6月11日、錦織選手の奮闘で盛り上がった全仏オープンが閉幕しました。
錦織選手がランクを上げ、世界ランク上位の選手と闘う機会が増えるにつれ、日本でもテニスの一流プレーヤーの認知度が高まっています。
そんな中、日本で「グルテンフリー」が認知されるのに一役買ったのが、ノバク・ジョコビッチ選手です。
彼は自身のグルテン不耐症に気づき、食事からグルテンを排除したことで、世界一のテニスプレーヤーになったことはよく知られています。
ユニクロとの契約は満了になってしまったものの、2011年の東日本大震災のときには、被災地支援のために、マイアミにプロテニス選手を集めてチャリティーサッカー大会を開催。売上げの全額を寄付するなど、日本とも関係の深い選手です。
「グルテンフリー」にばかり目が行きがちですが、ジョコビッチ選手は「食事」の持つ力の大きさをその著書『ジョコビッチの生まれ変わる食事』の中で繰り返し強調しています。
食事を変えたことによって、世界一という最高の結果を手にしたジョコビッチ選手の著作から、われわれが学べる「食べ方」のルールを取り上げてみましょう。
一流アスリートの食事ルール①:ゆっくりと意識的に食べよう
「速く食べるとどうなるか? 大急ぎで食事をかき込んだときの結果は、あなたでも私でも同じだ。
胃に食べ物が大きな塊として押し寄せてくるので、得た情報を処理する時間がない。胃が正しい時期に正しい情報を得られなければ、消化は遅くなる。体は『もう満腹だ』という信号を出さなくなる。よって食べすぎる。(略)
具体的には、唾液に含まれるエンザイム(酵素)に口の中にある食物を分解させないので、胃が本来しなくてもいい仕事をしなければならなくなる」
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ジョコビッチ選手は「食事中はテレビもメールも見ず、目の前の食物に集中する」としています。
しっかり噛んで時間をかけて食べることは、満腹中枢を刺激し早めに満腹感を得られるなど、ダイエットにも効果があることがわかっています。胃にきちんと働いてもらうためにも、ゆっくりと食べることは大切なのです。
一流アスリートの食事ルール②:体に明確な指示を出そう
「私たちの肉体は、食物をおもに2つの目的で使う。
1つ目は足を動かし続ける、心臓の鼓動を続けさせる、ラケットを振るといった活動のエネルギー源としてだ。炭水化物が私たちの日常活動におけるおもなエネルギー源である。
2つ目は、治癒と回復だ。長い練習であれ、オフィスにおける長時間労働であれ、一日にもたらされたダメージの修復だ」
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ジョコビッチ選手が昼食時までに摂取するのは、エネルギーに変換されやすい炭水化物です。
逆に、夕食には「体が作った傷を修復してもらうため」のプロテインをとります。つまり、鶏肉、肉類、魚をメインにします。
さらに野菜・果物はというと……朝食時は糖類が豊富なベリー類。昼食時は、あらゆる果物と野菜。夕食時はサラダや葉物野菜で水分を重要視。
体がどの栄養を、どうやって使うかを意識しながら、朝昼晩と食べ方を変えているというわけです。
一流アスリートの食事ルール③:前向きであれ!
「食事中に私が決してテレビを観ない理由の一つがそこにある。テレビに前向きな話など
ほとんど出てこないではないか。
私は何を食べるかだけでなく、同時に食べ物をどう扱うかによって、それが明るいエネルギーも暗いエネルギーも運ぶことがあると信じている」?
ベネッセが小学1~6年生の子どもを持つ親にアンケートをとったところ、46%が「晩御飯の時間に、毎日テレビをつけている」と答えたそうです。そして、興味深いことにそのうちの8割が「食事中にテレビを観ていることを注意する」と答えているのです。
「本当は見て欲しくないけど、なんとなくテレビをつけてしまう…」そんな家族の悩ましい姿が見てとれます。
せっかくなら、テレビではなく、食卓の一品一品が話題の中心であってほしいものです。
一流アスリートの食事ルール④:量ではなく、質を追求せよ!
「プロスポーツの世界において、アスリートたちはつねづね「十分」ではないことを恐れている。十分な燃料、十分な水分補給、十分な栄養……。大多数のアスリートたちと同じく、私もまた十分な食物をとれていないのではと不安だった。(略)だからいつも余計に食べていた。満腹のときでも食べ続け、練習中も防腐剤や糖分まみれの「エネルギーバー」を無理やり食べた。こうして私は必要以上の食物を胃に詰め込み、処理しきれないほどの膨大な情報を送りこんでいたのだ」
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アスリートとは別の意味で、現代人にとって「食べすぎ」は大きな問題です。テレビコマーシャル、スーパーやコンビニ…あらゆる場所に「食べすぎ」の誘惑が潜んでいます。
「新鮮なトマトと、トマトから精製されて保存料が入ったソースには明らかな違いがある」と述べるジョコビッチ選手は徹底して「質」を追求しています。
“それを取り込んで本当に自分の身体は喜ぶのか?”という視点で、食べ物の「量」と「質」の見直しは大切なことかもしれません。
出版社:三五館
著:ノバク・ジョコビッチ
訳:タカ大丸
第二集団でもがくだけだったジョコビッチ選手は、自身のグルテン不耐症に気づいてから、食事内容を完全に変える。何を、どう食べたらいいのか?そして彼はテニス界絶対王者に君臨。その勝利の食卓とは。――日本における「グルテンフリー」の火付け役にもなったベストセラー。