尿路結石に良い飲み物とは 原因も合わせて解説
尿路結石は突然激しい痛みに襲われる疾患です。
しかも尿路結石を一度経験したことがある人は、再発する可能性も高いことで知られています。再び痛みに襲われるのではないかと不安に感じている人も多いのではないでしょうか。
尿路結石は食生活の改善によって、再発率が抑えられることが分かっています。普段飲んでいる飲み物の中でも尿路結石に良い飲み物、避けた方が良い飲み物があります。
この記事では尿路結石とは何か、尿路結石を作りやすい栄養素とその飲み物、尿路結石を作りにくくする栄養素とおすすめの飲み物について解説いたします。
尿路結石とは
尿路結石とは、尿路のいずれかの部分で、結石と呼ばれる石のようなものができる病気です。
尿は腎臓で生成され、その後尿管を通って膀胱に溜められ尿道を通って排出されます。この腎臓から尿道までの尿の通り道を尿路といいます。
結石は尿中の成分が結晶となった石のようなもので、大きさは様々ですが表面がギザギザしている場合が多いのが特徴です。
尿路結石の症状としては、結石が尿路を傷つけることで血尿が出ることがあります。また、結石が尿路に詰まると、その場所によって背中から脇腹、下腹部に激しい疼痛を起こします。場合によっては尿路感染症や、腎機能の低下を引き起こすこともあるので注意が必要です。
女性よりも男性の方が尿路結石になる確率は高く、男性では7人に1人が罹患すると言われています。
結石の種類としてはシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムからなる「カルシウム結石」や尿酸からなる「尿酸結石」などがあります。
まずはしっかり検査をして、どの部分に結石があるのか、結石の原因は何なのかを特定し、治療することが重要となります。
また、尿路結石は再発率が80~90%と言われています。再発する可能性を少しでも抑えるために、食生活を見直すことで予防していきましょう。
参考:
尿路結石を作りやすい栄養素とその食品
尿路結石を作りやすい栄養素としては、プリン体、シュウ酸、過剰な塩分などが挙げられます。
プリン体は体内で代謝されることで最終的に尿酸になるため、プリン体を過剰に摂取すると血液中の尿酸値に影響を与え、「尿酸結石」の原因になりかねません。
プリン体の摂取量は1日当たり400mgを超えないように気を付けましょう。
シュウ酸、過剰な塩分は、尿路結石の原因となる尿中のシュウ酸カルシウムの濃度を高める作用があります。尿路結石再発の要因になる恐れがあるので、シュウ酸や塩分を多く含む食品は量を控えるなどの工夫が必要です。
プリン体、シュウ酸、過剰な塩分が与える影響や注意が必要な飲み物について、それぞれ解説いたします。
プリン体
プリン体を気にしている人が制限した方が良い飲み物として、ビールを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、プリン体を気にしている人は、ビールだけでなくアルコール飲料全般を控えるように注意する必要があります。
アルコール飲料全般を控えた方が良い理由は3つあります。
1つ目はアルコール自体にプリン体が含まれていることです。含有しているプリン体の量は、ビールは350mlあたり約20g、日本酒は100mlあたり約1.5g、焼酎は0gとされています。
2つ目はアルコールを肝臓で代謝する際に、体内でプリン体が生成してしまうことです。プリン体は食品や飲料から摂取する以外にも、体内で発生するプリン体の量は全体の7割程と言われています。
3つ目はアルコールが代謝される過程で生じる乳酸が、プリン体の排出を阻害する作用があるからです。
そのためアルコールはビールに限らず血液中の尿酸値が上昇しやすいということを覚えておきましょう。尿酸値の上昇は尿路結石に限らず、痛風のリスクも高まることが知られています。1日に飲むことができるアルコールの量はビールでは500ml、日本酒では1合程度を目安としましょう。
参考:
Mindsガイドラインライブラリ「再発予防CQ30プリン体の多く含まれる食物は尿路結石の再発を促進するか?」
シュウ酸
シュウ酸を多く含む飲料としては、紅茶、コーヒー、お茶(玉露や抹茶、煎茶)などが挙げられます。紅茶やコーヒーは毎日飲む人も多く、人によっては1日に何杯も飲む人もいるのではないでしょうか。
