
産後で気をつけるべき食生活とは必要な栄養素も合わせて解説
産後のお母さんは体力も回復しないうちから赤ちゃんのお世話に1日中かかりきりで、食事も満足にとれないことも。でも産後の食事はしっかりとらないとお母さん自身の健康を回復できませんし母乳の量や栄養にも影響します。
産後のお母さんにとって大切なことは1日3度の食事を規則正しくとること。そして食事の栄養バランスをよく考えること。この記事では産後にとりたい栄養素と避けたい食べ物・飲み物について解説いたします。
産後にとりたい栄養素
産後のお母さんは出産の影響やホルモンバランスの変化によって、体も心も疲れ切っています。育児はもちろん大切ですが、お母さん自身の健康も大切です。休めるときはしっかり休み、食事は以下の栄養素をバランス良くとって体力と健康を維持してください。
産後にとりたい栄養素:鉄分
鉄分は赤血球のヘモグロビンという成分を作る大切な栄養素のひとつ。鉄分が少なくなると赤血球の酸素供給が不足して、めまいや立ちくらみ、首や肩のこりや頭痛といった貧血の症状があらわれます。
また母乳の原料は母体の血液中に含まれる栄養素と水分です。鉄分もまた母乳とともに赤ちゃんに与えるため、母体は鉄分不足になりがちです。赤ちゃんはもちろん、お母さん自身の健康と体力維持のためにも鉄分の摂取は欠かせません。
鉄分を多く含む食品はほうれん草、小松菜、納豆、レバー、マグロなど。またビタミンCには鉄分の吸収を高める効果があるので、鉄分の多い食品と合わせて摂取することを心がけましょう。
産後にとりたい栄養素:たんぱく質
たんぱく質は骨や筋肉、内臓や毛髪など体のほぼ全てを形成する重要な栄養素です。赤ちゃんは母乳に含まれるたんぱく質を摂取して成長します。もちろんお母さんにとっても欠かすことのできない栄養素です。
たんぱく質を大きく分けると、肉や魚などに含まれる動物性たんぱく質と、植物に含まれる植物性たんぱく質に分類できます。植物性タンパク質は脂肪分が少なく産後のダイエットには最適ですが、植物性たんぱく質だけでは必須アミノ酸をまかなえません。
そこで動物性と植物性のたんぱく質をバランス良く摂取することが重要になります。動物性たんぱく質を多く含む食品は肉や魚、卵、牛乳など。植物性たんぱく質は大豆や小麦に多く含まれています。
産後にとりたい栄養素:葉酸
葉酸はビタミンB群のひとつ。赤血球や細胞の形成を助ける大切な栄養素です。お母さんの貧血を予防し、赤ちゃんの健康な発育を支える効果があります。妊婦や授乳期のお母さんは葉酸の必要量が増加するため、意識して多めに摂取することを心がけましょう。
葉酸を多く含む食品はとしてアスパラガスやアボガド、ブロッコリー、ホウレンソウ、大豆などの野菜や、海藻の「のり」、鶏、豚、牛のレバー類など。葉酸は水に溶けやすく、熱に弱い性質があるので、野菜をゆでると水に溶け出して量が減ってしまいます。
そこで野菜類を加熱調理するときは電子レンジを使うか、水を使わない油炒めなどにするのがおすすめです。
産後にとりたい栄養素:カルシウム
カルシウムは骨や歯など硬い組織の形成に欠かせないミネラルです。体内のカルシウムのほとんどは骨や歯に含まれますが、筋肉や血液にもわずかながら存在し、神経の信号伝達を支えて体の機能を正常に保ち、精神状態を安定させる作用があります。
筋肉や血液中のカルシウム分が不足すると、骨や歯から溶け出して補われます。産後のお母さんは母乳を作るために大量のカルシウムが必要です。この時期にお母さんのカルシウムが不足すると骨や歯が急激にもろくなってしまうのはそのためです。
カルシウムを多く含む食品には牛乳や小魚、小松菜、モロヘイヤ、厚揚げ、ひじきなどがあります。日本人は世代を問わずカルシウム不足だといわれています。毎日の食事を工夫して積極的にとりましょう。
産後にとりたい栄養素:ビタミンC
ビタミンCは美容に効果が高い栄養素というイメージですが、それだけではありません。カルシウムや鉄分の吸収力を高めたり、強い抗酸化作用によって活性酸素の働きを抑える効果があります。もちろん赤ちゃんの成長にも欠かせません。
ビタミンCを多く含む食品にはピーマン、ブロッコリー、キウイフルーツ、イチゴ、柑橘類などがあります。ビタミンCは摂りすぎても尿といっしょに排出されるため、過剰摂取の心配はありません。安心してどんどんとりましょう。
産後に避けたい食べ物・飲み物とは
授乳期にお母さんが飲食したものは、成分によっては母乳にも影響が及びます。妊娠中の摂取を避けたほうが良いものは授乳期も避けたほうが安心です。
まずあげられるのは妊娠中も良くないとされるアルコール類とカフェイン類。これらは母乳を介して赤ちゃんの発育に悪い影響を与えます。アルコールは特に厳禁です。お母さんがお酒を飲むと母体の血中濃度とほぼ同じ濃さで母乳に混じってしまうのです。
お酒の好きなお母さんにはつらい話かもしれませんが、アルコールを含むスイーツも避けましょう。どうしても飲みたいときはなるべく量を控えめにして、授乳をした後に飲みましょう。
お酒を飲んだ場合は少なくとも2時間は授乳を控えてください。
一方、カフェインはアルコールほど母乳への浸透率は高くありません。コーヒーなら1日2~3杯程度なら特に影響はないとされています。とはいえ赤ちゃんは体が小さく、カフェインに対する耐性もありません。
お母さんがカフェインをとりすぎると赤ちゃんの寝つきが悪くなってしまうことも。またカフェインはコーