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飲食店で起こりうるクレーム事例について解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/08/11
更新日:2022/10/19

目次

接客業において、お客様からの暴力や暴言・執拗なクレームなど、何かしらの迷惑行為を受けたことがあるという人の割合は50パーセント以上といわれています。
そもそも「クレーム」という単語の元々の英語の意味としては「請求」や「要求」です。しかし、日本では商品やサービスに対する問題点の改善要求や苦情のことをさしています。
飲食店を運営していく上で、クレームの発生は万全を期していても完全に防ぐことは難しいです。なぜなら人の行き交う空間で食品を提供する以上は異物混入の可能性をゼロにはできず、接客を人が行う以上はヒューマンエラーも起こる可能性をゼロにはできないからです。
この記事では、起こってしまったトラブルやクレームに対してどのように対応をすべきか、飲食店において多く発生するクレームについて解説します。
参考:消費者行動に関する実態調査 (jtuc-rengo.or.jp)

クレーム対応の重要性

あまりにも悪質で理不尽なクレームはさておき、基本的にクレームとは「改善を求める要求や行為」となりますので、クレーム対応はお客様の気持ちをなだめるのではなく、原因となった問題を改善する必要があります。正しいクレーム対応をすることで、結果的にリピーターが増えたり、サービスをより改善することができたりと、メリットが多いです。
1975年から1982年に消費者苦情の調査で発見された、グッドマンの法則というものがあります。

・グッドマンの第一法則
「不満を持った顧客のうち、苦情を申し立て、その解決に満足した顧客の当該商品サービスの再入決定率は、不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客のそれに比べて高い」
・グッドマンの第二法則
「苦情処理(対応)に不満を抱いた顧客の非好意的な口コミは、満足した顧客の好意的な口コミに比較して、二倍も強く影響を与える」
・グッドマンの第三法則
「企業の行う消費者教育によって、その企業に対する消費者の信頼度が高まり好意的な口コミの波及効果が期待されるばかりか、商品購入意図が高まり、かつ市場拡大に貢献する」

引用:グッドマンの法則 (customer-loyalty.jp)

簡単にいうと「クレームを言わなかったお客様より、クレームを伝えて解決したお客様の方がリピーターになりやすい」「不満を持ったままのお客様の口コミは、好意的な口コミの2倍の影響を与える」「適切な情報提供によってお客様からの信頼を得られる」ということです。
このように、適切な対応が出来ればお客様の満足度は上がりますが、適切な対応が出来なかった場合は悪評につながってしまう事になります。
クレーム対応の基本については後述しますが、対面なのか電話なのか、また別の媒体なのかによって、対応を変える必要があります。

飲食店に多いクレームの事例

飲食店では人や料理に関するクレームだけではなく、言いがかりのようなクレーム対応も発生してしまう場合があります。クレームを装った詐欺事件も過去にはありました。
飲食店で多く発生するクレームの事例を紹介します。

サービスに対すること

・接客態度が悪い
ホールスタッフの言葉遣いやお客様への態度について指摘を受けた場合は、まずお詫びをして事実確認をしましょう。しかし、お客様が求める接客のレベルと、店舗のレベルがそもそもかけ離れているという可能性もあります。
・従業員の私語が多い
ピーク時間でない、少し余裕のある状況では、従業員同士の会話もお客様に聞こえてしまう事があります。業務上必要な会話でも、私語と勘違いされてしまっている場合もありますが、そういった釈明をするのは得策ではありません。
・スタッフを呼んでも来ない
お客様への目配りができておらず、お客様をお待たせしてしまう事になります。人員不足の場合は求人をかけ、従業員の怠慢の場合は教育体制の見直しが必要です。
・提供する料理や飲み物をこぼした
気を付けていても、提供時に手元が狂いお客様へかかってしまう場合もあります。やけどがないか、他の場所にもかかっていないか確認をしましょう。クリーニング代や治療費が発生する場合もあります。
・商品の提供時間がかかりすぎている
飲食店では、繁忙期やピーク時間に提供時間が長くかかってしまう事も珍しくありません。まず謝罪をして、提供可能な時間を伝えます。
・お釣りの金額が違う
手動レジの場合は、気を付けていても避けられません。レジ金の確認をして、間違いがないか確認をします。何度もお釣りのミスが続くようであれば、セルフレジの導入を検討するのもひとつの手です。

