夏の暑さが去り、朝晩に秋の気配を感じるようになりました。芸術に勉学に、何をするにも気持ちの良い季節です。学びの秋には「腎」を養う育脳メニューで相乗効果を狙ってみましょう。

脳の発達に重要な「腎」とは?

「腎」は五臓(心・肝・脾・肺・腎)の一つで、老化や生命をつかさどる臓です。

中医学では脳の成長には「精」というエネルギーと、それを貯蔵している「腎」の働きが大きく関係していると考えます。日本語でも、「精魂尽き果てた」などと言ったりしますが、この「精魂」の「精」と同じです。

 

「腎」に貯まった「精」は、さらに「髄」を生み出し、それが脳髄、脊髄、骨髄などにも変化すると考えます。

脳がしっかり働くためには、脳髄の量がとても重要です。「腎」が強く、「精」が満ちていると、「髄」もしっかり生成されます。

最近耳にする“育脳”のためには、補腎するもの、精を増やすもの(益精)を積極的に摂りましょう。もし胃腸が弱ければ、前回紹介した「脾」を健康にするものを合わせるといいでしょう。

「腎」を強くする食材

  • 副菜・野菜:にんじん、小松菜、ほうれん草、山芋、栗
  • 主菜・タンパク質:豚肉、牛肉、カツオ、イワシ、太刀魚、うなぎ、タコ、ほたて、うずらの卵、牛乳
  • その他:栗、ごま、クルミ、枸杞子(クコの実)

子どもの成長が遅いのは「腎」や「精」が弱い?

「精」から生み出される「髄」は骨髄も作り出します。骨の発育や丈夫さにも「髄」が大きくかかわっているため、背が伸びない、骨が細い(もろい)場合にも「腎」を強くすることを意識するといいでしょう。

「精」が少ない理由としては、生まれつき少ない、食が細くて「精」が作られないために少ないなどがあります。また「腎」が生まれつき弱く、「精」を貯蔵する力が弱い場合もあります。

ただし、基本的に子供の臓は未完成で、14~16歳くらいまでにかけて成長・完成されていきます。弱いことを心配しすぎる必要はなく、紹介したような食材を意識して、日々の食事にバランスよく取り入れ、丈夫にしていきましょう。


瀧本 靖子(たきもと やすこ)

中国医学研究家、日本薬膳師、国際中医師、国際薬膳師、管理栄養士、オールアバウトガイド、ソムリエ協会認定ワインエキスパート。
実践女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻卒業後、漢方と食事で病気の治療をする病院の食養内科に勤務。その後老人福祉施設で管理栄養士として勤務する。
そのころ、中医学のおもしろさに魅了され、中医学、薬膳を学ぶ。
2005年4月に横浜・青葉台で「薬膳料理レストラン心味」を開店。2006年より「薬膳教室心味」として今に至る。
東京・横浜の教室を中心にカルチャーセンター、大学の生涯学習センター、各地サロンで教えるほか、各種イベント開催やレストランにおける薬膳メニューの監修などを手がける。
西洋栄養学と薬膳を融合し、体・心・医学・料理をつなげて現代人の生活スタイルや体質にぴったりあうように理論と料理の両面から指導する、独自のスタイルを持つ。
薬膳の世界を広めるため、ワイン、チーズなど多分野の食の世界に活躍の場を広げる。


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