ロシア料理とは 特徴や伝統料理を合わせて解説
目次
日本ではロシア料理はあまり馴染みがないかもしれません。日本に比べて寒い地域なので、煮込み料理が多いです。また、東西に長い国土のため、地域によって収穫できる野菜や食材も異なり、料理も異なります。
今回の記事では、ロシア料理について詳しくみていきます。ロシア料理の特徴、伝統料理、よく使われる食材などについて解説いたします。
ロシア料理の特徴や種類を解説
ロシアは東西に長く、広大な国土を持っているため、料理も地域によって様々。ロシア料理の特徴は、質素で素朴な親しみやすい味です。蕎麦やライ麦などの穀物、きのこ類、魚などを使ったスープやおかゆなどの煮込み料理が多く、特別辛いものや味の濃いものなどは少ないです。
乳製品の種類も多く、サワークリーム、カッテージチーズなどが料理に使われます。ロシアの中でも特に寒い地域では、油をたくさん使った料理が多いため、酸味を加えてさっぱりとした味付けをしている料理が多いです。
また、ロシアの冬は長く厳しいため、冬に向けた保存食も発達しています。春に獲れた野菜や果物を使って、ピクルスやジャムなどの保存食をたくさん作ります。冬になると「ペチカ」と呼ばれる暖炉を利用し、保存食を用いた温かい料理を食べる習慣があります。
ロシア料理とは
ロシア料理は非常に幅広く、旧帝政ロシア時代の宮廷料理から各共和国(旧ソ連)の民族料理まで様々なものがあります。長く寒い冬を越すために保存食、スープ、煮込み料理などが多いのが特徴です。また、ロシア流の食事スタイルとして、冷たいものを先に、温かい料理は後に食べることも特徴のひとつです。
ロシア料理の歴史
旧帝政ロシア時代の宮廷料理はフランスの宮廷料理人を招いて作らせたことが始まりといわれています。このため、フランスもロシア料理の影響を受けることになりました。元々フランス料理は今の食事スタイルとは異なり、一度に多くの料理を出すスタイルでした。しかし、ロシアでは料理が冷めないようにコースのように一品ずつ出すのが一般的です。このスタイルがフランスに逆輸入され、今のフランス料理コースのようなスタイルができあがりました。
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ロシア全域で食されている、昔から伝わる家庭料理をご紹介いたします。
・朝食
朝食ではおかゆの「カーシャ」や卵料理、カッテージチーズ、パンなどがよく食べられています。昼食は一番重要な食事で、時間をかけて様々な料理をたっぷりと食べる習慣があります。一方、夕食は大切なひとときではありますが、量は軽めです。
・シチー
昼食や夕食でよく食べられているのはシチー。生、または塩漬けのキャベツとお肉を煮込んだスープです。日本のお味噌汁のような存在で、日常的に食卓に並びます。塩漬けのキャベツを用いたシチーは乳酸発酵の酸味が効いており、「酸っぱいシチー」と呼ばれています。
・ボルシチ
日本人にも馴染みのあるロシア料理の一つです。元々はウクライナにルーツを持つ料理ですが、現在ではロシアでもよく食べられています。ウクライナ風、モスクワ風とレシピが異なるともいわれています。ボルシチの鮮やかな色はビーツでできています。
・ペリメニ
肉や野菜を小麦粉の皮で包んで茹でた料理で水餃子に食感が似ています。スメタナと呼ばれるサワークリームをかけて食べるのが一般的です。
・ピロシキ
日本のパン屋でも見かけることがありますが、日本の揚げたものと違って、ロシアのピロシキは焼いています。ご飯にも食べられますが、どちらかというとおやつとして人気が高い料理です。
・プロフ
ウズベキスタンなどの中央アジアで広く食べられているピラフのような料理です。大きな鉄鍋にお米、羊肉、羊の油、人参、玉ねぎ、香辛料などを加えて炊き、最後に干しぶどうやヨーグルトなどをトッピングします。コリアンダーやクミンなどのスパイスがよく効いていて癖になる味わいです。
