妊娠中は体調の変化にとても敏感になりますが、ママの体が変化するのは妊娠中だけではありません。産後、特に出産から8週間までの産褥(さんじょく)期にも、ママの体にめまぐるしい変化が訪れます。産褥期はお産を終えて元の体に戻るための大切な期間なのです。

痩せることではなく、出産によってダメージを受けた体を回復させながら、母乳に良い食事をすることで、無理なく体型を戻すことがおススメです。授乳生活がスムーズに始まり、しっかり軌道に乗れば、体の自然なメカニズムとして驚くほど自然に体型が戻っていくでしょう。

管理栄養士である筆者が、出張料理サービスで産後のママのための食事を作る際に気をつけている食事の3つのルールをご紹介します。

管理栄養士が教えるシンプルな食事の3つのルールはコレだ!

ルール① 3食バランスよく食べる

産後でダメージを受けたママの体を回復させるため、そして赤ちゃんのためにも、3食バランスよく食べましょう。産後は授乳のリズムも整わず、赤ちゃんのお世話は24時間体制になることでしょう。台所に立つのも大変だったり、また食べる時間さえない状況もあるかもしれません。周りの方を頼ったり、出張料理サービスなどを利用するのも良いでしょう。

ルール② 体を温める

体を温める食事を心がけましょう。ネギや生姜を使ったり、汁物で体を温めてつつ、母乳で失われる水分や体温をしっかり回復させましょう。

ルール③添加物、濃い味のものを避ける

母乳を通じて、赤ちゃんもママの食事を敏感に感じ取ります。添加物の多い食品、辛い食べ物、塩分の取りすぎは母乳の味が変わることがあると言われています。赤ちゃんの母乳の飲み方がいつもと違うと思ったら食事を見直してみましょう。 

積極的に摂りたい栄養素とその働きを知ろう!

・ビタミンB1

疲労回復効果が期待でき、糖質を代謝するためにも必要な栄養素です。糖質が代謝されないと体に脂肪を蓄積しやすい状態になります。体型が気になるママにとっても必要な栄養素と言えるでしょう。豚肉や玄米に多く含まれます

・亜鉛

たんぱく質の代謝を促すので、産後の肌あれや抜け毛の悩みを持つママに必要な栄養素です。あさり、うなぎ、卵黄、高野豆腐、まいたけなどに多く含まれます。

・ビタミンC

出産で消耗した軟骨とコラーゲンの回復のために、食事に多く取り入れましょう。野菜や果物に含まれます。また亜鉛の吸収も促すので一緒に食べることをお勧めします。

・鉄分、葉酸

貧血予防になる鉄や体の代謝や細胞の再生をする助けになり体の発育を促す葉酸は妊娠中だけでなく、授乳中にも必要になる栄養素です。鉄はほうれん草、小松菜、ひじき、大豆、牛赤身肉、かつお、あさりなどに多く含まれます。ほうれん草や小松菜は葉酸も多く含みます。

体力回復と母乳に良い食事・赤ちゃん嬉しい母乳を作るメニュー2

ひじきと桜海老の炊き込みご飯

ひじきは鉄分とカルシウムが豊富です。桜海老はカルシウムと葉酸が豊富で産後のママ必要な栄養素が含まれます。また一緒に入れる枝豆は良質なたんぱく質とビタミンB1が豊富です。炊き込みご飯をおにぎりにするだけで育児や家事で忙しいママも簡単に食事もできます。冷凍にして、作り置きにもおすすめです。

(2人前 *おにぎり約10個分)

 

  • 米          2合
  • 水          規定量
  • ひじき(戻したもの) 20g
  • 桜海老        5g
  • 枝豆         30g
  • 白ごま        小さじ2
  • 醤油         小さじ1
  • 酒          小さじ2
  • 塩          ひとつまみ
  1. お米を研ぎ、炊飯器に規定量水と入れる。
  2. 1. にひじき、桜海老、枝豆、白ごまと調味料を入れてかるく混ぜ合わせる。
  3. 炊飯する。

あさりの味噌チャウダー

あさりは亜鉛、ビタミン12が豊富。ほうれん草は鉄、牛乳はカルシウムが豊富です。そのまま飲んでも、たくさんの栄養素が取れます。うどんや、パスタを入れると主食にも変わります。

 

(2人前)

  • あさり水煮缶  1缶(約130g)
  • 玉葱      1/2個
  • じゃがいも   1個
  • ほうれん草   2束
  • 人参      1/4本
  • 牛乳      300ml
  • 小麦粉     小さじ2
  • だし汁     300ml
  • 味噌      大さじ1と1/2
  1. 玉葱、じゃがいも、人参は1cm角切にする。ほうれん草は3cmのザク切りにする。
  2. 鍋にだし汁と①を入れて、5分ほど煮込む。
  3. ほうれん草とあさり水煮缶を汁ごと入れ、味噌で味をつける。
  4. 牛乳に小麦粉を入れ溶き、鍋に入れ5分ほど煮込みとろみがついたら火を止める。

いかがでしたでしょうか。産後は妊娠時と同じくらいママの体に大きな変化が起こっています。出産で体にダメージが残る中、赤ちゃんのお世話で睡眠もなかなか取れない日々がしばらく続くでしょう。食事を控えるなどして体重を落とせたとしても、やつれきって不健康になってしまってはいけません。またこの時期は、母乳が赤ちゃんの栄養となります。ママがしっかり栄養に富んだ食事をし、良い母乳を出し、授乳生活をスムーズに行うことにより体重が落ちていくのが望ましいです。ぜひ今回ご紹介したシンプルな3つのルールを守って、産後を乗り越えてくださいね!

<筆者プロフィール>

藤﨑千尋(管理栄養士)

専門学校卒業後、委託給食会社にて保育園、学校、病院にて大量調理を経験。その後、デパ地下やレストランを運営する会社にて食材の購買業務や大手コンビニ向けのプライベートブランドや缶詰の開発や有名店、有名シェフ監修のお弁当の商品企画、開発に従事。現在はフリーランスとして、商品開発、レシピ提供、撮影スタイリング、衛生指導等を行う傍ら、出張料理シェアダインの料理家として活動。

シェアダインとは

栄養士や調理師など食のプロ料理家が、家庭料理をご提案し、3日分のお料理を調理する出張「作り置きサービス」の会社です。登録しているプロ料理家がライターとして発信する、妊活・妊娠・出産・育児を楽しむためのウェブメディアも運営しています。

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