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「常備菜」とも呼ばれ、毎日が仕事で忙しい方や、お弁当を朝から作っている時間がないというような方は、常備菜として休みの日などの時間がある時に、日持ちする料理をまとめて作っている方も多いかと思われます。これを日毎に分けて利用することで、食事内容に偏りが出にくく、準備時間を短縮することが出来る点が大きなメリットになります。
数日間の保存を前提として作るものなので、料理の内容と保存容器には密接な関係があり、保存容器を選ぶ際の意識するべきポイントは大きく分けて、
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・密閉性
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・耐熱性
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・衛生面
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・手入れのしやすさ
の4つになり、より調理しやすく、より安全で、より使いやすいものが理想です。
これらをふまえて、この記事では、琺瑯容器・ガラス容器・プラスチック容器の3種類について、それぞれのメリットとデメリット、それに加えて、その他のおすすめ容器についても解説いたします。
琺瑯容器とは
琺瑯(ホーロー)とは、鉄やアルミなどの金属素材を下地とし、そこにガラス質の釉薬(ゆうやく)を高温で吹き付けることで作られる、金属とガラスを結合させた素材になります。
金属にガラスのコーティングがしてあることで、表面に汚れが付きにくく、容器の素材が中身に溶け出ることもないため、医療の現場では消毒液を入れて使われているほど、衛生面に長けている素材です。
琺瑯容器の特徴・メリット
琺瑯容器の特徴とメリットについて、解説させていただきます。
・色汚れや臭いが付きにくく衛生的
カレーやシチューは大量に作ることができ、冷凍可能なことから作り置き料理の代表ですが、保存容器に色がついてしまうのは難点といえます。
また、ぬか漬け、酢の物も、日持ちがするため作り置きに向く料理ですが、独特の臭いが容器についてしまう点から、専用の容器となってしまいがちです。
琺瑯容器は、表面がガラス質なため容器に色や臭いがつきにくく、酸や油、塩分にも強いため、容器の素材が料理に影響を与えない特徴があります。
プラスチックやステンレスは安価ですが色や臭いが移りやすく、材質と料理の相性から容器の錆びの原因にもなりがちです。
琺瑯容器は、煮沸の一手間で簡単に汚れも落ちやすいことから、容器を衛生的に保つことが可能となります。
・調理器具として利便性が高い
琺瑯容器本体の素材は金属なので、水分がある料理では、蓋を外し、そのまま直火にかけることが出来ます。
特にオーブン調理が得意で、グラタンなどは具材を直接入れてオーブンに入れるだけで完成、そのまま食卓に並べても器として様になりますし、もし焦げ付いてしまっても汚れが落ちやすい点が琺瑯容器の魅力です。
また、料理中に食材を分けるためのバットとして使用したり、パン粉をつけるために並べたり、水にさらすボウル代わりとしたり、汚れが落ちやすいことから調理器具としても利便性が高いのも、大きなメリットであるといえます。
しかし、琺瑯容器の中身は金属であるため、電子レンジを使用することは出来ない事には注意が必要です。
・保温性と冷却性に長けている
琺瑯は保温性が高いことから、ケトルやマグカップの素材にも使われます。
オーブンから出した後や直火から外した後でも、しばらくの間は料理が熱い状態を保つことが出来るため、食卓に並んだ後も美味しく食べることが可能です。
また、冷却性にも優れていることから、料理をすぐに冷たくしたい時は琺瑯素材の容器に入れて冷やすことで、より短時間で料理を冷たくすることも出来ます。
カレーやグラタンはそのまま冷凍し、直火にかけたり直接オーブンに入れたりするだけで解凍が可能です。
注意点として、ガラス素材は急激な温度変化には弱いため、キンキンに冷えた琺瑯容器に出来立て熱々の料理を入れると割れてしまう恐れがあることから、早く冷ましたい場合であっても常温程度までは粗熱を取ってあげることが必要となります。
・見た目が綺麗で整理しやすい
