飲食における接客での言葉遣い一覧
目次
飲食店の顔となる接客サービス。お客様に気持ちよく過ごしていただくためには、サービスの質は非常に重要なポイントです。特に正しい言葉遣いができているかどうかはお店の印象を左右します。
この記事では、飲食店の接客における正しい言葉遣いについて解説いたします。
飲食店の正しい接客用語
「バイト敬語」という言葉があるように、丁寧に伝えようという思いから使っていた接客用語が実は間違った敬語である場合があります。間違った敬語は相手に違和感を与えてしまうことがあるため、正しい接客用語を使う必要があります。
なぜ飲食店で言葉遣いが重要なのか
お客様の満足度には、料理が美味しいことと同程度に接客サービスの質が影響します。「味は良かったけど、接客が良くなかったから、もうあの店には行かないかな…」という声はよく耳にします。特に接客担当者の言葉遣いは、お客様が気持ちよく飲食できるかどうかを左右します。例えば、店員のミスで間違った料理を出してしまった時、「すみません間違えました」と言われるのと、「申し訳ございません。すぐにお取り替えいたしますので、少々お待ちいただけますか?」と言われるのとでは、同じミスをしていても言葉遣いの違いで与える印象は全く違います。それほど飲食店にとって適切な言葉遣いができているかは重要な気を付けるべきポイントになります。
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基本の接客7大用語
接客サービス業において基本となる接客用語に「接客7大用語」があります。7つの用語は以下の通りです。
①いらっしゃいませ
お客様を迎え入れる時に使う言葉です。来店してほしい気持ちや来店してもらったことへの感謝の気持ちを込めて使用します。
②かしこまりました
お客様の注文や要望を承知したことを示す時に使う言葉です。「わかりました」「了解しました」よりも丁寧な「かしこまりました」が適切です。
③申し訳ございません
お客様に迷惑をかけた時に使う謝罪の言葉です。「申し訳ありません」よりも「申し訳ございません」を使用した方が丁寧さが伝わります。「すみません」は軽い印象を与えるため、控えた方が良いです。
④お待たせいたしました
お客様を待たせてしまった時や料理を提供する時に使います。待たせてしまい申し訳ない気持ちや待ってもらったことへの感謝の気持ちを込めて使用します。会話の始めに「お待たせいたしました」と伝えてから本題に入るとスムーズです。
⑤恐れ入ります
お客様に対してお願いをする時に使います。会話の初めに「恐れ入ります」と前置きすることで、お客様を気遣うことができ、丁寧な印象を与えます。
他にも、「ありがとうございます」「恐縮です」の代わりに感謝を述べる時に使う場合もあります。
⑥ありがとうございます
感謝の気持ちを伝える言葉で、接客の基本の言葉です。様々な場面で何度も使う機会があります。心を込めて伝えることが大切です。
⑦少々お待ちください
その場を離れなければならない時やお客様を待たせてしまう時に、申し訳ない気持ちを込めて使用します。
以上の7つの用語の頭文字を取って「いかのおおあし」と覚えられます。頭に入れておき、実際に使えるようにしておくことが大切です。
ありがちな間違えやすい言葉遣い
「~になります」「~になっております」
間違った例「お釣りは50円になります」「こちらがハンバーグ定食になっております」
「~になる」とは「変化する」という意味をもつため、不自然な言葉遣いです。正しくは「です」「でございます」と言い切る形が適切です。
正しい例「お釣りは50円です」「こちらがハンバーグ定食でございます」
「~のほう」「~の形」
間違った例「ドリンクのほうはいかがでしょうか」「デザートはこちらから選んでいただく形になります」
「~のほう」は方角を示す時や2つから1つを選ぶ時に使う言葉です。サービスに形はないので「~の形」は不適切で、形式ばった印象も与えます。「~のほう」「~の形」という表現を入れる必要はありません。
正しい例「ドリンクはいかがでしょうか」「デザートはこちらからお選びください」
「とんでもございません」
「とんでもない」でひとつの言葉であり、「ない」を「ございません」に変えるのは不適切です。
正しくは「とんでもないです」「とんでもないことでございます」
「~からお預かりいたします」
間違った例「10,000円からお預かりいたします」
「~から」は「お客様から」「店長から」のように「人から」という使い方が適切であり、「物から」という使い方はこの場合はしません。
正しい例「10,000円をお預かりいたします」
敬語の種類
敬語は相手に対して敬意を示す言葉遣いです。敬語は以下のように3種類に分かれます。
尊敬語
お客様に対して、動作、状態、持ち物などを高めることで、相手への敬意を示す言葉を尊敬語といいます。
例「お客様がいらっしゃいました」「お客様がお越しになりました」「お荷物をお預かりいたします」
謙譲語
自分の動作をへりくだることで、相手への敬意を示す言葉を謙譲語といいます。
例「ご注文をお伺いします」「すぐに参ります」「お荷物をお預かりいたします」
丁寧語
言い方を丁寧にすることで相手への敬意を示す言葉を丁寧語といいます。
「すべて手作りしています」「こちらがお通しです」「お飲み物でございます」
誰を主体にしているかで、敬語の使い方が変わります。場面に合わせて適切に使う必要があります。
クッション言葉とは
お客様へ尋ねる際や、お願いや断りをする際に、要件の前置きとして挟む用語をクッション言葉といいます。伝えづらいことを言う時や不快感を与えないように伝えたい時などにクッション言葉を挟むことで、柔らかく丁寧な言い方になり、お客様へ配慮をしながら会話することができます。
クッション言葉の例として、尋ねる時は「失礼ですが」「差し支えなければ」「もしよろしければ」、お願いをする時は「恐れ入りますが」「お手数をおかけしますが」、断る時は「申し訳ございませんが」「あいにくですが」「大変残念ではございますが」などがあります。
使い方の例は「失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」「お手数をおかけしますが、アンケートにご協力いただけますでしょうか」「あいにくですが、本日は完売いたしました」などです。
電話対応
電話対応の基本の接客用語
お客様が電話をかけてくる理由は、予約やお店の情報確認などがあげられます。電話では相手の顔が見えないため、聞き取りやすいように明るくハキハキと話し、言葉遣いをより丁寧にすることで、良い印象を与えます。
電話対応でも接客7大用語やクッション言葉を活用します。電話では、こちらからお客様に尋ねることが多くなりやすく、電話口でお待たせしてしまうこともあります。顔が見えないからこそ、言葉遣いと声のトーンで、感謝や謝罪の気持ちを表すことが大切です。
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客層や店の雰囲気により言葉は変化する
丁寧な言葉遣いは基本ですが、客層や店の雰囲気に合わせ、柔軟に対応することも必要です。相手がお子様であれば、難しい言葉よりもわかりやすい言葉を選ぶ方が伝わりやすく、ご高齢の方には、長々と話すよりも簡潔に話す方が伝わりやすい場合もあります。失礼にならないようにも配慮し、相手をよく見て話すことが大切です。
店の雰囲気がカジュアルな場合は、堅苦しくなりすぎないように明るくはつらつと話し、格式高い店や静かな雰囲気の店では、落ち着いて穏やかに話すなど、場所に合わせてトーンを変えることも必要です。
お客様がどう受け取るか、相手の立場になって考えると、どう接客すべきかが見えてきます。
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まとめ
飲食店において適切な言葉遣いは、お客様の満足度や店の印象を決める重要なポイントです。
使い方が難しいようにも感じますが、接客用語や言葉遣いを正しく理解して、柔軟に使えるようにしておくことが大切です。
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