テレビ、雑誌、料理本など様々なメディアで取り上げられて大人気の作り置きレシピ。週末に作り置きを作ると平日楽になるのでチャレンジしている方も多いのでは。筆者は、実際にお客様の自宅に出張し、作り置きを調理する料理代行を仕事としています。初めて訪問するご家庭のキッチンでも15品程度は3時間程度で作っています。

作り置きに関して、よくお客様からご相談いただくのが、「沢山の品数を一度に作るだけで半日がかりになってしまい疲れてしまう」、「味のパターン、メニューが似通ってしまい飽きてしまう」、「食中毒など衛生面が心配」などのお悩み。

そこで、今回は作り置きについて、どうやったら効率的・衛生的にたくさんの品数が調理できるかを、「段取り」「準備・調理」「後片付け」の3段階に分けてテクニックをお伝えします。

作り置き準備・段取り編

作り置きは段取りがとても大切です。あらかじめしっかり段取りを決めておきましょう。

メニューの組み立て

先ずは冷蔵庫に入っている食材を把握してメニューを組み立てていくのがおすすめです。肉魚は温度管理に気を付けたほうが良いですが、使う食材はすべて出してしまいましょう。冷蔵庫の開け閉めをする無駄も省けますし、何を使いたいか整理できるので効率アップです。作りたいメニューが大体決まったら必要な調味料だけ先に混ぜ合わせてしまうと失敗も少なく、レシピを見る手間も減らせます。

調理順の組み立て

調理中に気を付けることとしては、デザートやサラダは最初に調理してしまうのが良いですね。衛生面で肉魚との接触をさけて、食中毒も予防します。生食のものが終わったら、湯でものは加熱時間が長いものから調理をしていきましょう。野菜は料理ごとに大きさをそろえるだけで火の通りが均一になり、食感もよくなります。浅漬けや漬け込み料理は最初に混ぜ合わせた調味料に漬け込んでおけば調理が終わるころには食べごろです。

作り置き調理編

ここからは、いよいよ調理編に移ります。衛生管理をしっかりしながら、作業効率を格段に上げるためのテクニックをお伝えします。

作業効率を上げるための調理の事前準備

調理をいきなり始めるのではなく、シンクや洗いかごに入っている洗い物はきれいに片づけましょう。そうすることでスペースが確保されて作業効率が格段にアップします。シンクも立派な調理台です。熱湯を沸かしてシンク全体にかけることで消毒にもなります。市販の調理用アルコールスプレーもおすすめです。アルコールで調理台をサッと拭きます。料理を入れる容器もアルコールをかけておくことで衛生的に保存できます。

調理家電フル活用

うちにはコンロが2口しかなくて…なんてお宅もたくさんあるかと思います。キッチンには加熱調理できる家電がたくさんあります。電子レンジや炊飯器、グリル、トースター。それぞれの家電を上手に活用することでたくさんの料理を一度に作ることができます。

調理器具の使い方

・炊飯器

ローストビーフ、角煮、スペアリブ、シチュー、カレーなど、じっくり煮込みたい、ゆっくり火を通したい料理との相性が抜群。スイッチを押せば、あとは他の料理をしながら待つだけなので簡単・時短におすすめの家電です。

・魚焼きグリル

焼き魚はもちろん、野菜、ピザ、魚介の酒蒸しなど様々な食材に使えます。グリルは電子レンジとは違い、うまみを内側から引き出したいときにおすすめです。特に野菜は、グリルで焼くことで甘みがでて、マリネなどに合わせるととてもおいしいです。

・トースター

グラタン、ホイル焼き、春巻きなど、サクッとさせたいときに活用できます。オーブンより手軽に使えて時間もかからないので忙しいときのお助け家電です。

・オーブン

トースターより予熱などで時間はかかりますが、食材全体を熱で包み込むのでハンバーグやローストチキンなどをジューシーに仕上げられます。コロッケやライスボールなど揚げ物も手軽にできますよ。

調味料の組み合わせ

同じ食材でも調味料を変えるだけでガラリと印象は変わります。「冷蔵庫に豚肉とキャベツしかない」なんて時も、醤油・みりん・砂糖で煮物、ニンニク・オリーブオイル・塩・こしょうでイタリアン、甜麵醬・豆板醤・オイスターソース・鶏ガラスープで中華風と、調味料を上手に組み合わせるだけで様々なバリエーションの味が楽しめます。

筆者のオススメの調味料はオイスターソース。意外とご家庭に常備されていないことが多いのですが、「なんだか味が決まらない」、「いつも味がマンネリ化してしまっていて」なんてお困りの方は、オイスターソースを冷蔵庫に一本常備しておくと便利です。例えば、オイスターソースと醤油でチンジャオロースができますし、マヨネーズとゴマで炒めるとお肉はふんわり香ばしく炒めることができ、子供のお弁当のおかずにも最適です。味が決まらないカレーや煮込み料理にも少し入れるだけで味に深みがでますよ。

作り置きの片付け編

途中の洗い物は衛生に気をつけながらも効率的にしたいもの。また最後の片付けも含めてお料理です。ここでは片付けについてのテクニックをお伝えします。

洗うタイミング

油を使わなかったボウルやまな板などは水だけで汚れが落ちるので、さっとゆすいで使いまわします。シンクも調理場として活用できるので洗い物は出たときに洗っていくようにするだけで快適に料理ができますよ。

ゆで汁活用法

野菜をゆでるときはアクの少ないものからゆでていくと一つのお鍋で一度にたくさんの野菜をゆでることができます。お肉を湯がいたお湯はそのままスープとして活用できます。

 

コツさえ掴めば簡単!まずは2.3品から挑戦してみて

作り置きは慣れてしまえば日々の食卓を豊かに、健康にできるおすすめの方法です。いきなり何品も作ろうと頑張りすぎず、まずはできる範囲で2、3品作ることから始めてはいかがでしょうか。レパートリーをひとつずつ増やしていくことで、作り置きが簡単になっていきます。ハンバーグを作った時の余ったひき肉を使ってピーマンの肉詰めを作ろう。余ったピーマンはレンチンしてツナと合わせて副菜にしよう。なんて気軽に考えながらチャレンジしてくださいね。

ライター紹介 清野小百合(出張料理家・ヘルスフードカウンセラー)
大学卒業後、大手料理教室にて料理講師として5年間勤務。料理・パン・ケーキの授業を受け持ち、店長も経験。幼児から大人まで幅広い世代の生徒を毎月500人程度担当。出張・作り置きサービス「シェアダイン」の料理家sayuriとして、主に子育て世帯の食事に向き合い、献立の提案・調理・レシピ提供等を行っている。