「語呂が似ている」とヒャダインさんがつぶいやいてくれたTweetをきっかけに、ヒャダインさんとシェアダインが出会いました。
もともと食にこだわりを持ち、和食が大好きなヒャダインさん。一方、家庭料理の継承をミッションのひとつとし、食の専門家が家庭のキッチンにお邪魔して作り置き料理をさせていただくシェアダイン。
実際に、シェアダインのサービスをご利用いただいたヒャダインさんに、シェアダインの共同代表・井出有希がインタビューさせていただきました(以下、敬称略)。
病気をきっかけに食を見直し、自炊生活へ
井出 シェアダインを見つけていただいて、ありがとうございました!
ヒャダイン 語呂が似ていましたから(笑)。実際に利用してみて、生活の価値観がほんと変わりました!
井出 そう言っていただけるのは、嬉しいです! ヒャダインさんというと「食材や栄養にも詳しく、健康意識が高い、料理男子」というイメージがありますが、お料理は小さなころから?
ヒャダイン 全然(笑)。自分で料理するのは好きですけど、火を使うので失敗することもあるし、やっぱり大変です(笑)。でも、自分の体のことを考えて、なるべく自分で作るようにしています。僕、コンビニのお弁当も食べないんです。
井出 私も以前は、昼も夜もコンビニで買った食事で済ませて夜中まで残業するといった生活をしていましたが、妊娠をきっかけにこのままでいいのか考えるようになりました。ヒャダインさんは何か食生活を変えるきっかけがあったのでしょうか?
ヒャダイン じつは、2012年に乾癬(かんせん)という皮膚病にかかってしまって。医師からはストレスや偏食、運動不足といった乱れた生活習慣が疾患の引き金になっていると言われました。
たしかに自分でも、ずっと不規則な生活を続けているのはよくないという思いはあったんです。でも、なかなか改善できなくて。体が耐えきれなくなって、SOSを出したんだと思います。
ストレスを減らすのは難しいけど、運動なら自分の意識次第ですぐに変えられると思って、まずジムに通い始めました。睡眠も、夜12時には寝るようにして。そうしたら朝7時ごろに自然と目が覚めるようになって、規則正しい生活を送っています。
何よりも変わったのは、食生活ですね。ちゃんと栄養を考えて、体に必要なものを食べようと思い、自炊をするようになりました。
井出 Twitterにもご自分で作られた料理の写真がたくさんあって。いつも、とても美味しそうだなと思って拝見しています!
ヒャダイン 別に誰かに何かをアピールするとかじゃないんですよ(笑)。僕にとっては、備忘録のようなものなんです。
悲しいかな、ひとりで生きていると点と点の毎日で、それが線にならない。それこそお子さんがいらっしゃれば、毎日の点と点が線になるんだと思います。たとえば、2019年にはこんなことがあった、そういえば2011年はこんなことがあったって、マイルストーンが置かれていくじゃないですか。
井出 マイルストーンですか。アーティストとしてたくさんのプロダクトを生み出していても、そう感じていらっしゃる?
ヒャダイン そうですね、自分がリリースしたものはマイルストーンとして置かれていきます。でも、それ以外の日常生活ではマイルストーンがないから、点があってもつながらずに消えていってしまうんです。
だから、プライベートで誰かと一緒にこういう料理を食べたとか、旬の食材を使ってこの料理を作って食べてみたとか、いい刻みになるなと思って。それで、Twitterに上げているんです。
井出 食事が人生のマイルストーンになる! 食のサービスに携わるひとりとして、とても印象的な言葉です。
出汁文化のある和食が、とにかく大好き
井出 ご自身の体のことを考えて、栄養にも気を使いながら自炊されているヒャダインさんですが、得意料理は?
ヒャダイン だいたい作るのは和食ですね。出汁や醤油味が大好きなんです。家庭でも和食中心で育ったことも関係しているかもしれません。
昆布、かつお、あごだし。日本の芳醇な出汁(だし)文化は、知れば知るほど奥深くて。食生活を切り替えてから、自炊のためにいろいろ調べたり、勉強したりするなかで、出汁は確実に僕の料理の興味を広げてくれたと思っています。
井出 シェアダインの出張料理をご利用いただいたときも、和食が得意なシェフを選んでくださいました! 『栄養と料理』(女子栄養大学出版部)のコラム「ヒャダインのReal養生訓」では、海外に行ったときに現地の食文化だけでなく、和食を楽しんでいらっしゃるご様子が。
ヒャダイン 和食好きが顕著に出るのが、旅行や出張で海外に行ったときなんです。昔、20歳でニューヨークに行ったりしたときは、和食がなくても全然よかったんです。でも最近は、4日目になるともうダメ(笑)。
このあいだはパリで、頑張ったけど5日目にギブアップして、近くの和食屋さんに行きました。現地のサーモンで作るお寿司や味噌汁も美味しいんですよ。
井出 海外でも和食! きっと日本の食材で作る和食とは、また違った楽しみ方があるのでしょうね。ところで、自炊生活を始めて何年も経ちますが、いかがですか?
