2019年流行語大賞ノミネート!

「サブスク元年」を振り返る

日本サブスクリプションビジネス振興会 事務局長
杉山 拓也
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出張シェフのサブスクサービス「シェアダイン」共同代表
井出 有希

「2019ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされた「サブスク」。大手企業も続々と参入し、「サブスク元年」とも呼ばれた今年は、とくに衣食住を中心とした生活密着型の新サービスに注目が集まっています。

「このようなサブスク現象は、いったいなぜ起きたのか」「2020年もサブスク流行りは続くのか」「将来、サブスクは私たちの生活をどのように変えていくか」──。

日本サブスクリプションビジネス振興会事務局長として、日本におけるサブスク業界を俯瞰し、その興隆を支えてきた杉山拓也。そして、2019年4月にサブスクサービスをスタートし、メディアからも多くの注目を集める、食の専門家による出張料理サービスの「シェアダイン」共同代表の井出有希。二人が、今年のサブスク現象を振り返り、来年以降の動向を語ります(敬称略)。

2019年が「サブスク元年」になった理由

大手企業のサブスク参入で、
予想を超える盛り上がり

井出 「サブスク」が流行語大賞候補にノミネートされましたね。改めて、サブスクがここまで流行ったのはなぜでしょうか。以前から兆しがあったのでしょうか。

杉山 先日も、日本商工会議所の方から「なぜ今年流行ったのですか」と質問されたばかりです。年末に向けて2019年の動向を総括するなかで、私も改めて考えているのですが、そもそもメディアがこぞってサブスク特集を組んだのは、大企業の動きがあると考えています。

井出 メーカーを中心に、大企業がサブスクをスタートする動きがありました。工場直送のビールを家庭用サーバーで味わえるという、キリンビールの月額制ビール「ホームタップ」は、申し込みが殺到して募集を停止していたのが、4月に再開されたり。

杉山 トヨタ自動車も、クルマをもっと手軽にというコンセプトでサブスクサービス「KINTO」を開始、CMもかなり展開していました。スプライトインターナショナルの「MECHAKARI」は、欅坂46をCMに起用して、盛んにファッションのサブスクを提唱していました。

ただ、大企業のサブスクは注目を集めたものの、各社が大量にCMを投下したというわけではないと思うんですよね。

じつは、サブスクという言葉自体は2018年12月に日経MJが発表した「2018年ヒット商品番付」で「西の大関」に選ばれていたんですね。当時は、サブスクに対する注目は集まったけれど、そこがピークになるかもしれないと思っていました。

サブスクビジネスの振興を推進する立場としては、拡大してほしいという期待はもちろんありましたが、ここまで一気に拡大するとは予想していなかったです。

井出 なるほど、2019年のサブスク流行りは予想以上の盛り上がりだったんですね。

杉山 2017、2018年に創業したサブスク企業が、2019年から本格的にビジネスを展開されてきたタイミングだったのかな、と。それまではテストマーケを含めた準備期間、あるいは地域限定で展開していたものが拡大していき、サービス開始となり、プレスリリースを含めた情報量が増えてきたことも、メディアの注目を集めた理由のひとつではないかと考えています。

シェアエコが浸透した2017〜2018年、
サブスクが取り上げられた2019年

井出 最近のサブスクサービスの特徴は何だろうと、私なりに考えているのですが、一つはシェアの概念が進んでいるという背景があるのではないかと思っていまして。

たとえば、月額制でブランドバッグがレンタルできる「ラクサス」があります。昔ならブランドバッグは買って所有するもの、購入したらそこで終わるものだったのが、シェアするという流れができてきているのだな、と。

杉山 井出さんのおっしゃる通りだと思います。

シェアエコという言葉自体は2、3年前から浸透し始めて、今は当たり前になっています。たとえば、自動車や自転車のシェアサービスでは、すでにかなりの数のユーザーがいて、とくに珍しいことではなくなりました。そうしたシェアエコの流れが根底にあって、その一形態として「定額制で、好きなときに利用できる」サービスというイメージが浸透していったのでしょう。

