科学を絡めた食育を提案し続けたい   食育×科学 れしぴ研究所インタビュー

食育×科学 れしぴ研究所の始まりを教えてください

2013年6月、現代表の鹿島のもとへ「夏休みに科学技術館で“キッチン百貨展”という企画展を開催するから、そこで子ども向けに何かできないか」というお話があり、食と科学を絡めたワークショップを企画する事にしました。当時、代表の鹿島は学外で食育ボランティア活動を行い、大学院では食物栄養に関する研究を行っていました。子供向けの食育アプローチの重要性も感じていましたが、子供向けのワークショップはやりたくてもなかなか手掛ける事が難しい範囲だったので、これは良い機会と食や科学、教育について学んでいたり、興味関心がある学生や社会人に呼びかけ、一緒にワークショップの企画・開催をしたい人を募っていた所、集まってくれた人たちの中に尾崎さんと天野さんがいました。

この企画展では夏休み中に2週間、みんなで作ったオリジナルワークショップを毎日開催しました。当初は期間限定のプロジェクトチームだったのですが、とても反響がよく、講師である私たちも非常にやりがいを感じていたため、継続的に活動をするための団体にしようという話になり、任意団体としての活動を開始しました。

主な活動を教えてください

親子で一緒に楽しむことができる、科学実験を絡めた食育ワークショップの企画と開催がメインの活動となります。「食」と「科学」を絡めたものが毎回のテーマとなります。

例えばクリスマスの季節でしたら「シュトーレン作り」を企画し、発酵について“なぜ膨らむのか?”をオリジナルスライドでわかりやすく説明します。また、シュトーレン作りの最後には粉砂糖を振りかけますが、砂糖の保存効果についても水分活性の話を絡めながら、丁寧に説明します。

夏休みには自由研究のテーマにも使えるような内容のイベントを企画してほしい、と食品メーカーさんやショッピングモールなどから依頼されますので、科学と食を身近に感じてもらえるような企画を心がけ、提案・実施しています。

やりがいはどういう部分にありますか?一方で、難しさを感じることがあれば教えてください

メンバー皆、共通してやりがいを感じられている部分は「子供達が楽しみながら食や科学に対して学びを深めている」ということです。参加者の方から、「うちの子はこの前、パンが焼けるとその焼き色を見て“メイラード反応だ!”と言っていました。」と報告を受けたり、ワークショップを発展させたものを自由研究として提出したお子様が、金賞をもらったなど、嬉しいお声をいただくことがたくさんあります。このように私達のワークショップが、お子さま自身の成長に繋がっていることを知るのが、何よりのやりがいです。

ワークショップへの参加を通じて、食卓でもイベントの内容を話題にするなど、親子間のコミュニケーションの時間や話題が増える事も、私達の望んでいる所です。

一方で、いつも気をつけていることは一般消費者の方達に専門的な事柄をいかにわかりやすくお伝えするか、という点です。この中で時に難しさを感じることがあります。

私たちは研究者ではありません。しかし一般消費者の方たちより食や科学について学んで来た分、専門的な知識を持っています。そのため、専門家の方々と一般消費者の方々の架け橋としての役割も、常に意識しています。

また幸いなことに、最近は依頼がぐんと増え、平日の依頼もいただくようになりました。メンバーは皆本職を持ちながら食育×科学 れしぴ研究所の活動をしているため、なかなか平日に休みを取ることが叶わなく、もどかしさを感じることはあります。

この活動を通じて伝えていきたいことはどのようなことでしょうか?

今、食育は色々なところで取り上げられていますよね。でも子供達に「野菜を食べましょう」「栄養バランスを考えましょう」とただ言っても、子どもたち自身が興味を持たない限り、なかなか知識は定着しません。

私たちの活動では子供達に「楽しい」と感じながら学びを深めていってもらいたい、という思いがあります。科学実験は毎回予測を立てて実験を始めます。〇〇をした結果、〇〇という結果になった。ではなぜそうなったのか、と考えるプロセスが必ずあります。私達のワークショップの中でも、その「考え、実行する」というプロセスを大切にしています。自発的に「考え、実行する」事のできる大人になってほしい、そんな気持ちもあります。

子供が将来自分で食生活を選択・判断できるようになるため材料として、食に関する正しい知識を「楽しい記憶」と共に身につけてもらいたい。私たちのワークショップが、そのためのきっかけの一つになったら嬉しいなと思います。

子供達や親御さんと接していて感じる、現在の「食」「食育」の課題を教えてください

共働きが当たり前の時代になり、忙しい方が増え、食に対する優先順位が下がっているのではないかと感じています。子どもにとっての食事は「体を作るための食事」でもあります。その重要性は大人の食事とは根本的に異なるものです。子供達自身に、食に対する知識を身につけてもらい、「生きる力」を身に付けて行って欲しい。例えば食材がどんなところから生産され、どのような流通があって自分たちのところに届いているのか、などです。

そしてそれらの知識は、親子の間での「対話」によって深まります。親子参加のワークショップを開催する事により、家庭における食や科学についての対話を生み出す、そんなきっかけづくりの場にもなってほしいと願いながら、ワークショップを企画しています。

また、国が有用なガイドを沢山作った所で、それを広める人が足りていないのが現状で、専門家と一般消費者の間にはまだまだ溝があると感じています。正しく、専門的な情報を分かりやすく伝えることも、とても重要だと考えています。

今後の活動の中期的な目標を教えてください

これまでは単発のワークショップ開催でしたが、今後は同じ対象に対する継続的なワークショップの開催を増やしていきたいと考えています。同じ対象に継続的にアプローチをすることで、参加者にどのような行動変容があったのか、効果を数値として表す事ができます。これは現在墨田区で実施している取組みで、今後は他の区でも実施していく予定です。

小学校におけるワークショップ開催についてもお誘いを受けることがあります。教育そのものに関わる機会が持てること、食に関心のない子供など、より幅広いターゲットにアプローチする事ができるため、今後はそのような教育現場とも絡んでワークショップを実施していけたらと思っています。


最後に・・・

お話を伺ってみて感じたことは「専門家による食育・科学ワークショップ集団」だということ。食育の新しい形を提案している団体でもあり、今後の活動から目が離せません。

今後予定されているワークショップは公式FBなどから確認できます。初夏のお出かけにぜひ組み込んでみてはいかがでしょうか。   


食育科学れしぴ研究所ロゴ食育×科学 れしぴ研究所

2016年4月設立。関心が高まる食育に、「科学」の視点を取り込んだワークショップを開催。

食に関与する科学的事象を実験という形で明確に可視化することで、ただの楽しい思い出にとどまらない、食と科学の両方に関心を持てる体験を提供する。

現在、区役所、企業、他団体とコラボレーションし、食と科学を絡めた様々なワークショップを展開中。

代表 鹿島 日布美
大学院にて食物・栄養学を専攻。家政学修士を取得後は、管理栄養士として神奈川県の政令指定都市に入庁。
 
副代表 尾崎 沙梨
大学卒業後、管理栄養士免許を取得。歯科医院に勤務し、栄養カウンセリングや食育セミナーを行う。
 
副代表 天野 麻友美
東京医科歯科大学大学院にて、癌幹細胞を研究。修士課程修了後、サイエンスコミュニケーターとして活躍。

 


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