始まりはおかし作り

両親が共働きだったため、学校帰りに祖母の家に向かうのが日常でした。祖母の家には広いキッチンがあり、よくそこで祖母と一緒にお菓子を作り時間を過ごしていました。小学生になったぐらいの頃だったと思います、小麦粉で遊んでいる中で、これで何か作れないかな?とふと思い立ちました。自分なりに色々と調べてマフィンなどのお菓子を作るようになり、作れるようになること、そして家族が喜んで食べてくれることがとても楽しかった。この頃は将来パティシエになりたいと考えていました。

中高生の時は、忙しい両親に変わってお味噌汁だけ作っておく、お米を洗って炊いておく、などのお手伝いをよくしていました。母と一緒に台所に立つ時間は楽しい記憶とともにあります。

パティシエへの憧れから栄養学への興味へ

たまたま本屋さんで手にした女性向けのファッション雑誌の一記事に栄養に関するページがあり、自然とそれに目が止まりました。ファッションページより、栄養や食事のページを読むほうが楽しかった。進路をどうしようか、と考える時期に、おかし作りも好きで、漠然と憧れていた パティシエになるための専門学校(レコールバンタンなど)について調べていたのですが、栄養学って面白そうだなと、ふと本屋さんでの記憶が蘇り、管理栄養士の資格取得を目指そうと考えました。栄養士の資格取得ができる2年生の短大に入りましたが、さらに専門的な知識を深め、国家資格である管理栄養士を目指そうと養成コースのある四年制の大学(聖徳大学)へ編入しま した。

プレッシャーから体調不良に

ところが、編入先の大学でプレッシャーから体調を崩してしまったんです。私のような編入生は試験の成績が良いのが当たり前とみられる大学だったことに加え、ある授業では成績順に席が決まるシステムで、自分の成績が丸見え。そういったことがプレッシャーとして積み重なっていきました。さらに大学生になってからは、中高生時代に熱心に行なっていた部活動(バスケ)をやめてしまったため運動量が減って体重も増加。極端なダイエットをしてみたり、マッサージに通ってみたり、便秘などの不調を治そうと薬にも頼っていました。全く身体のコントロールが効かなくなってしまっている状態でした。栄養学を学んでいるのに!…と自分を責めたり、栄養学自体が信じられなくなったこともありました。

なんとか管理栄養士の国家資格試験に合格し、大手の給食センターへ就職を果たしましたが、最初の仕事では午前中は試食のため、ずっと朝から何かしら食べないといけない生活でした。これも私の身体には負担がかかることで、どうしたら体調を保てるのか、自分なりに研究に研究を重ねました。この経験が、今の自分の仕事につながっています。

必要な人に必要な情報がキチンと届く世界にしたい

管理栄養士として働く中で、自分の経験をもとに、女性が強くしなやかに働き続けるための活動を行なっていきたいと考えるようになりました。もちろん女性としての美しさも自分で育む、という視点にも興味がありました。

身体も心も満足させるために重要な要素である「味覚」や「おいしさの科学」「摂れる体作り」に着目したインプットとアウトプットも続けています。2014年ごろには若年女性の痩せすぎ防止 や不妊症・低出生体重児の予防を目的とした共同研究・早期啓発に取り組む Luvtelli Tokyo&New Yorkにカウンセラーとして参画し、現在は事業担当を務めています。

今の日本では、食や栄養について必要な情報が必要な方に届いていないと強く感じます。働く女性・妊娠中の方・産後の方など、その時その時に必要な栄養素や食事内容は全く異なります。けれどもそうした情報は誰も教えてくれません。みなさん、自分がその状況に直面して初めてネットで検索するぐらいではないでしょうか。検索でヒットしても、大枠のことしか書かれていなくて「具体的に何をしたらいいのか?」ということがわからなかったり、正確な情報が書かれているのかを判断することは困難です。

女性は妊娠・出産・育児などのライフイベントが待ち受けます。育児などが優先され自分の体調の ケアができなくなり、自分がやりたいことを諦めてしまうのは勿体無い。働く女性も、妊活の方 も、産後の方も、気軽に相談に来れる場所が作れたらいいですね。栄養や食に関する知識は、一 回身につけてしまえば応用が利く、ということを知って欲しい。そして自分だけではなく、パー トナーやお子さんなど大切な方を守るためのスキルや知識を多くの方に伝えていきたい。そんな風に思っています。

シェアダインとの出会い

カウンセリングやセミナーなど活動する中で、何を食べたらいいの?と聞かれることが多いと感じていました。こちらがお伝えしたい情報を発信するのですが、最後はレシピを教えてください! と(笑) そんな中でシェアダインのことを知りました。ご家庭に訪問し、その方達のニーズや普段のお食事 の悩みなどを聞いてアウトプットする、ということに共感しました。私が活動の軸に置いている、 知識を伝えていく、ということも同時に行える!と感じました。 そしてやっぱり美味しいと言っていただけることは本当に嬉しい。「おいしい」は健康と幸せと美しさを育むために、絶対に欠かせない要素ですから。

給食センターで調理していた時代は食べる方の顔がなかなか見えませんでしたが、出張料理のお仕事は食べていただける方がわかるので、この味喜んでもらえるかな、必要な栄養素はもちろん、「おいしく食べてもらえるために」などと想像しながら作ることができるんです。

管理栄養士 彩子さんに作ってもらいたい一品

野菜の肉巻き。美味しさの要素が詰めやすいお料理だと思います。中に入れるお野菜にバリュエー ションをつけることで簡単に作れて食感や様々な味を感じることができます。カリカリに焼いて塩を振った味付けも美味しいですし、甘辛の味付けなど、味に変化をつけることもできます。
お子さんが少し大きくなれば、お野菜をお肉で包むのをお手伝いしてもらったりできるのではないでしょうか。そうして一緒にキッチンに立つ経験を増やしてもらいたいですね。味覚と同様、食への体験を積むことは一生の財産になります。

思い出の料理

祖母が作ってくれた、俵型の塩むすびです。 小学生の頃、スイミングスクールから祖母の家に帰ると、必ずおにぎりを作ってくれました。 周りの友達はポテトチップスを食べていて、小さい頃はそれが羨ましかったのですが(笑) 素手で塩をつけてふわっと握る。何か具を入れる?と聞かれても、塩むすびのままで、と答えていました。
不思議なことですが、私が真似して作ってもおなじ味は絶対に再現できません。そのおにぎりを思い出すたびに祖母のあたたかい姿など、当時の情景含めた全てがよみがえります。食の可能性や不思議なところを感じる一品です。

 

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