琺瑯素材がもつ、穏やかで丸みのある特徴的な白さは、料理の色を邪魔をする心配がないため、どんな料理とも相性が良く、綺麗に盛ることが出来ます。
容器の形を統一することで、保存時に冷蔵庫内での余分なスペースを取ることも減り、見た目が綺麗で整理しやすいながらも、使いやすく衛生的なキッチン環境を整えることが可能です。
外側が白い状態を活かし、保存した品目や作った日付をメモしておけば、いざ料理を取り出す際も探す手間を省く事が出来ます。
ガラス容器とは
建物の窓や飲み物のグラスなど、身の回りに多く使われているガラスは、保存容器としても重宝します。
中身が見える透明な点と、熱や衝撃にも強い(強化ガラス製品)点を兼ね備えているものは他には少なく、独自の強みを持っている素材です。
ガラス容器の特徴・メリット
ガラス容器の特徴とメリットについて、解説させていただきます。
透明なため中身が常に見える
ガラス容器の最も大きな特徴になります。
残っている中身の量を外から確認することが可能で、料理が空気に触れる機会も減ることで品物が長持ち、管理が圧倒的に楽になります。
透明な容器は見た目に涼しげ、中身の料理の色も邪魔しないことから、食卓にそのまま器として並べても華やかですし、残りはそのまま蓋をして冷蔵庫にしまうだけ、という点も大きなメリットです。
色汚れや臭いが付きにくく衛生的
琺瑯の表面はガラス質なため、もちろんガラス容器にも同じように、カレーやミートソースなど色が付きやすい料理を入れても着色しにくく、臭いも付きにくいというメリットがあります。
琺瑯と違って直火での加熱に向くものは少ないですが、汚れを落としにくい油、臭いの付きやすい酸にも強く、涼やかで綺麗な透明をそのまま器として生かせることから、マリネやオイル漬けなどの冷菜には特に向いています。
プラスチックにみられる、細かい傷に入り込んでしまう着色、ステンレスに起きる錆びなどもないため、見た目にも衛生的で長く使うことが出来るのが特徴です。
調理器具として利便性が高い
こちらも琺瑯容器と同じく、料理中にバットやボウルの代わりとして使うことが可能です。
耐熱ガラス容器でオーブン対応のものならば、直接オーブンへ入れての調理も可能ですし、冷凍対応なら容器ごと冷凍、琺瑯容器とは違って電子レンジでの調理も出来ます。
注意点として、耐熱ガラスは丈夫な分、他よりも重い場合がほとんどで、収納時は重ねてしまうことは出来ず、足に落とすとその重量から怪我の恐れがあります。
小さなひびでも入ると、加熱や冷凍の刺激でそこから割れてしまうこともありますし、耐熱ガラスはやや高値であることも、取り扱い時に注意すべき点といえるでしょう。
プラスチック容器とは
100円均一で手軽に手に入るようなタッパーはプラスチック製が多くなります。
ガラスよりもさらに身近なこの素材は、安価なことから様々なものに使われており、種類が豊富なことからも作り置き料理生活をスタートする手始めにはぴったりです。
プラスチック容器の特徴・メリット
プラスチック容器の特徴とメリットについて、解説させていただきます。
安価で手軽に手に入り、種類が豊富
プラスチック容器の最大のメリットは、豊富な種類が安価で手軽に手に入る点です。
形や大きさ、デザイン性からキャラクター物まで、そのバリエーションは琺瑯容器やガラス容器とは比べ物になりません。
種類によっては電子レンジや冷凍、食洗器に対応しているものもあり、仮にダメにしてしまってもショックが少ない点もメリットであるため、作り置き料理を始めるにあたって、プラスチック容器から試してみるのも良いでしょう。
耐久度、色汚れや臭いは、琺瑯やガラスに比べると気になる部分ですが、汚れは洗剤や漂白剤で解決はしますし、どうしても気になるのであれば買い替える選択肢が取りやすいのも、プラスチック容器の特徴です。
半透明で中身が見える
ガラスほどの透明さはないものの、半透明の製品であれば、中身の残量の確認程度は蓋を開けなくても十分に出来るため、密閉状態を長く保てることで品物の劣化防止、料理の管理がしやすくなるという利点があります。
容器の傷や劣化により、中身が見えにくくなることもありますが、先ほどの項目と同じように、買い替えを視野に入れやすいのもプラスチック容器の特徴です。
重ねてもスペースを取らず、収納しやすい
プラスチックは琺瑯やガラスに比べて軽いため、重ねて収納することが可能でスペースを取りません。
形も様々なことから、大、中、小と重ねることも可能で、そのような収納は見た目に片付いているように見え、かつ、いざ使うときに取り出しやす利点もあります。
