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飲食店売却の仕組みをそれぞれ解説 メリット・デメリットをあわせて紹介

シェアダイン編集部
作成日:2022/09/02
更新日:2022/12/13
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目次

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、飲食店の閉店が相次ぎました。
飲食店を閉店、または新たな場所に店舗を移転するとなった時、どのような流れで飲食店を売却すれば良いのか疑問に思う方も多いでしょう。
また閉店と移転、いずれの場合もなるべくコストを抑えて高く売りたいものです。
この記事では飲食店の売却方法から流れ、高く売るためのポイントまで解説いたします。

飲食店の売却の方法にはどのようなものがあるか


飲食店の売却方法には「造作譲渡」、「株式譲渡」、「事業譲渡」の3種類があります。

  • 「造作譲渡」:一般的に「居抜き」と呼ばれています。内装などをそのままの状態で売る方法です。
  • 「事業譲渡」:事業の一部または全てを譲渡する方法です。
  • 「株式譲渡」:株式を売買することで資産などをすべて譲渡する方法です。

「株式譲渡」や「事業譲渡」は「M&A」の一つです。
日本における飲食店のM&Aの場合、株式譲渡が最も利用されています。
そこで「居抜き」と「M&A(株式譲渡)」の概要やメリット・デメリットについて、詳しく解説いたします。

居抜き売却

居抜き売却とは、内装や厨房機器などの設備をそのままの状態で物件を借主に売却する方法です。
居抜き売却のメリットとしては次3点があげられます。

  • 原状回復にかかる工事費用が不要であること
  • 解約予告期間賃料を抑えられること
  • 内装の付加価値による売却益が入ること

居抜き売却は内装を撤去する必要がなく、撤去工事のための時間と費用を節約できることが最大のメリットです。
その結果、解約予告までの期間を短縮できるため、解約予告期間賃料を節約できるメリットもあります。
また厨房やカウンター、調理器具などの内装に付加価値が付き、店舗を空にして売却するよりも売却時に利益が出る可能性もあります。
居抜き売却は費用面でお得でしょう
居抜き売却のデメリットとして次の2点があげられます。

  • 赤字経営が続く可能性があること
  • 店舗や内装などの評判により売れにくい可能性があること

店舗の内装が買手のイメージとマッチしない、店舗の築年数が古い、立地が悪いなどの理由により買手がなかなか見つからないこともあります。
赤字でぎりぎりな状態の経営の場合、買手を早く探す工夫が必要です。

株式譲渡=M&A

M&Aとは企業が会社などを合併することや事業や株式などを買収することを意味します。
その中でも株式譲渡とは、会社が発行する株式の一部または全部を売却することで資産や権利などを譲渡する方法です。
株式譲渡のメリットとして次の3点あげられます。

  • 比較的早期に売却できること
  • 権利、義務、資産などをまとめて売却できること
  • 廃業の必要がなく、会社自体を維持できること

株式を全て売却すると、店舗自体は当然ながら、権利から全ての資産が自動的に買手に移動するため、手続きが容易であり時間をかけずに売却できます。
全ての資産を譲渡するため、他の売却方法に比べて売却益が高くなる傾向があります。
また株式譲渡は廃業をする必要がないため、会社名や従業員の雇用を守りたい場合に最適です。
株式譲渡のデメリットとして次の3点があげられます。

  • 負債を多く抱えている場合、買手が見つからない可能性があること
  • 業者を仲介する場合、費用がかかる可能性があること
  • 譲渡先で経営方針が変わる可能性があること

負債が多いなど不利な条件があると、買手側にとっては負担が増えます。その結果買手が見つかりにくくなります。
また買手がついても、経営方針などが変わり味やメニューなどが受け継がれない可能性があります。
引き継ぎたい味やコンセプトがある方は要注意です。
権利から資産まで全てを譲渡できることがメリットにもデメリットにもなり得ます。