ただ、一般に広く浸透するためには、年単位で時間がかかります。

先のラクサスの例であれば「中古のバッグを借りても気にならない」、あるいは月額制で洋服が彼られる「エアークローゼット」の場合は「洋服は中古でも問題ない」という下地ができていたのからこそ、サブスクサービスがユーザーに受け入れられているわけです。そうした土壌がなければ、企業側が「サブスク」という言葉を使うだけで、実際に消費者がついていくことはなく終わってしまうのではないか、と。

しかし、2019年の動きを見ていると、消費者側にも充分に受け入れられている印象を持っています。まだアーリーアダプターの段階かもしれませんが、「私も洋服のサブスク使ってるんです」と言われることも増えて、浸透してきたという印象を持っています。

衣食住を変えるサブスク」が続々登場

最新の動きを表すキーワードは
「マッチング精度を支えるIT」

 杉山 シェアエコに加えて、最近のサブスクサービスを見ていて感じるのは、参入企業のITの強さですね。

井出 たしかに、エアークローゼットの例でも、洋服を借りたユーザーからのフィードバックをすべて即座にデータに反映させているとお伺いしました。

杉山 そういう動き見ていると、商品やサービスに対する根本的な変化を感じますね。商品であれば、従来はいいモノを作り、単価を高く設定して、今月何件売るというのがひとつのモデルだったわけです。モノ時代は購入時点で消費者にマッチしていればそれでいいというものでした。

サブスクの場合、それをどう的確にマッチさせるかという精度だけでなく、相手が変化すれば、その変化に合わせてビジネス側も変化しなくてはなりません。動的なマッチングを支えるテクノロジーがないと成り立たないのではないかと思っています。

井出 動的なマッチングを支えるテクノロジー、ですか。

杉山 はい。たとえば、消費者が転職して環境が変わったり、結婚して生活状況が変わったり。企業側から見れば、そうした利用形態に影響を与える変化を、事前に察知するのはなかなか難しいのではないか、と。

シェアダインの場合、そこに強みがあるんじゃないかと思っているんです。出張シェフが実際にユーザー宅にお邪魔して、直接コミュニケーションするなかで「私、今度結婚するんです」といった生の情報を得ることができますよね。

このリアルの接点というのは、非常に重要です。しかも、その裏側でシステムが走っていて、データを分析し、何が最適かAIが判断する。これらが組み合わさって全体のユーザー体験を作っているのが新しく、とても2019年らしいサブスクかなって。

だから、いつも「注目のサブスクを教えてください」を聞かれると、シェアダインの話をするわけです(笑)。

井出 ありがとうございます(笑)。

まさに杉山さんのおっしゃる通りで、シェアダインのサービスはまず、サイトで出張サービスを予約するというデジタルな体験から始まりますが、シェフがユーザーのご自宅を訪問して始まるリアルな体験がとても重要だと考えています。

さらにご利用された方にフィードバックしていただいたデータを分析して、マッチングの精度を高めたり、ユーザーの変化に対応していくことに当初から非常に力を入れてきました。そこがシェアダインの大きな特徴にもなっているんです。

本質的な課題を解決するサブスクが
2020年も生き残る

杉山 従来の定期通販でも、企業側は消費者とコミュニケーションはしていたのだと思います。実際に利用した感想を集めて、それを体験談として会報誌や広告記事で伝えていくスタイルですね。

ただし、これは言い方が難しいのですが、どちらかというと企業側の都合を優先したコミュニケーションだと思うんですよね。購入したことでこれだけ変わったという体験談を伝えることで、この商品はこれだけすごいのだと購入者の自己肯定感を高めることで、継続利用を促すことが狙いなのではない、と。

井出 相手の変化に合わせて変化していないということが問題でしょうか?

