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料理の道に進まれたきっかけについて教えてください
美術系の短大を卒業してからテレビの制作会社に就職しましたが、過酷な勤務だったため３年ほどで体調を崩し退職しました。その後、知り合いのつてで、カナダのモントリオールでワーキングホリデーとして、日本人向けの観光ガイドなどをして１年間過ごしました。
モントリオールというところは、公用語がフランス語でフランスとアメリカの文化が混じり合っている土地でした。そこでフレンチをベースとした家庭料理に出会い、フレンチに興味をもつようになったというのがきっかけです。
日本に戻られてから料理人の道に足を踏み入れたということですね
はい、私は料理学校を卒業していなかったので、最初はアルバイトとして恵比寿のビストロに入り、ホールスタッフから始めました。そのお店はフレンチの人気店「AUX BACCHANALES」出身のシェフがやっていたのですが、キッチンには入らせて貰えませんでした。ただ、シェフの腕前は確かで、料理について基本的なことは学べたと思います。
私はどうしてもキッチンに入りたかったので、「DEAN & DELUCA」に移り、テイクアウトのお惣菜などを作り、下準備から仕上げまで、一通り調理を学ぶことができました。例えば基本的な包丁の使い方や、火入れの仕方などについてです。こちらのお店もアルバイトで入りましたが、社員になり様々な経験を積むことができました。
料理人として転機になったのはどこのお店で働いたときでしょうか
「ミクニ マンスール」という、病院内にあるフレンチレストランに勤めたことです。このお店は三國系列で東京の四谷にあります。管理栄養士と三國清三シェフが組んで、健康に良いお店ということをテーマにしていて、そこに興味があり勤めることにしました。ディナーは完全貸し切りの予約制でした。
このお店ではデザート担当をやらせて頂いた後に、スーシェフ（副料理長）も任せて頂き、コース料理やランチプレートなど、ほぼ全てのメニューに携わることができて。このときの経験がものすごく勉強になりましたね。ディナーは１組しかお客様がいらっしゃらないので、当時は目の前の料理に集中することができました。
それまで働いてきたお店では、先輩やシェフがいて、指示を出されるままに動くという、言ってみれば作業員のような働き方でした。それが、このお店では、旬の素材を使ってどのように調理しようとか、そういった創意工夫もできたので、仕事はとても充実していました。
未経験からスーシェフにまでなられましたが、どういった想いで仕事を続けて来られたのですか？
いつかは自分でお店を持つのが目標だったため、先に技術を身につけておきたいという考えがありました。雇われて働くことが性に合わない、というところもありましたね。
なので自分の得意なことを突き詰め、自分の作った料理で誰かが喜ぶ顔を見たいという想いはずっとありました。おいしいものを食べたら、人はすぐ笑顔になり、料理を出した方はその様子を見てすぐ分かりますから。
お店の料理人だった時代に印象に残っているエピソードはありますか
今でも覚えているのは、DEAN & DELUCAの総料理長から言われた言葉です。それは「料理はやさしくないとできない、思いやりがないとおいしい料理は作れない」と言うことです。
男社会の料理人の世界では、自分の技術を誇示するような人も中にはいます。ただ、お客様あってのレストランなので、お客さん目線で「こういう風に調理すればおいしい料理が作れる」という気持ちも持ち続けることが大切だと考えます。
シェアダインのシェフになられた経緯についても教えてください
お菓子作りがうまいと周りから言われて、自分の作ったお菓子を通販で販売する事業をはじめたことがあるのですが、売り方などが難しく、なかなかうまくいきませんでした。ちょうどコロナ禍でしたし、何かできる仕事がないかと考えていたときに、主婦の友人づてにミールキットなどが広まっていると聞き、いろいろ調べていくうちに出張シェフのことを知りました。
そこで、家庭にいながら、プロのおいしいご飯が食べられるサービスに興味を持ちました。
また、自分が腕を磨いてきたフレンチを家庭向けに出したら、受け入れられるのか試してみたいという気持ちもありましたね。
シェアダインのシェフとして、今後挑戦したいことなどはありますか？
現在はフレンチをメインとしていますが、実はアジア料理なども好きです、こういったメニューも出してみたいです。
シェアダインのシェフをさせて頂いていることは、自分にとって貴重な体験です。お客様のすぐそばで料理ができて、お客様の喜ぶ顔が見られるのでやり甲斐を感じています。
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