売却方法は居抜きがおすすめとその理由
飲食店の売却方法は「居抜き売却」がおすすめです。
理由は3つあります。
一つ目に居抜き売却はM&Aのようなビジネス絡みの馴染みのない手続きは必要がありません。
二つ目に原状回復などの費用や手間を省いて売却が可能です。
三つ目に内装を撤去しない分店舗自体に付加価値が付き、売却益が出やすいです。
以上の理由から居抜き売却をオススメします。

居抜き売却の流れ

居抜き売却の流れは以下の7ステップです。
「契約書の確認」→「不動産業者との契約」→「現地調査・査定」→「購入者の募集・選定」→「売却条件交渉」→「造作譲渡契約の締結」→「物件の引き渡し」

契約書の確認

原状回復の有無、リース契約の有無、解約予告期間、居抜き売却の可否などを確認しておきましょう。わからないことは貸主に相談しておくことでトラブルを防げます。

不動産業者との契約

飲食店の買い手を探すため、不動産仲介業者と契約します。

現地調査・査定

専門業者による現地調査で、店舗の広さや立地などから売却価格を査定してもらいます。

購入者の募集・選定

売却金額を決定し、物件の購入者を探します。

売却条件交渉

買手希望者が出たら、物件の内覧をしてもらい、売却条件を交渉します。

造作譲渡契約の締結

買手と物件の売買について合意したら面会をし、造作譲渡契約を結びます。

物件の引き渡し

買手から対価を受け取り、物件を引き渡します。

居抜き売却のポイント

居抜き売却のポイントとして売却価格、売却スピード、売却時の注意点の面の3つの観点で解説します。

売却価格

居抜き物件の売却価格を決めるうえで「立地」「清潔感」「規模」の3点が重要となります。
立地:その場所を求める買手の母数が多いほど売却価格は高額となります。
清潔感:築年数が古くても、日々清潔を保っていたお店は買手からのイメージも良くなり値下げ交渉の少ない売却ができます。
規模:広さや部屋の形により買手の数が決まります。個人向けの場合、広すぎるお店は不人気のため売却価格は下がります。また間取りによっても経営のしやすさが変わってくるため価格に影響します。

売却スピード

売却スピードを上げるうえで「同業者へ売却」「実績のある売却業者を選ぶ」の2点が重要となります。
同業者へ売却:同業者へ売却をする場合、話がまとまりやく売却スピードは上がります。イタリアン系のお店を営んでいた場合は買手側もイタリアン系で探すと良いでしょう。
実績のある不動産仲介業者を選ぶ:売却成功率の低い業者と契約した場合、売却までに時間がかかります。業者を選ぶ際は複数の業者で相談することをオススメします。

売却時の注意点

事前準備で行う契約書の確認の段階で、原状回復の有無、リース契約の有無、解約予告期間、居抜き売却の可否などを確認しておきましょう。
居抜き売却の可否について、貸主の承諾は必ず取る必要があるので注意しましょう。
またリース設備が残っている場合、契約書に従って残債を支払うなどの対応をしてください。
店舗の売却にかかる費用について(仲介手数料など)
店舗売却にかかる費用として、貸主への承諾料、売買業者への仲介手数料、リース設備の残債などがあります。
居抜き売却の場合、貸主から承諾料を請求される場合もあります。家賃の2,3か月分が相場です。
仲介手数料は買手側が負担してくれる場合があるため、仲介業者に確認が必要です。
厨房機器などにリース設備がある場合、残債の支払いが必要となります。
お得な居抜き売却にも費用がかかる場面があるので注意しましょう。

まとめ

飲食店の売却について、個人事業主の場合、撤退費用を抑えられる「居抜き売却」がおすすめです。
居抜き売却のポイントや売却にかかる費用を知っておくことで、費用を抑えつつ売却益を出すことができます。
居抜き売却の手続きには7ステップありますが、契約書の確認や売却業者へ相談をしてひとつずつミスの無いように手続きを進めましょう。

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