近年、ブームとなっているアンチエイジング。元々は、年齢を重ねるとどうしても高まってしまう健康リスクを、その老化を穏やかにすることで減少させて、健康寿命を延ばすことが目的でした。しかし今ではそれ以上に、美容業界でのアンチエイジング、つまり見た目を若返らせることに注目が集まっています。

続々と新しい手法が紹介されていますが、その中でも、筋トレが若々しさを保つうえで、とても良い効果を発揮してくれるのをご存知ですか?今回はその理由と、筋トレをより効果的にする食事のルールについてお話します!

なぜ筋トレで若々しさが保たれる?

一般的に筋トレというと、ムキムキなマッチョになるために行うイメージが強くありませんか?健康や見た目をよくするために行うダイエットとは少しニュアンスが違い、敷居が高く感じる方も多いかもしれません。また、筋肉をつけたいわけじゃないという方もいることと思います。しかし、たくさんの素晴らしい効果と、簡単な食事のポイントを押さえれば、あなたも筋トレの世界に足を踏み入れたくなること間違いなしです!

①成長ホルモンが増加!

 まず、筋トレをすると成長ホルモンが分泌されます。これは身長を伸ばすホルモンとして知られていますが、その効果は成長期を過ぎるとなくなり、分泌量も減っていきます。成長ホルモンには、タンパク質の合成を促進する役割、志望の分解を促進する役割、そして細胞の再生サイクルを早める役割の3つの役割があります。成長期以降の『老け』は、成長ホルモンの減少が一因となって引き起こされています。

何でもない所で躓いたり、姿勢が悪くなってきたり、おなか周りが気になりだしたりするのは、タンパク質合成と脂質分解が促進されなくなることで起こります。また、肌ツヤが悪くなったりしわやたるみ、抜け毛などは、古くなった細胞が新しく生まれ変われなくなって引き起こされます。放っておくとどんどん成長ホルモンの分泌量は減り、『老けた』状態になりますが、筋トレをするとどんどん減っていく成長ホルモンを分泌させることができるのです!

②筋量の増加による血流がよくなる!

筋トレにはほかにも良い効果があります。下半身の筋量が増えると、血流が良くなりむくみや冷え性・肩こりの改善につながります。また、筋トレをすることでナチュラルキラー細胞という免疫細胞が活発になることも分かっています。ナチュラルキラー細胞は、体にウイルスや細菌が侵入したときや、自分の細胞が正常な機能を失った時などに、最初に攻撃する免疫細胞です。これが活発に活動していると、病気になりにくくなります。さらに、筋肉量が減少すると、糖尿病などの生活習慣病や、ガン、認知症のリスクも高くなるといわれています。筋トレをすることで見た目の若々しさはもちろん、病気になりにくい内面的な健康も手に入れることができるのです。

筋トレ中の食事はこの3つのルールを守ろう!

せっかく筋トレをしても、しっかり栄養バランスの取れた食事を食べていないと、意味がありません。運動をすればエネルギーを使います。運動中に蓄えているエネルギーが足りなくなれば、筋肉を分解して力に変えようとします。そうなっては筋トレの意味がありませんよね。枯渇したエネルギーを補充するのは食事からです。では、具体的にどうしたらよいのでしょう?

ルール①朝食は抜かず、3食きちんと食べる

筋トレの効果を最大限に上げるために、食事の仕方はとても重要です。基本的なことではありますが、特に朝食は抜かないようにしましょう。寝ている間に枯渇したエネルギーや栄養素を補給して一日の活力を与えてくれます。朝食を抜くと、脂肪がつきやすく、筋肉が育ちにくいという、溜め込みやすい体質になってしまい。朝食は、成長ホルモンの分泌を促し、代謝を上げてくれます。成長ホルモンが出やすくなればそれだけ筋トレの効果もアップするので、朝食は抜かず3食きちんと食べましょう。

ルール②タンパク質の摂取を「適切量」を守る

筋トレするとなったら真っ先にタンパク質をたくさん取らないと!と思うのではないでしょうか。確かにその通りです。プロテインを飲んだり高たんぱく低カロリーの食材を選んだり、気を付けている方も多いと思います。しかし必要以上に摂取されたタンパク質が脂肪となって蓄えられてしまうこと、はあまり知られていません。さらに腎臓に負担をかけてしまう恐れも。そうならないために、最初に自分に必要な摂取量を知りましょう。

