輸入青果会社を経てお料理の世界へ

大学卒業後は旅行会社で働きたいと漠然と考えていました。ところが就職環境も厳しかった時代、その願いは叶うことなく、縁あって輸入青果会社に就職しました。当時は食についてあまり関心がなかったのですが、日々仕事で青果物に携わっていくうちに、もっと野菜について知りたいな、と思う気持ちが強くなりました。そしてさらにはもっと美味しく食べたい、もっと素敵に見せたいとの思いが出てきました。働きながら野菜ソムリエプロを取得し、祐成クッキングアートスクールを卒業。フードコーティネーターの資格を取りました。

3年前ぐらいまでは会社員をしながら、野菜ソムリエとフードコーディネーターの資格を活かし、働く女性向けに、簡単に作れて野菜たっぷりのお料理を伝えたいと思い、野菜料理が中心の料理教室を開くなどの活動を行なっていました。

誰かのために作る

結婚してから、家族の健康を考えてお料理をしたいという気持ちが強くなりました。今は夫のために、毎日お弁当を作っています。職場に社員食堂などがないこともありますが、それ以上に健康でいてもらいたいという願いからです。

そして子供が生まれてから「誰かのためにつくる」、その思いが強くなりました。

子供の味覚の敏感さって素晴らしい!

子供が生まれてから、子供が持つ味覚の敏感さに驚く日々です。例えば娘はきちんととったお出汁をお料理に入れるとすごくよく食べるんです。出汁を使った炊き込みご飯の日は、炊飯器からの蒸気で「今日は美味しいごはんの日だ!」とすぐに分かります。娘は、炊き込みご飯のことを「美味しいごはん」と言うんです(笑)

夫の実家から直送してもらっている長野の美味しいお水と空気で育ったトマトなんか、いつもと食べっぷりが違います。ドレッシングも何もつけないで食べてしまいます。

この間も鹿児島産の新じゃがを頂く機会があったのですが、皮付きのまま素揚げして塩を振っただけなのに、娘が本当によく食べていたことにも驚きました。きっと野菜そのものの味が濃く、ほとんど味付けがなくても美味しいと感じているのだと思います。

シェアダインの思いに惹かれて

出産後、幼児食インストラクターの資格を取得しました。子供の持つ、敏感な味覚を育てていくことに携われないかな、と考えていたところに、シェアダインを紹介されました。幼児を持つ世帯のための、家庭料理を伝えるサービスという点に強く共感し、まさにこれは私が求めていたもの!とつながりました。

忙しい共働き世帯は外食などを利用することもあると思います。外食も楽しいですが、家庭の味は家庭の味として、旬や素材本来の味を子供に伝えていきたい。濃い味に慣れる前に素材の味を知ってほしいな、と思っています。

もちろんどんなお子さんも多かれ少なかれ好き嫌いがあると思います。私の娘も、私がどんなに工夫して調理してもそのときによって食べないものがあります。それでも子供時代にいろいろなものを味わうことで、大人になった時の好き嫌いが少なくなり、食事が楽しめるようになるのではないかな、と考え、私は様々な素材を使った料理を食卓に出しています。

おうちでのご飯が大事なのはわかっていても、仕事や育児に忙しくてなかなかご飯を作る時間を持てない、とお悩みの方々をサポートすることができたら、そしてそのご家庭のお子さんが美味しいと言ってくださるレパートリーを増やすお手伝いができたら、と思っています。

midoriさんに作ってもらいたい一品

鶏団子の甘酢あん。小さな子どもから大人までみんなに喜んで食べてもらえると思います。鶏団子の中には豆腐を加えてふわふわに仕上げてあります。ママ友にも好評ですし、お弁当のおかずとしても重宝します。ケチャップベースで少し甘めの味付けです。

コロコロ野菜コロッケ。野菜をたっぷりと入れ、お弁当に入れやすいサイズ・子供でも食べやすいサイズを考慮して丸いコロコロの形に成形しています。野菜嫌いのお子さんでも、細かく刻んであげれば揚げたての美味しさから苦手野菜も気づかず食べてくれるかもしれません。ママ友に、今まで揚げ物は全然しなかったけれど、このコロッケを食べてからおうちでも作るようになったと言われたこともあります。

思い出の料理

お弁当に入っていたバナナのベーコン巻き

母は奇想天外といいますか、かなり料理にアレンジを加えることを楽しんでいました。例えばカレーの隠し味。「今日は何が入っているかわかる?」と母は聞きますが、全然隠し味になっていなくてすぐに梅酒とわかったり(笑)。母の作る肉じゃがは、汁だくで鶏の手羽元を使うんです。子供の頃は、肉じゃがというお料理は牛や豚の薄切り肉ではなく、鶏手羽元で作るものだと思い込んでいました。

そんな母がお弁当に入れてくれたものが、バナナのベーコン巻きです。

原理は生ハムメロンと同じで、甘みとしょっぱみを組み合わせると美味しい、ということなのだと思います。お弁当として食べる時、いつもデザートなのかおかずなのか迷っていました。でも食べると美味しくて。少し変わっているけれど、どれも懐かしく思い出すと少し心が和む母の味です。

それから、子供の頃には毎朝必ず果物が何種類か食卓に並んでいました。今、私が健康に過ごすことができているのは、母がこうして毎朝果物を用意してくれていたおかげだと感謝しています。野菜ソムリエの資格を勉強している際に知った情報ですが、幼少期のうちから朝に果物を食べていると大人になってから大腸ガンになりにくいというデータがあるそうです。

母がそれを知っていたかどうかは不明で、きっと母自身が果物好きだったので出していたのだと思いますが(笑)。

自分が母親になってみて、やはり私も娘に毎朝果物を出すようにしています