飲食店における好印象な接客とは ポイントの解説
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飲食店経営を成功させる上で重要なポイントは料理の質とコスパ、内外装のしつらえなどいろいろありますが、サービス業にマストなチェックポイントが接客です。どんなに料理がおいしくても店員の接客が良くなかったら飲食店の成功は望めません。
そこでこの記事ではお客様に好印象をもたれる接客についてくわしく解説いたします。
好印象をもたれる接客とは
お客様に好印象をもたれる接客とは何でしょうか。それを知るためには、来店したお客様がどのような接客を期待しているかを把握しなければなりません。たとえぱフランス料理店と居酒屋とではお客様が期待する接客の要素は異なります。
飲食店を訪れるお客様はその店の雰囲気や料理の種類、価格などに見合う接客を心の中で期待しています。その期待値を上回るサービスを提供することが好印象をもたれる接客のポイントです。
接客は店の評価に直結する
飲食店のマーケティングでは「QSCA」という指標がよく用いられます。「QSCA」とは「Quality」「Service」「Cleanliness」「Atmosphere」の頭文字をとった略号のこと。具体的には以下4項目の指標を意味します。
- Quality 常に品質(クオリティ)の高い料理を提供すること。
- Service 常にお客様第一のサービスを提供すること。
- Cleanliness 常に店舗の清潔さ(クリンリネス)を維持すること。
- Atmosphere 常にお客様がくつろげる雰囲気(アトモスフェア)を構築すること。
接客の要素は「QSCA」の「S」だけではなく「A」と「C」も重要です。「Q」がどんなに高くても「SCA」を怠ると好印象はもたれません。お客様を満足させるには「SCA」の全てを高い水準で達成すること。具体的には以下のポイントをおさえることが大切です。
身だしなみ
身だしなみのチェックポイントとしては、髪や服装が清潔できちんとしていること。髪はきちんと整え、パリッとした清潔な服を着用しましょう。靴の手入れも欠かせません。男性はひげの処理もお忘れなく。女性はメイクを濃くしないこと。香水はタブーです。
腕時計やアクセサリー類は派手すぎないものを選びましょう。また接客スタッフの手はお客様に料理を出す際に必ず注目されます。常に清潔に保ち、ネイルケアにも気を配りましょう。
立ち居振る舞い
立ち居振る舞いの基本としては、まず立ち姿勢は背筋をピンと伸ばして胸をはり、両足のかかとを密着させて、つま先を少し開きます。お客様と向き合う際は相手の目を見て誠実に応対すること。歩くときも背筋を伸ばし、足音を立てないのが基本です。
お子様や小柄な方に向き合うときは腰をかがめて目線が同じ高さになるように心がけましょう。
速さと正確さ
接客で大切なポイントのひとつが速さと正確さ。ただし仕事を急ぐあまり落ち着きのない印象を与えてしまっては逆効果です。飲食店の繁忙時には接客がおろそかになりがちです。多忙でも笑顔を忘れず、落ち着いた気持ちでテキパキと仕事をこなしましょう。
接客を速く正確にこなすには他のスタッフとの連携が欠かせません。ホールとキッチンの両スタッフが連携して仕事をしやすい環境を整え、合理的に能率を高める工夫が必要です。
ホスピタリティ
ホスピタリティ(hospitality)とは「おもてなし」や「気配り」のこと。外食チェーンでは基本的な接客マナーをマニュアル化することで標準化が図られています。それに対してホスピタリティはお客様の要望や都合に合わせて個別に配慮することを意味します。
全てのお客様に均一のサービスを提供することは接客の基本。それに加えて、個々のお客様のご要望に合わせた臨機応変の対応で好印象を与えて信頼を得ること。それがホスピタリティ精神のポイントです。
安定した品質
製造業では安定した品質を維持した製品造りが重要ですが、接客も同じです。お客様によって接客態度が変ったり、サービスに偏りが生じたりすると信頼関係が損なわれます。お客様を差別も区別もしないこと。誠実で公平な対人接客を心がけましょう。
良い接客がもたらす効果
従業員がさわやかな笑顔を絶やさず、てきぱきと気持ちよく仕事をこなしている店は好感度が高まります。その結果として以下のような効果が期待できます。
顧客満足度のアップ
質の良い接客を提供できる店は顧客満足度(CS)がアップします。CSが高い店は客が増えてスタッフは多忙になりますが、収入や評判もアップするのでモチベーションも高まり、接客の質がさらに向上するというポジティブなサイクルが実現できます。
リピーターの獲得
マーケティング施策において顧客の購買行動を分析する際によく用いられるのが「利益の8割は2割の客によってもたらされる」というパレートの法則。売上向上に貢献するリピーター客を獲得することは飲食店経営においても重要なポイントです。
質の良い接客サービスでCSがアップすればリピーターの獲得につながるだけでなく、リピーターとなったお客様の口コミや紹介によって、さらに多くのお客様に店を認知してもらえる可能性が高まります。
接客力の向上
次に接客力を向上させる方法について解説します。接客力の向上をめざす方は、まず手本となるベテランスタッフのスキルを学びましょう。単にまねするのではなく学んだスキルを元に自分らしい接客スタイルを構築することが大切です。
マニュアル、OJTによるトレーニング
接客トレーニングの第一段階は店舗のマニュアルを習得すること。しかしながら、どんな仕事でもマニュアル一辺倒の接客では対応できない事態は起こるもの。そこで新人スタッフ研修などに導入されているトレーニング手法がOJTです。
OJTとは「On The Job Training」の略語で「仕事を介した訓練」の意味。新人教育において実際の業務を体験させながら指導することでマニュアルに頼らず臨機応変に対応できる接客力が身につきます。
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電話対応の仕方
電話がかかったら3コール以内にとりましょう。それがビジネスマナーの基本です。3コール以上かかってしまったら、まず最初に「大変お待たせをいたしました。**(店名)でございます」とおわびをするのが鉄則です。
話すときは明るい声でハキハキと。ただし早口にならないこと。予約の電話などを受けるときにはお名前と連絡先、来店時間と人数などは必ずメモを取って復唱しましょう。電話が終わったら相手が先に切るのを確認してから受話器を下してください。
クレームを避けるためにできること
接客に対するクレームで最も多いのは、オーダーミスと「店員の態度が悪い」という指摘。どちらも接客の基本ができていないことが原因です。このようなクレームを避けるにはスタッフの接客力を第三者の視点で評価する第三者評価制度が必要です。
また飲食店でクレームが発生するのは繁忙時間帯が多く、オーダーミスやお客様を待たせすぎるなどの問題が生じがちです。それらのトラブルを防ぐためにも、ホールとキッチンのスタッフが協力して業務を効率化を図りましょう。
まとめ
接客のよしあしは飲食店経営にマストなチェックポイント。お客様の期待値を上回る接客サービスを提供することでリピーターを増やして利益をアップする効果が期待できます。接客技術の初歩はマニュアルやOJTで身につけましょう。
未熟な接客はミスやクレームの元でもあります。繁忙時間のトラブルを防ぐためにも業務を効率化は重要です。
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