杉山 そういう例を見ていくと、本質的な課題解決をしていないのではないかという疑問を感じることが少なくありません。たとえば、定期利用によって状況が改善したのであれば、利用量を調整したり、別の組み合わせを提案したり、相手のライフスタイルに合わせていくのが、本質的なサービスではないかと。

世の中でサブスクがこれだけ取り上げられるなかで、顧客の本質的な課題を解決し続けるために何をやればいいのかをどれだけ真剣に考えているか。シェアダインを宣伝するつもりはなく言うのですが、井出さんたちはそこを突き詰めて考えていますよね。

継続率ももちろん大切ですが、それが先にあるのではなく、問題解決には何が必要なのかを考え抜いた結果として、どのようなコミュニケーションが重要なのか。出張シェフと利用者の会話を通じて得られたフィードバックを、システム側にデータとして取り込むことで、非常にいい循環ができていると思っています。

サブスクと最も相性が良いのは
「衣食住」の領域

 井出 なるほど、最近のサブスクの鍵は、本質的な課題にどれだけ向き合えているかと見ていらっしゃるわけですね。さきほど、バッグや洋服のファッション系のサブスクサービスの話が出ましたが、それ以外に注目している分野はありますか?

杉山 今年たくさん出てきたのは、「subsclife」のような家具のサブスクですね。家具もシェアエコの延長にあるのかなと思っています。サブスクといってもモノがモノだけに頻繁に移動させられるものではないですが、引越や家具処分といった問題を解決しようとしています。

ただ、家具に限ったことではないのですが、サブスクを掲げながら、実態としては分割払いやリースだというサービスが数多く出てきているのも現状です。手軽に始められるというイメージはあっても、サブスクによって問題解決を図るという本来の仕組みがないものが紛れています。

そうしたなかで、私が面白いなと思うのは、衣食住の分野でサブスク同士が結びつく例ですね。

たとえば、先の「subsclife」 は、OYOが運営する賃貸住宅型サービス「OYO LIFE」と連動しています。家具家電を含めて、自由に期間を決めて住み替えできる。これも、ライフスタイルに合わせて自由に住みたいという方のためのサブスクサービスと言えるでしょう。

衣食住の分野と定額サービスというのは、とても相性がいいと思っています。いくつかの企業が組み合わさって、1つのサービスになっていくような動きには注目しています。衣食住のサブスクが結びつくことで、トータルとして生活そのものが定額化されていくこともあるかもしれません。

井出 生活の固定費が見える、新しい仕組みですね。

杉山 そうですね。衣食住は生きていくうえでなくてはならないものであり、生活の質に直結しますから、そこの不便を解消するというのは非常に大きな価値があるのではないでしょうか。

注目を集めた「出張シェフのサブスク」


サブスクの認知度アップで、
単発利用からサブスクへ一気に移行

杉山 シェアダインではサブスクサービスを2019年4月から開始されたわけですが、メディアにもかなり頻繁に取り上げられていますよね。

井出 ありがたいことに、サブスクのローンチ直後から雑誌やウェブ媒体から取材のご依頼をいただく機会がぐっと増えました。

テレビ東京の『ワールドビジネスサテライト(WBS)』(テレビ東京)で「生活に役立つ 注目のサブスク」として取り上げていただいた以外にも、『あさイチ』(NHK)や『ガイアの夜明け』(テレビ東京)など、各局から声をかけていただきました。

杉山 サブスクを始めてから、何か変化はありましたか?

井出 そうですね、ユーザー数がぐっと伸びただけでなく、従来の子育て世帯以外の層にアプローチできたことが大きかったです。単身世帯やシニア世帯といった、当初は想定していなかった方たちにもご利用いただくようになりました。食という毎日のことですから、定期的に悩みを相談したり、食事を作ってもらったりしたい方はまだまだたくさんいらっしゃると感じています。

もともとは、もう少し時間をかけてサブスクに比重を移していくつもりだったのですが、サブスクという言葉自体が話題になったことも後押しして、想定より早いペースでサブスクユーザーが増えてきました。最初に1、2回お試し的に使ってみてサブスクに移行していくパターンがほとんどです。

杉山 はたから見ているので正確ではないかもしれませんが、サブスクの認知度が上がったことで、サブスクサービスに申し込むハードルが下がったということもあるとは思います。

シェアダインの場合、もともと単発利用のみ段階でも、継続率が非常に高かったと記憶しています。サブスクを始めても、お試しで単発を使っていただき、その結果としてサブスクに移行するというのは、サービスそのものがよくなければ成り立たないでしょう。サービスのベースをどう作り込めるか、というのが企業側の課題であり、まず取り組むべきことだと思ってます。

