大好きなスポーツと食事や栄養面から関わっていきたい

 中学生の時から、スポーツは見るのもやるのも大好き。将来はその関係の仕事につきたいと思っていました。祖母も母も料理をよくする人だったので、馴染みがあり、自然と「スポーツと関わるのなら食や栄養で」と考えるようになり、管理栄養士の道を選びました。

 大学では、栄養士と臨床検査技師の両方を学べるスポーツ栄養のコースを選択。スポーツ栄養を学ぶには、医学的にも身体のことを理解する必要があり、そのために設立されたのコースでした。それらの資格以外にも、スポーツリーダーやスポーツ栄養実践指導者など、スポーツに関する資格もいくつか取得しました。

 私自身は剣道をやっていたのですが、剣道はスポーツというよりは武道としての側面が大きく、またオリンピック競技にもなっていないため、柔道などと比べると栄養面でのバックアップや研究が少ない競技です。世界大会に出場する選手でも、食事は各自で現地調達。栄養士が同行するなどまずあり得ないというのが現状で、その状況をどうにか変えたい、というのも栄養士を志した理由のひとつです。

大学卒業後に就職した病院で、和食料理の基本を習得

 大学を卒業してからは、栄養士として病院に就職。約100床の病院に、5年半勤務しました。仕事の中心は、入院患者さんの毎日の食事作り。実際に厨房に入り、調理していました。

 病院の栄養士というと、厨房には入らず、献立作成や栄養指導をすることがほとんどですが、就職先が「まずは調理ができるように」なってから、そうした仕事を担当するという方針でしたので、本格的な調理は就職してから身につけていきました。

 病院食といっても、美味しくないと食べてもらえない──。調理の基本は先輩や同僚の調理師さんたちに習いましたが、まずは「美味しく作ること」、ジャンルは主に家庭料理、和食の基本を教えてもらいました。

 病棟の約半分は療養病棟ということもあり、ご高齢の方が多く入院されていました。ですから、一人一人に合わせた食形態や好みのお食事を提供。栄養士として献立作成も担当するようになってからは、患者さんの年齢や性別、身体活動レベルなどをもとに栄養価の見直しを行い、より患者さんに合ったお食事の提供ができるように心がけました。

 入院されている方だけでなく、外来患者さん向けの栄養指導や特定保健指導も行っていました。一人一人、生活環境が違いますから、誰にでも同じ指導では成果は出ません。ただ「何を食べればよい」と決めつけるのではなく、どういうことならできそうかお伺いしながら、それぞれに合わせた指導を心がけました。

普段の料理作りが楽になる工夫やポイントも伝えらえる

 以前から希望していたスポーツ栄養の職に就くため、病院を退職しました。資格を取ったり、勉強しながら転職活動をしようと思っていたときに、シェアダインを見つけました。いろいろな家庭環境や個人の状態・要望に合わせて料理をするところに大きな魅力を感じ、やってみようと決めたのです。

 最初に心配したのは、自分の料理が一般のご家庭で美味しいと思ってもらえるかどうか。ご家庭にお伺いして、栄養相談をして、その方に合わせたアセスメントをしたとしても、料理が美味しくなければ食べてはもらえません。食べてもらえなければ、アセスメントする意味がないのです。

 しかし、繰り返し利用してくださるお客様が増えていくことで、だんだんと自信がついてきました。

「美味しかったから、また作って」の言葉が、何よりのやりがい

 やりがいは、何とと言っても「美味しかった」という言葉です。また予約してくださるというのは私の料理を受け入れてもらえたということだと思うのでとても嬉しいです。「美味しかったから、また作って」が、何よりのやりがいになって、もっと頑張ろうという気持ちが生まれます。

 最近では、料理の仕方を教えてほしいというご依頼も多くなってきました。私がご家庭で料理をお作りするだけでなく、普段の料理作りが楽になるような工夫やポイントも一緒にお伝えするようにしています。

美味しく健康的な食事作りに、豊かさや幸せをプラスできる

  シェアダインのサービスには、美味しく健康的な食事を作り、満足してもらうだけではない付加価値があると思っていて、それが私のやりがいにもつながっています。

 単なる家事代行サービスとは違い、時間の余裕だけではなく、栄養士や調理師が生活をサポートするという付加価値があるサービス。ただ調理して、作り置き料理を冷蔵庫に残して終わりではなく、豊かさや幸せを生活にプラスできる仕事は、他にはなかなかないのではないでしょうか。

 食事で悩んでらっしゃる方は多くいらっしゃると思います。少しでもそういう方たちの力になりたい。そして、私がご家庭で作ったものを再現してもらえること。これが私の目標です。ご自分でも簡単に美味しい料理が作ってもらえるようになり、バリエーションが増えれば、シェアダインを利用していないときも、食事を楽しんでもらえるようになるからです。

出張料理のメニューをご家庭でも「再現してもらえる」のが目標

 現在は、大学の運動部の寮の食堂の栄養士としても働いています。スポーツ選手の一人一人に栄養管理を行いつつ、献立作成・調理も担当しています。

 スポーツ栄養は、成長期のお子さんにも実践してもらいたい要素をたくさん含んでいます。シェアダインでも、育ち盛り食べ盛りのお子様の成長をサポートできるような食事作りやアドバイスができたらいいな、そう思っています。

住岡さんに作ってもらいたい逸品

 鶏むね肉のさっぱりチャーシュー

高タンパク低カロリーなので、家族みんなで楽しめる

 日持ちしますし、冷凍もできます。ご自分で再現していただくことも簡単です。リクエストががとても多い料理です。高タンパク低カロリーなので、お子さまから生活習慣病が気になるお父さん、ダイエットしたいお母さん、みなさんに楽しんでいただけると思います。もちろん美味しいです! みなが楽しめる料理を作っていきたいです。

思い出の料理

「この料理!」と一品があると言うよりは、母や祖母が作ってくれた家庭料理全般でしょうか。家族で食べる食事というのは、なんとも言えない、当たり前だけど大切な感じがします。母が作ってくれていた味や調理方法が、今でも私の料理のベースになっています。

 家で作ってくれた料理ではないのですが、子ども時代のエピソードを思い出しました。母と魚屋さんに買い物に行ったときのこと。晩御飯用に母が焼き魚を購入したのを見た私は、「手抜きだ!」と言いました。すると魚屋のおかみさんが「これはね、手抜きじゃないの。主婦の知恵なの」と、言ってくれました。

 シェアダインのシェフとしていろいろなご家庭にお伺いすると、「食事を作ってもらうなんて、贅沢かしら」とおっしゃる方が結構いらっしゃいます。しかし、これは手抜きでも贅沢でもなく、主婦の知恵なのだ思います。

大学運動部の寮にある食堂で栄養士としても働く住岡さん