料理に関すること

・異物混入
虫、髪の毛、たわしの破片などの異物が混入することは絶対にあってはならないことですが、毎年食品関係のクレームの上位になっています。害虫対策や従業員の身だしなみを清潔にし、調理場やホールも衛生的に保ちましょう。異物混入に関しては、買ってもいない商品に異物が入っていたとクレームの電話を多数の店舗にかけ続け、企業から謝罪の金品を巻き上げていたという詐欺事件もありました。
・注文した料理とは違う料理が来た
お客様が注文時点でミスをしているという場合もありますが、その証明をするのは難しいです。謝罪して再度料理を提供する必要があります。
・食器が欠けている
食器の状態は常に確認しておくべきですが、お客様へ欠けた食器で料理を提供してしまった時は、お客様がその食器によって怪我をしていないか確認をします。怪我がなければ、料理を作り直して新しい食器で提供しましょう。
・メニューの写真と実物が違う
メニューの写真と全く同じものを毎回提供できるわけではありませんが、写真とあまりにもかけ離れていると不当景品類及び不当表示防止法の「優良誤認表示」に該当する可能性があります。お客様が消費者庁へ通報することもできるので、写真を載せたメニューを使う場合は注意が必要です。

予期せぬトラブル

・食中毒や腹痛
食品を扱っている以上、食中毒が発生してしまう可能性はあります。食中毒に関しては、必要に応じて保健所とのやりとりも必要です。食中毒の疑いがある場合は、一般的に以下の流れで対応します。

  1. お客様の現在の症状、来店日時、食事の内容、連絡先などを確認。
  2. 謝罪をし、病院受診と診断書を依頼。
  3. 食中毒のおそれがある食材が残っていれば保存。
  4. 同じ料理を食べた他のお客様にも同様の症状があるか確認。
  5. 保健所へ連絡し原因調査。

調査を経て、飲食店側に原因がある場合、治療費や慰謝料等の支払いが発生することもあります。

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クレーム対応の基本

ここまで紹介してきたように、飲食店では様々なクレームが発生する可能性があります。お客様一人一人のクレームに、その都度対応を考えるのは非効率な上、人によって対応の差が出てしまい、更なるクレームへ繋がりかねません。クレームをある程度分類し、それぞれの対応ルールを決めて、マニュアルを作成しておくのが効率的です。
詳細なマニュアル作成の前に、店舗のクレーム対応についての基本を決めておきます。その基本に合わせてマニュアルを作成しましょう。一般的に、クレーム対応の基本と考えられているのは、謝罪・傾聴・解決策の提示の3点です。
お客様がクレームを伝えてきている時点で、何かしらに不快感や怒りを感じています。まずは、怒る事態になってしまったことを謝罪し、その後どのような事に対して怒っているのかを聞きます。「話を聞いてもらえた」と、お客様の怒りが鎮まることもありますので、しっかりと聞き、事実確認を行いましょう。このとき、明らかにお客様の主張が間違っていたり、言いがかりのような内容であったりしても、一通り最後まで話を聞く事が大切です。途中で反論をしたり、遮ったりしてしまうと、お客様の怒りが一層増してしまいかねません。
そして、現場で可能な限りの解決策を提示します。提示した解決策では納得できないという場合や、お客様からの要求が難しい場合は、場所を変えてみたり、話す人を変えてみたりというのも効果的です。

電話でのクレーム対応

お店の利用後に、電話でのクレームがかかってくることもあります。電話の場合でも、上記の基本的なクレーム対応を行う事は変わりませんが、相手の表情を読み取る事が出来ないので、言葉選びや話し方に一層の注意が必要です。
クレームの内容によっては、当時の状況や事実確認に時間がかかる場合もあります。その場合、ずっと電話でお客様の怒りの言葉を聞いていても解決はできません。一度の応対で解決するのではなく、折り返しの電話を店舗側からかけるのも手です。お客様側も、一旦時間を空けることで気持ちが落ち着く可能性があります。
また、クレーム対応では、対面の場合でも「言った」「言っていない」の押し問答になることがありますが、店舗での対応を行えば周りに他のお客様や従業員など、証人になってくれる人がいます。しかし、電話の場合だとそれも難しくなため、電話で対応をする場合は自動録音の設定にしておくと安心です。

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悪質なクレーム

「カスタマーハラスメント」という悪質な要求や理不尽なクレームを行う人が増えてきています。大声で恫喝、長時間の説教、「料理がまずいから料金を払わない」と要求する等、不当な要求を繰り返してくる悪質なクレームに対しては、毅然とした態度で接しなければいけません。こういったクレームに対して、基本的な対応をしても解決は難しくなります。なぜなら、悪質なクレーマーは解決が目的ではなく、相手を貶めて自分が優位に立つ事が目的になってしまっているケースがあるからです。
悪質なクレームを繰り返してくる場合、威力業務妨害罪や脅迫罪で罪に問えることも認識し、録音をできるよう準備しておいたり、警察や弁護士への相談も考えます。

まとめ

飲食店におけるクレームの事例や、クレーム対応について解説してきました。飲食店を運営して人の行き交う空間で食品を提供する以上は異物混入の可能性をゼロにはできず、また、接客を人が行う以上はヒューマンエラーが起こる可能性もゼロにはできません。起きたクレームを迅速に解決できるように、クレーム対応をマニュアル化しておくのがよいでしょう。

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