安価なことからつい買ってしまいがちなプラスチック製のタッパーですが、製品のシリーズを揃えるだけでも収納時に統一感が出るため、購入時は意識するのがおすすめです。
その他のおすすめ容器
保存容器として代表的な素材を紹介しましたが、他にもおすすめの素材を解説させていただきます。
スタッシャーの特徴・メリット
スタッシャーはシリコン製のポーチのような容器です。
使い捨てプラスチックゴミを無くして海を守りたい、という思いからアメリカで開発された、洗って何度も使うことが出来る保存容器になります。
洗って繰り返し使うことが出来る
シリコン製のスタッシャーは洗って繰り返し使うことが出来るため、環境に優しい商品です。
洗浄機にも対応しており、汚れも落ちやすいスタッシャーは、エコで経済的な保存容器といえます。
耐熱、耐冷性に優れており用途が幅広い
分厚く耐久性に優れるシリコン製のスタッシャーは、広い温度帯に対応しています。
電子レンジ使用、冷凍、湯せん、蒸し、オーブン、低温調理の全てに使用可能であり、一つの容器で済むことから、時短料理と洗い物を減らすことにも繋がります。
密閉性が高く、薄型でかさばらない
密閉性の高いスタッシャーは、しっかりと閉めることでスープなどの液体を入れてもこぼれることがなく、縦置きで保管することから冷蔵庫内でスペースを取りません。
温める際もそのまま電子レンジや湯せんにかけることが可能で、使い勝手の良い保存容器です。
スマートなデザインで、サイズも多く使い勝手が良い
滑らかな素材感とシンプルなデザインから見た目も可愛らしく、サイズの種類が豊富なことから使い勝手の良いのもスタッシャーの特徴です。
プラスチックと似た性質であるシリコンですが、劣化しにくく高温にも対応しているシリコンは環境に優しい素材であるといえます。
参考・引用:https://stasherbag.jp/
セラミック保存容器の特徴・メリット
セラミックは緻密で硬く、耐熱性や耐摩耗性に優れた素材です。
調理器具だとセラミック加工のフライパンが有名で、フッ素加工よりも熱を伝えやすく、焦げ付きにくく、摩耗性も高いことから長持ちすることで知られています。
耐熱、耐冷性に優れている
セラミック製の容器は広い温度に対応していることから、冷凍、電子レンジ、食洗器、(対応していればオーブン)での加熱が可能です。
シンプルなデザインのものが多く、料理の色を邪魔しないため、作ったものをそのまま器として食卓に並べることが出来ます。
軽いながらも耐久性に優れている
セラミックが琺瑯やガラスと大きく異なる点として、素材の軽さと硬さがあります。
セラミックは、地球上でもっとも硬いと言われるダイヤモンドにも迫るほどの硬度を持ち、薄くても丈夫で軽い素材であることから、電子レンジ使用や冷凍が可能な点は琺瑯やガラスと同じでも、使い勝手の良さが違います。
その軽さから、プラスチック容器のように重ねて収納することが出来る点も、セラミック製のメリットです。
まとめ
琺瑯容器の特徴
・色汚れや臭いが付きにくく、衛生的に長く使える
・電子レンジは使えないものの、オーブン使用や冷凍は可能で、直火での加熱にも対応
・保温性が高く温かい料理に向く、そのまま器として使用可能
・穏やかな白さで清潔感があるが、強い衝撃と急な温度変化には弱く、重さがあり収納と取り扱いには注意
ガラス容器の特徴
・透明で清潔感があり、そのまま器としても使えて、中が常に見えるので品物が管理しやすい
・色汚れや臭いが付きにくく、衛生的に長く使える
・電子レンジ可能で、オーブン使用や冷凍も出来るが、直火は向かないものが多い
・涼やかな透明で冷菜に向くが、強い衝撃と急な温度変化には弱く、重さがあり収納と取り扱いには注意
プラスチック容器の特徴
・安価で種類が豊富、手軽に手に入り、種類によっては電子レンジや冷凍も可能
・半透明で中が見えるため、品物の管理しやすい
・素材の軽さとサイズのバリエーションが多いことから、収納がしやすい
・耐久性と洗いやすさは他と比べると低いものの、安価で手軽なため新しく買い替える選択肢が取りやすい
作り置き生活を始めることで、忙しい日々の食事の内容向上、時間の短縮による自由な時間の確保をすることが可能となりますが、料理を保存する容器の種類にはそれぞれ特徴があります。
毎日の生活スタイルと照らし合わせ、より快適に日々を過ごせるよう、自分に合った素材の容器を選ぶことがポイントです。