通常、普通の生活を送る人の適正なタンパク質摂取量は、体重1Kg当たり1gとされています。どんなにハードなトレーニングをしている人でも、上限は体重1Kg当たり2gまでです。女性の場合、男性よりも筋肉がつきずらいため、筋トレをしていても、オーバーしてしまいがちです。筋トレ女子にお勧めするタンパク質摂取量は、体重1Kg当たり1.2g程度です。例えば、体重50Kgの女性がその体重を維持しようと思えば、一日60gのタンパク質を摂取して、筋トレを続けると体系を維持できる計算になります。また、減量したい人・増量したい人も)は、目標体重×1.2gを理想にしましょう。

食品によってタンパク質含有量は異なります。肉類は100g当たり20gと覚えておきましょう。脂身が多くなれば、脂質が増えますがタンパク質は減り、カロリーも上がってしまいますので、お肉を選ぶ際に参考にしてください。また卵1個、牛乳200ml、木綿豆腐100gでは、ともに約6gのタンパク質が含まれています。お料理に使いやすい、食べやすい食材なので覚えておくといいですね。

ルール③プロテイン活用で、より効果的に!

ルール②でお話ししたように、たんぱく質は摂る量が大切です。多すぎれば脂肪に変わり、少なければ筋肉が育ちません。基本的に食事から必要なたんぱく質を3食に分けてきちんと摂ることが重要です。しかし、なかなかすぐにそのような食事をするのは難しい!と言う方も多いと思います。そんなときはプロテインのサプリメントを活用して、不足した分を摂取する方法もあります。トレーニング中などにも簡単に摂取できますし、その方が効果的な場合もあります。

おすすめはBCAAというプロテインです。BCAAは運動中エネルギーとなるアミノ酸で、筋トレ前に飲むと、筋肉を分解することなく効率よく不足したエネルギーを補ってくれます。

筋トレは良いことばかりではない!?活性酸素にご用心!

これまで、筋トレの良い効果を紹介してきましたが、実はあまりうれしくない面もあるのです。それは、「活性酸素が増えてしまうこと」。ヒトが生命を維持していくためにはエネルギーが必要です。そのエネルギーを作り出す過程で、活性酸素も生まれてしまうと言われています。活性酸素には強い殺菌作用があるので、体に侵入した細菌や、がん細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞は、この活性酸素を利用していると言われています。しかし、増えすぎると正常な細胞まで攻撃してしまいます。攻撃というと壊すイメージがありますが、活性酸素は、からだの中のあらゆるものを酸化させて錆びつかせてしまいます。元々体には活性酸素に対抗するための、抗酸化酵素などの防御システムが備わっています。筋トレのほかにも活性酸素を増やしてしまう要因として、加齢、ストレス、飲酒、喫煙、紫外線、食品添加物、栄養不足などがあります。これらをなるべく避けるようにすることで、活性酸素を減らすことができ、生活習慣病やガンのリスクを減らしたり、シミ・しわ・たるみなどの見た目の老化を食い止めることに繋がります。

 美しい体を目指す筋トレ女子に必要なことは、「朝食は抜かず、3食きちんと食べる」「タンパク質の適切な摂取量を知り、摂取すること」「プロテインを上手に活用する」この3つの食事のルールを守ることです。近年の健康志向の高まりで、人気が増しているフィットネス業界。24時間営業のスポーツジムも急増しており、ライフスタイルに合わせたジム通いがしやすくなりました。筋トレと合わせて、しっかりとした食事をとることで、見た目も心も健康的で若々しい身体を手に入れましょう!!レッツ!アンチエイジング!!


 

ライター紹介 住岡昌恵(管理栄養士、スポーツ栄養実践指導者)
女子栄養大学卒業後、病院の管理栄養士として入職。調理業務を中心に、献立作成や発注等の事務作業、栄養指導・特定保健指導にも従事。現在は出張・作り置きサービス「シェアダイン」の料理家として、主に子育て世帯の食事に向き合い、献立の提案・調理・レシピ提供等を行っている。

シェアダインとは 栄養士や調理師など食のプロ料理家が、家庭料理をご提案し、4日分のお料理を調理する出張「作り置きサービス」の会社です。(https://sharedine.me)