とのやりとりがスムーズに行えるよう取り決めたりします。
契約書に記載された手続きが全て完了したら、買い手から売り手に対価が支払われる仕組みです。

まとめ

事業譲渡は経営の問題を洗い出したり、内装状態の確認を行なったり、準備することがたくさんあります。
大切に守ってきたお店は、譲渡後も愛され続けるお店であって欲しいと考える方がほとんどでしょう。
本記事を参考に、デメリットやメリットについてよく理解した上で、事業譲渡の成功に向けて行動していただければ幸いです。

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