ようやく慣れない育児も要領がつかめ始める産後1~3ヶ月頃、赤ちゃんに与える母乳の質やママ自身の体力の回復、体型を戻すことも気になり始める頃ですね。

しかし、完全な体力の回復をしていないこの時期、母乳の質を考えても、食事制限は禁物です。体ここでは体に無理なく、質のいい母乳を作り、体型戻しにもつながる食事についてお話します。

「母乳に良い食事」赤ちゃんに美味しい母乳って?

 

 

 

 

 

母乳は血液から作られていることを知っていますか。質のいい母乳を作る為に、どんなことに気をつけて、どんな食事をとればいいのでしょうか?

鉄分や葉酸を十分に摂取する

鉄は、ほうれん草・小松菜・ひじき・がんもどき・大豆・牛赤身肉・レバー・かつお・あさりに多く含まれます。ほうれん草や小松菜は葉酸、がんもどきや大豆はカルシウムも多く含み、妊娠中や授乳中にぴったりの食品です。しかし植物性の鉄は動物性の鉄に比べ吸収率が1/5とも言われますので、動物性の鉄で効率良く摂りつつ、植物性の鉄は柑橘類など吸収率を上げるビタミンCと一緒に摂るよう心がけましょう。

体を温める食事を心がける

ねぎやしょうがなど体を温める作用のある食材を使った汁物がおすすめです。授乳中は血液の流れをよくする為にも水分を十分に摂る必要があります。赤ちゃんに母乳をあげる分、ママは水分が奪われて便秘がちになることも。汁物で体を温め、十分な水分を摂りましょう。汁物は塩分の摂りすぎにつながるので、適量にとどめてくださいね。

添加物の多い食品、濃い味付けの取りすぎは避ける

添加物の多い食品、辛い食べ物、塩分の摂りすぎは母乳の味が変わることがあると言われています。赤ちゃんが母乳を飲まなくなった、嫌がるような素ぶりが見えたら食事を見直しましょう。また、糖質や脂質の多い食事は母乳を詰まらせ、乳腺炎の原因になるとも言われます。間食は洋菓子よりも和菓子を選んだり、ナッツ類や蒸したさつまいもにするといいでしょう。ナッツ類はビタミンE、さつまいもはビタミンCや食物繊維が摂れます。

体力回復のためにはどんな食事がいいの?

産後1ヶ月頃はまだまだママの体力が完全に回復せず、ちょっとした不調を感じる方も多いかもしれません。回復のために必要な栄養素を摂り、ママ自身の体力をつけるためにはどんな栄養素が含まれる食事がいいのでしょうか。

葉酸

妊娠前後から必要と言われる葉酸ですが、産後も十分に摂りたい栄養素の一つです。産後はホルモンバランスの乱れから肌荒れや抜け毛などの症状が見られることがあります。また出産によって子宮は大きくダメージを受けています。葉酸は細胞分裂を促し、ホルモンバランスを整え、造血作用(赤血球を作る働き)があり、肌や髪の毛の再生、子宮の回復に役立ち、貧血を予防してくれます。葉酸は、ブロッコリー・ほうれん草・枝豆・アボカドに多く含まれます。また、ビタミンB12と一緒に摂ると吸収率がアップ。ビタミンB12はあさりやしじみ、かきに多く含まれ葉酸を多く含む食材と一緒に調理すると効率がいいですよ。

ビタミンB1

産後に限らず、疲労回復効果が期待できるのがビタミンB1です。また、糖質を代謝する為にも必要な栄養素。糖質が代謝されないと体に脂肪を溜めやすい状態になります。体型も気になるママにとっても必要な栄養素と言えるでしょう。ビタミンB1は豚肉や玄米に多く含まれます。

亜鉛

細胞分裂を促したり、粘膜を作る材料にもなる亜鉛。たんぱく質の代謝を促す為、産後の肌荒れや抜け毛の悩みを持つママに積極的に摂ってほしい栄養素です。亜鉛は牡蠣・牛肉・うなぎ・レバー・卵黄・高野豆腐・まいたけに多く含み、ビタミンCと一緒に摂ると吸収率がアップします。

産後におすすめの料理

あさりの豆乳スープ(鉄・葉酸・ビタミンB12・カルシウム)

豆乳ベースの汁にあさり、ブロッコリーやほうれん草、ミックスビーンズを入れます。お好みで野菜は増やして具沢山スープにしたり、あさりを牡蠣にすると亜鉛、鉄、カルシウムなどぐんと栄養価がアップします。あさりは缶詰を汁ごと使ったり、野菜も冷凍野菜を使って、鍋に入れるだけにするとあっという間に簡単にできます。

大豆のトマト煮、カレー(葉酸・鉄・カルシウム)

フライパンにオリーブオイル、みじん切りのにんにくを熱し、牛切り落とし肉を入れて炒め、大豆、トマト缶、水を入れて煮込み、刻んだ小松菜やほうれん草を加え、塩、こしょう、コンソメで味を整えます。牛肉は豚ひき肉やこま切れ肉に変えればビタミンB1が摂れ、値段もお安くお手軽に作れます。トマト煮も大豆カレーも冷凍できるので多めに作ってストックしておくのもおすすめです。

さつまいも、かぼちゃのきな粉がけ茶巾(ビタミンC、食物繊維、おやつ)

さつまいもやかぼちゃをレンジで加熱するか、蒸して、砂糖、塩を混ぜたきな粉をかければ簡単なおやつの出来上がり!茶巾は加熱したさつまいもやかぼちゃに砂糖で甘みをつけ、刻んだナッツを入れてラップで包みます。ナッツを入れることで栄養価がアップし、ザクザクとした食感でおいしく。周りに純ココアをまぶせば野菜トリュフになります。産後のおやつはエネルギーを補いつつ、ビタミンやミネラルも摂れる野菜を使ったおやつがおすすめです。

産後の食事はこれは食べちゃダメ、体にいいものしか食べちゃいけない…と考えすぎてストレスになることは、ママの体にとっても赤ちゃんにとってもいい影響はありません。全て自分で作るのではなく、周りに頼ったりしながらママや赤ちゃんの体が喜ぶ食事を心がけてみて下さいね。

また、5~6ヶ月をすぎると離乳食も始まります。離乳期は赤ちゃんの味覚を形成する大事な時期です。今のうちから体にいい食事はどんなものか、ママ自身の食事を見直すのもいいきっかけになると思います。

ライター紹介 岡田みなみ(管理栄養士)
ガス会社にて料理教室企画・運営・アシスタント、料理イベントに携わった後、保育園の栄養士として3年勤務、管理栄養士を取得。現在はフリーランスの管理栄養士として料理動画のレシピ開発や撮影を中心に活動中。シェアダインでは料理家みなみさんとして活動。一児の母。毎週末に、平日の夕飯を作り置きしている。