井出 たしかに、どうしたらチャーンレート(離脱率)を下げることができるかについては、2018年5月のサービス開始時から、ずっと優先して取り組んできました。

シェアダインをご利用いただいているユーザーと実際に出張料理を手がけるシェフ。両方の声を聞いて、サービスに反映することを地道に行い、サブスク開始までに土台を作ることに力を注いできたことはたしかです。

継続利用によって
生活の質を向上させるサービス

杉山 やはり危惧しないといけないのは、サブスクが流行りのままで終わってしまうことではないでしょうか。

利用者側としては、これだけサブスクという言葉が浸透したことで、契約利用に対する、心理的ハードル下がったと思うんですよね。

企業側もサブスクに注目してますから、「今年はサブスクやりたい」と私が事務局長を務める日本サブスクリプションビジネス振興会にも多くのご相談をいただきました。

サブスクによって安定した収益を得られるというのはありますし、それ自体を否定するつもりはないのですが、まずサブスクありきという場合も少なからずあります。利用者の課題解決をする方法を考えた結果として、月額従量あるいは定額で、継続的な契約形態を選ぶというのが本来ですので、その場合成功する可能性は低くなってしまうのではないか、と。

事業者都合でサブスクを始めるのではなく、そこに利用者の生活を向上させる、あるいは何らかの負の解消があって、定期的に利用することで価値が生まれるサービスは、実際にユーザー数もが伸びていて、サブスク比率も高いんです。要は、ベースがしっかりしているのかどうか、ということなのですが。

井出 シェアダインも、継続的にタッチポイントを持つことで、データを蓄積しているところです。それによって、シェフ選びだけでなく、料理のメニューもこういう悩みを持っていらっしゃるからこういう提案ならもっと喜ばれるというように、精度を高めていくことが可能になります。

継続利用していただくことで利用者の生活の質が上がるように、もっともっと進化していきたいなと思っています。

杉山 行きつけの飲み屋じゃないですけど、好みを把握してもらっていると、「いつもの」と言えば定番が出てきたり、「今日の賄い、こんなだけどどう?」と勧めてもらえるといった、アナログなものは昔からあったじゃないですか。

もちろん、みんながみんな行きつけのお店があってそういうことができるわけではないですが、長い付き合いというのはアナログでもデジタルでもとても大事だなと思います。

生活の変化に合わせて
寄り添い続ける魅力

井出 杉山さんがシェアダインをいろいろなところでご紹介してくださっているのは、長期に継続利用することでユーザーのリアルな状況を把握し、課題解決につなげているからということですが、ほかにシェアダインを注目してくださっている点はありますか?

杉山 面白いと思ったのは、年単位、月単位で変わっていくものに追従していくサービスであるということです。

私を含めて人の生活というものは、つねに変化していきますよね。たとえば、結婚して子どもを持ったとしても、幼少期の成長は月単位で変わります。そしてどんどん大きくなっていって、小学生と高校生では全然違いますし、家族構成によっても大きく変わってきます。

井出 たとえば、自動車や住宅も家族構成によって買い替えたりすることがありますよね。

杉山 自動車や住宅はの買い替えはもちろんありますが、日常生活の食事のように頻繁に変えるものではないですからね。サブスクと食というのはとても相性がよく、シェアダインのサービスは、そうした変化にずっと寄り添っていける設計ができていると思います。

さきほど、サブスクをローンチしたら、子育て世帯ではない新たな層にアプローチできたとおっしゃっていましたよね。たとえば、最初は筋トレやダイエット目的で利用された独身の方が、結婚して共働きになれば平日の夕食のサポート、お子さんが生まれれば離乳食から幼児食というように、ずっとお付き合いしていくことができるのが、サブスクの本質的な要素ではないか、と。

 サブスクの未来予想図を描く

「サブスク元年」に続く2020年、
サブスク業界はこう変わる

井出 さて、ここまで「サブスク元年」ともいえる2019年の動向についてお話しいただきましたが、今後のサブスク業界はどうなると考えていらっしゃいますか?

杉山 サブスクは、シェアエコのように生活に浸透していくと見ています。シェアエコの場合、まずは流行として広まり、少し落ち着いたものの、実際は生活にあって当然のものとして根づいてきていると思います。同じように、流行としてのサブスクは終わるけれど、文化として浸透し始めるのが「サブスク二年」の2020年ではないか、と。

井出 流行で終わってしまう可能性はありませんか?