ヒャダイン 自分で食事を作りしながら、心の底から主婦のみなさんを尊敬しているんです。僕の場合、自炊でもズルもできるし、選ぼうと思えば外食もできますし、必要に駆られている度合いが違うんだなと思っていて。
家庭の食卓を担っている場合、「作らなきゃいけない」ですよね。それも限られた予算と時間で、作って食べさせなくてはいけない。ある意味、追い詰められた状態なんじゃないかって。自分だけなら3日間同じメニューでもいいけれど、ちゃんと食べさせる相手がいて、ときどき文句も言われたりする。バリエーションも必要だし、それを同じ食材で作らなきゃいけない。
でも、その追い詰められ感って、人を成長させるんですよね。自分も経験しているのですが、仕事でも追い詰められると人は伸びます。きっと大変なのだけど、僕はちょっと羨ましくもあります。
井出 シェアダインもまさに、子どもがいても共働きでちゃんとしたご飯が作れない、好き嫌いが激しくてご飯を食べてくれないという悩みからスタートしたんです。自分だけで食事を作っていると、子どもの好きなものしか作らなくなったり、レパートリーもなかなか増えなかったり。
そこで、プロに家庭の食事の相談ができるサービスを作れないかと考えたのが、シェアダインの始まりです。
出張料理を経験して「もっと発想は広がるんだ」
井出 今では小さなお子さんのいる共働き家庭だけでなく、ダイエットや筋トレ、生活習慣病予防といった、健康をより意識して利用されるケースも増えています。ヒャダインさんは実際にシェアダインのサービスを使ってみて、何が一番気に入りましたか?
ヒャダイン 一番気に入った点は、サービス後の自分の変化! 自分自身がめちゃめちゃ成長できたんですよね。食の専門家が家に来て料理を作ってくれることで、利用者側に変化が起きる。そこがとても面白くて。
病気をきっかけに自炊を始めましたが、自分で料理作るのはやっぱり大変でした。レパートリーもなかなか広がりませんしね。
そういう限界を感じていたときに、プロが自宅のキッチンで、限られた時間で手際よく12品作るのを見て、「ああ、限界はないんだ」「もっと発想は広がるんだ」「もしかしたら、自分にもできるんじゃないか」と思わされました。それも特別な調理器具を使うわけではなく、自宅のキッチンですから、自分が料理するのと同じ状況なのに、こんなにもできることがあるんだって。
井出 自分の限界を突破できるかもしれない、と。
ヒャダイン もしかしたら、それが絶望感に変わる可能性もあるかもしれないです。同じキッチンを使っているのに、プロに比べて自分は全然できていないって。
でも、そこは「プロはこれだけできるんだから、自分もここまでならできるんじゃないか」という希望にも変えられます。こんな発想があるんだ、この手があるんだという気づきをくれるのが、いちばん大きかったです!
料理人は「料理は目で盗め」って言いますよね。兄さん姐さんたちの背中を見て盗めって。先日の出張料理で、みりんを持ってきてもらったのですが、味が全然違うんですよ! それで、自分も調味料をちゃんと揃えようと思って。で、揃えちゃいました。いいみりんを買ったら、もうそれだけで料理の出来が全然違う! 調味料の大切さや素材のこだわり、僕もシェアダインの出張シェフからめちゃめちゃ盗みました(笑)。
井出 それはまさにシェアダインが目指していることです! ただ利用される方の代わりに料理を作るのではなく、食の悩みを聞いてアドバイスをさせていただいたり、レシピや調理のコツやを教えたり。そうするなかで、食を楽しんでもらえるようになっていただけたらと思っています。
ところで実際のところ、忙しい日々を送っていらして、夜帰ってきてから食事を作るのは大変だったりしませんか?
ヒャダイン そうなんですよね。帰りが遅くなると、ぐったりしちゃうじゃないですか。だから、最近では逆算するようにしています。帰りが遅い日があると、その前日とか前々日に作り置きをしておくんです。
井出 そんなにお忙しいのに作り置きまで?!
ヒャダイン これもシェアダインを利用した影響ですね(笑)。ひとり暮らしなので、5品くらい作ればいいじゃないですか。同じメニュー続きにはなりますが、帰ってきて冷蔵庫を開けるとストックがある状態が続く、安心感がありますから。
じつは昨日、一昨日と2日間、イベントで外にいたのですが、昼も夜もロケ弁になるとわかっていたので、作り置きを1、2品タッパーに入れて持って行きました。ロケ弁だとおかずによっては味が濃くて、食べられないんです。だから、自分が作ったおかずを持っていくことに。やっぱり自分で作ったものは美味しい!
井出 作り置き料理をお弁当のおかずに使うのは、かなりの上級テクニックです! 最後に、これまで出張料理をご利用されて、一番好きな料理を1品挙げるとしたら?
ヒャダイン どのシェフの料理も美味しかったのですが、およねさんの料理はめちゃめちゃ美味かった!ミョウガの肉巻き、シャケの湯煮、あとはホタルイカとオクラとトマトの和え物とか。シンプルだけど、1品1品がちょっと変わったメニューなんです。
どうしても1つ選ばなくてはいけないなら、ミョウガの肉巻き! 美味しかったなあ。近くで見ていると簡単にできそうだったので、後で真似して自分でも作ってみました。発想を柔軟にすればメニューはいくらでもできるんだと、シェアダインが僕に教えてくれました!
井出 シェアダインのサービスを気に入っていただけてよかったです! 今日はありがとうございました!
Profile
ヒャダイン/前山田健一
1980年大阪府生まれ、音楽クリエイター。3歳でピアノを始め、のちに作詞・作曲・編曲を独学で身につける。京都大学を卒業後、2007年より本格的な音楽活動を開始。動画投稿サイトへ匿名「ヒャダイン」としてアップした楽曲が話題となり、屈指の再生数とミリオン動画数を記録。また、本名「前山田健一」での作家活動では、提供曲が2作連続でオリコンチャート1位を獲得。2010年にヒャダイン=前山田健一であることを公表し、作家とアーティストとしての活動を開始。アイドル、JPOPからアニソン、ゲーム音楽など幅広い楽曲提供を行う。2011年4月には、シングル「ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ-C」で歌手としてメジャーデビューを果たした。現在は、タレントとしても多数のTV、ラジオレギュラー番組に出演中。