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管理栄養士は給料安い?職種や職場による違いとは

シェアダイン編集部
作成日:2022/06/28
更新日:2022/10/31
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目次

国家資格である管理栄養士という資格ですが、「管理栄養士は給料が安い」「求人が少ない」と聞くことも多いのではないでしょうか。この記事では、実際に管理栄養士の給料は低いのか、低いと言われるのにはどのような理由があるのかを解説します。

管理栄養士の給料は安いのか

管理栄養士は、国家資格であるにもかかわらず「給料が低い」というイメージがあるようです。実際に、平均値で比較すると全業種の平均よりも低くなっています。

管理栄養士の平均年収

株式会社カカクコムが運営するサイト求人ボックスによると管理栄養士の仕事の平均年収は約314万円で、日本の平均年収と比較すると低い傾向にあります。
しかし管理栄養士の職場は幅広いため、実際には職場によって大きく変動します。
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管理栄養士の給料が安い理由

管理栄養士の給料が安くなっているのは、様々な要因が絡んできます。主な理由は以下の3つです。

業務独占でないため、誰でもできる

管理栄養士の給料が安い理由の1つ目は、管理栄養士の業務は誰にでもできる仕事が多いためです。実は「管理栄養士」という資格を持っていても、いなくても同様の業務ができます。管理栄養士は資格所持者しか名乗ることができない「名称独占」の資格ではありますが、資格を持っている人しか業務に従事できない「業務独占」の資格ではありません。管理栄養士でない人が栄養相談をしたり、給食の献立を立てたりしても法律上は全く問題がないため、管理栄養士の業務は資格を持っていない他の職種の人に代わられることも多いことが、給与の低さに関係しています。

利益を生み出しにくい

管理栄養士の業務は、利益を上げることが難しいという事が2つ目の理由です。病院や施設などでは、管理栄養士が計画を立てたり栄養指導に関わったりすることで、診療報酬や介護報酬から売り上げを上げられますが、管理栄養士は獲得できる点数がそもそも少ないため、人数を増やしても利益が増えるわけではありません。
病院の場合、国から診療報酬として貰える給食費は全国どこの病院でも一律で、1食640円、3食で1920円です。この給食費は、食事の内容が豪華でも質素でも同じになります。上限が決まっており、管理栄養士の努力では利益を生み出すことが難しくなっています。

必要人数に対し、人数が多い

3つ目の理由は、管理栄養士の数が多すぎるということです。厚生労働省のデータによると、令和2年度の管理栄養士数は約25万人で、毎年約1万人が国家試験に合格しています。年々、管理栄養士の数が増え続けていても、就職先の数はあまり増えていません。そうなると、雇用する側からすれば待遇を改善することなく管理栄養士として働きたい人が大勢応募してくることになりますので、給料や待遇が改善されない状況に陥ってしまいます。給料や待遇に不満があって退職者が出ても、そのままの給料と待遇ですぐに人員が補填できてしまうという状態になります。雇用される側にとっての悪循環が続いており、すぐに改善は見込めません。

職種や職場による違い

「管理栄養士」という職業は、様々な職場で募集がありますので、待遇も大きく違ってきます。平均値を下げている職場と上げている職場があります。

給食

給食センターで働く管理栄養士の仕事は、従業員の人数や、各自治体・給食委託会社によっても異なりますが、平均年収は比較的高くなっています。600万前後と高収入の職場もあるようですが、高い理由としては、給食センターが常に人手不足なことが大きく関係しており、離職率を減らす働きや、積極的に採用を行う会社が多く見受けられることが関係しています。

病院

病院で管理栄養士が必要な理由には、法律の存在も影響しています。管理栄養士の設置が定められている医療法と健康増進法によって、最低配置人数も定められています。給料は平均値より高めで、病院の方針によっても上下します。しかし求人倍率が高いことと、臨床業務と呼ばれる栄養指導や栄養管理、栄養サポートチーム業務など、臨床栄養の知識が必要です。臨床栄養学は、管理栄養士となる過程で学ぶ内容ですが、病院以外の施設で働いていると知識も薄れてきてしまいます。病院勤務を目指す場合は、再度勉強をしたり、セミナーや外部の研修会に参加したりして、知識を深める必要があります。

公務員

管理栄養士は「地方上級公務員」として採用されます。公務員の管理栄養士・栄養士は、行政施設である保健所・保健センター、公立病院、公立保育園や幼稚園などの自治体が管理運営する施設で働いており、初任給は平均値とさほど変わらず高くありませんが、給料の基準は各自治体が俸給表により一律で決定しています。勤続年数が長くなれば給料は確実に昇給します。民間企業では昇給があるかどうかが業績に左右されることも多いので、安定して昇給が見込めます。
また、自衛隊で働く管理栄養士は「特別職国家公務員」の肩書きが与えられ、「防衛技官」とも呼ばれます。野外炊事の献立作成支援という自衛隊独自の業務も担当します。こちらも公務員であることには変わりないので、勤続年数に応じて昇給があります。

法人や一般企業

管理栄養士は、食品メーカーや社員食堂、社会福祉施設、介護施設など、様々な職場を選ぶことができますが、職場によって業務内容や給料などが大きく異なります。
たとえば給料の高さで選ぶなら、大卒または大学院卒の管理栄養士の場合、医薬品メーカーで研究職や臨床検査薬情報担当者、医薬情報担当者、医薬品卸販売担当者として働くことができます。医薬品メーカーの平均年収は450万円ほどになりますので、管理栄養士の平均値と比べるとかなり高いといえます。

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管理栄養士の給料をアップするには

公務員は勤続年数での昇給が見込めますが、それ以外に給料を上げるとなると、そのままの職場で働き続けるだけでは給料のアップは難しくなります。給料を上げたい時には、以下の2つの方法を考えましょう。

職場を変えてみる

ここまで紹介してきた通り、管理栄養士の職場はかなり幅広く、給料や業務内容も大きく違ってきます。これまでの経験を活かせる、基本給のより高い職場や、未経験に近い業務内容でも待遇の良い職場も見つかる可能性があります。しかし、管理栄養士の人材は供給過多で、常に豊富な求人があるわけではありません。現在の職場での勤務を続けつつ、管理栄養士の転職をサポートしてくれるエージェントや転職サイトに条件を登録しておくのも一つの手です。
自衛隊で管理栄養士として働きたいと思った場合は、通常の転職活動とは異なる流れになります。自衛隊の管理栄養士は国家公務員となり、一般曹候補生採用試験という公務員試験を受ける必要があります。

働き方を変えてみる(フリーランス等)

会社などに所属せずに、フリーランスの管理栄養士としての働くという方法もあります。個人でセミナーの集客や、レシピ開発、管理栄養士の視点を生かした執筆活動や、料理教室、出張料理人など、自由な働き方ができます。自由な分、給料の最低保証などが無いので、自分で仕事を取りにいかなければならないという重圧もあります。
しかし、近年はクラウドソーシングサービスを利用が広まり、フリーランスの方でも仕事を探しやすくなっていることから、フリーランスという働き方に踏み切るハードルは下がっているようです。

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まとめ

管理栄養士の給料は低いと言われることが多いですが、働ける職場の幅が広いため、給料や待遇が大きく異なります。平均値だけを見ると給料は低くなりがちですが、職場によっては大幅に高くなることもありますので、現在の給料に不満がある場合は、転職を考えるタイミングかも知れません。
管理栄養士の求人は、倍率は高いものの、様々な職場の中から選べるという利点がありますので、自分が納得して働ける職場を探していきましょう。

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