杉山 そうですね。単なる流行り廃りにならないでほしいと思っていますが、一方で大前提として、何かしらの課題解決がないサブスクの淘汰はあると思っています。

加えて、サブスクと言いながら、実際にはこれまでのリースや分割払いと変わらないといったサービスが跋扈してしまうと、利用者からは「結局、サブスクって割高だったね」とも思われてしまいます。せっかくサブスクが認知されても、離れていってしまうことを心配しています。

そうした事態を避けるためにも、サブスクリプションビジネス振興会としては、ユーザー視点に立ったサービスに頑張ってほしいと思っています。

井出 サブスクとしての本質的な課題を解決しないサービスは、来年以降は生き残れないということですね。

杉山 ええ、そこがきちんと事前に作り込まれているか次第だと思っています。

たとえば、コークッキングの「TABETE」はフードロス削減を目指しています。店舗にとっては損失回避になりますし、ユーザーにとってはお得なだけでなく、事前予約すれば並ばずに食べられるというメリットがあります。このようにいくつかのポイントを押さえているものは、生き残っていくんだと思います。

井出 2020年は、サブスクサービスの真価が問われる年になりそうですね。

家賃や定期券、外食に内食、
衣食住すべてがサブスク化される

井出 その先にあるサブスクの未来予想図はどのようなものでしょうか?

杉山 今後、複合化していく可能性が挙げられます。シェアダインであれば、食に何かをプラスしていくといった進化の仕方があると思います。

井出 事業者側としては、アップセルやクロスセルでしょうか。

杉山 そうですね。利用者側にとっては便利なことが追加されていく、あるいは悩みのより深い部分での解決につながっていくことになると思います。多様化、複雑化、あるいは複合化の方向があるのではないか、と。

さきほど、衣食住の分野でサブスクが広がっているという話が出たかと思いますが、最近とても興味を持ったのは、日本の不動産企業が欧州のMaas企業に出資したニュースです。「サービスとしての移動」を意味するMaasですから、電鉄系の企業がやるものとばかり思っていたところを、不動産業界が取り組む。たしかに、交通にとどまらず、住居やオフィス、あるいは飲食も含めて、エリアごとまとまって定額化されることも考えられるな、と。

井出 面白い動きですね。電鉄系では、すでに飲食のサブスクを取り入れたMaasの実証実験をスタートされている企業も注目されています。

杉山 電鉄系はもともと、エリアで抑えるという考え方が根づいていますよね。駅前にマンションを建てたり、ショッピングモールを作ったり、駅を中心とした沿線の文化圏を作ることに長けています。

さらに、サブスクサービスで借りた洋服を着て食事に出かける。食事も定額サービスを利用して、移動のタクシーやシェアサイクルも1枚のICカードやアプリで利用できるといった規模になっていく可能性もあります。そうなると大資本の世界で、本格的なサブスク時代に突入することになりますね。

井出 生活に関わるサービスをすべてサブスク利用するという世界もあり得る?

杉山 はい、家賃や定期券、外食を含めて、衣食住の変化に対するインフラが、すべてサブスク化される未来はあるんじゃなかと思っています。たとえば食事に関して、内食はシェアダインの出張料理が利用できて、外食は系列店が使えるといった具合に、支出の一定化ができるようになるかもしれません。

その意味でも、私はシェアダインに大きな期待をしているんです。情報の早いアーリーアダプターに留まらず、もっともっと早く成長してほしい、と。たとえば、コープの宅配サービスのように一般に広く使われるようになってほしいと思っています。

井出 シェアダインが目指しているのは、まさにそこなんです。たとえば、最初は珍しかったミールキットもすでに選択肢のひとつになっていますよね。内食の選択肢のひとつになっていきたいなと思っていて、いかに早くそこに到達するかが、目の前の課題だと思っています。

杉山 流行り廃りを越えて必ず生き残っていくサービスだと思っていますし、たとえば会員数200万人というように広く一般化するのが理想ではないかと思いますし、引き続き応援していきたいと思っています。

井出 はい、期待に応えられるよう、チーム一同精進したいと思います。本日はありがとうございました。