シュウ酸を多く含む食品を摂取することで、尿中のシュウ酸濃度が高くなります。その結果、尿管でシュウ酸カルシウムが生成しやすくなり「カルシウム結石」のリスクが高くなります。カルシウム結石は尿路結石の原因の8割と言われています。
また、尿中のシュウ酸は7割が食事由来です。そのため、カルシウム結石の既往がある人は食事や飲み物にシュウ酸があまり含まれていないものを選ぶ、またはシュウ酸の含まれている飲み物は1日1杯程度に心がけるなどの工夫をしましょう。
参考:
Mindsガイドラインライブラリ「再発予防CQ29 シュウ酸はどのような食物に多く含まれるか?また、シュウ酸の摂取について工夫すべきことはあるか?」
過剰な塩分
塩分が多く含まれている飲み物として、みそ汁、経口補水液、熱中症予防のための塩分が多く含まれているドリンクなどがあげられます。みそ汁の塩分は1杯あたり約1.2g程度で、1日に1杯程度であれば問題ありません。しかし、他に塩分が多い食品と組み合わせた食事になっていないか見直してみましょう。
塩分が多めのドリンクは暑い日に野外で活動している時、スポーツをしている時など、汗を多くかいた日には適している飲み物ですが、平静時に飲むと知らず知らずのうちに塩分を多く摂取していることがあるので注意が必要です。
塩分を過剰に取りすぎると、腎臓で尿を生成する際に尿中に排出されるカルシウムの量が増えてしまいます。さらに、過剰な塩分が尿中のクエン酸濃度を低下させる作用もあると分かっています。
過剰な塩分はカルシウム結石の発生リスクを高める恐れがあるので、普段から減塩を心がけるようにしましょう。
尿路結石を作りにくくする栄養素とおすすめの飲み物
尿路結石を作りにくくする栄養素には、カルシウムとクエン酸が良く知られています。
カルシウムとクエン酸が結石を作りにくくする理由、おすすめの飲み物について解説いたします。
カルシウム
カルシウムは腸管でシュウ酸と結合してシュウ酸カルシウムとなり、便として排出されます。そのため、シュウ酸が腎臓に運ばれることがないため、尿中のシュウ酸の量が増えることを防いでくれます。
以前、カルシウム結石は、カルシウムを大量に摂取することが原因と考えられていました。しかし、現在ではカルシウム摂取量が少ないとシュウ酸を便として排出できないため、カルシウム結石の形成を促進してしまうことが分かってきたのです。
カルシウムは過剰摂取してしまうと尿中のカルシウム濃度を上昇させる要因になってしまいますが、逆に少なすぎるのも良くないということです。カルシウム結石の再発防止として、1日のカルシウム摂取量は600~800mgになるように心がけましょう。
カルシウムを摂取できる飲料としては、牛乳やドリンクタイプのヨーグルトなどが代表的です。
シュウ酸を多く含む飲み物、例えばコーヒーや紅茶を飲みたいときは、牛乳を入れてカルシウムを同時に摂取できるように工夫をして飲むと良いでしょう。
クエン酸
クエン酸はシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムが原因となる「カルシウム結石」の形成を抑制されるということで知られています。
クエン酸は尿をアルカリ化する作用があり、カルシウム結石ができにくくなると言われています。
クエン酸が含まれているオレンジなど柑橘系のフレッシュジュースがおすすめです。ただし、果物は糖分が含まれているので、摂りすぎないように適量を心がけましょう。
尿路結石に良い飲み物 まとめ
尿路結石は、尿路において結石が生じ、激しい痛みや血尿を伴う疾患です。
尿路結石を一度患った人は、期間を限定しなければ、その8割程が再発するといわれており、再発リスクを抑えるために食事や飲み物は尿路結石に良いものを選ぶように心がけましょう。
尿路結石のうち尿酸結石を気にしている人は、アルコール飲料を控えるようにしましょう。
カルシウム結石の既往がある人は、シュウ酸を多く含む紅茶やコーヒー、玉露や抹茶を控える必要があります。どうしてもシュウ酸を含む飲み物を飲みたい場合は、カルシウムやクエン酸を共に摂取すると結石ができにくくなるのでおすすめです。
結石ができやすくなる飲み物について正しい知識を身につけ、少しでも尿路結石の再発リスクを防げるように工夫していきましょう。
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