・シャシルィク
バーベキューメニューとして人気がある肉の串焼きです。起源は中央アジアのケバブです。お肉をニンニク、玉ねぎクローブ、ローリエ、オリーブオイル、ワインなどで作ったつけ汁に一晩つけ、翌日、炭火で香ばしく焼きます。
上記にたくさんの料理をあげましたが、ロシアの「郷土料理といえば、これ!」というものはありません。
旧ソ連は15ヵ国から構成されており、国土も広いため、郷土料理が一つに決められないためです。
よく使われる食材や特徴を解説
ロシア料理は素朴なものが多く、あまり変わった味付けはありませんが、日本では馴染みのない食材も使われています。
・ビーツ
ロシアでは毎日のように食材として使われています。真っ赤なカブのような見た目をしていますが、ほうれん草の仲間です。「飲む輸血」といわれているほど栄養価が高く、リン、ナトリウム、カリウム、鉄分、カルシウム、亜鉛、葉酸などのミネラルが豊富に含まれています。疲労回復などの効果が期待できます。
・ハーブ
塩胡椒で味をつけることが多いロシア料理では、風味をよくするためにハーブをよく用います。中でも「ディル」と呼ばれるハーブは人気で、日本ではスモークサーモンなどに添えられていることがあります。ロシアではスープやサラダに使用されるのが一般的です。
・コリアンダー
コリアンダーも中央ロシアで栽培が盛んなため、料理に使われます。スープやサラダ、肉料理などに入れて風味づけします。
・スメタナ(サワークリーム)
ロシア料理によく登場するのがスメタナと呼ばれるサワークリームです。クリームを乳酸発酵させて作ります。ロシア料理はシンプルな味付けが多いため、味や風味を変える役割としてサワークリームが使われるのが一般的です。パン、スープ、デザートと様々な場面で活躍します。
ロシアの国民的な飲み物やスイーツを紹介
日本ではなかなか出会うことができない飲み物やスイーツがロシアにはあります。
以下にご紹介いたします。
・クワス
夏の定番の飲み物で、黒パンを発酵させて作ります。「麦茶を甘くして炭酸を加えたような味」ともいわれ、初めて飲むと不思議な味に感じるでしょう。
・バイカル
世界最深の湖、バイカル湖から名付けられた旧ソ連時代のコカ・コーラの代替品です。見た目はコーラそっくりですが、ハーブが多く含まれており、健康飲料の扱いになっています。
・プリャーニク
しょうがやはちみつ、クルミ、ジャムなどを加えて作る焼き菓子です。誕生日や結婚式などのお祝いの席で出される特別なお菓子で表面には綺麗な模様が付けられています。紅茶やコーヒーと一緒に食されます。
・スーシュカ
ロシアのお茶の時間には欠かせないドーナツのようなパンのような甘いお菓子です。小麦粉と卵をこねてドーナツ形にし、熱した砂糖水にくぐらせてからオーブンで焼きます。紅茶にもよく合うロシア人が大好きなお菓子です。
・ブリヌィ
ロシアに古くから伝わるお祭り「マースレニツァ」は長く厳しい冬を終えて、喜びの春を迎える時期に行われます。「バターのお祭り」という意味があり、クレープのようなブリヌィというお菓子を食べるのが慣例です。一枚焼いてはバターを塗り、次の一枚を重ね、何層にもしてお皿に盛り付けます。スメタナと呼ばれるサワークリームやジャム、サーモンやイクラとともに食べるのが人気です。
まとめ
ロシア料理というとボルシチやピロシキなどの2〜3種類の料理しか馴染みがない人も多いでしょう。しかし、国土の広いロシアには東アジア、中央アジア、中東、ヨーロッパから伝わった料理も多く、様々な国にルーツを持つ郷土料理があります。
また、ロシアの宗教は古くからロシア正教であるため、クリスマスが1月7日で、その前の一定期間は飲食を制限するような儀式もあります。ヨーロッパのように紅茶やコーヒーを飲む文化もあるため、日本人の口に合うお菓子も多くあるでしょう。
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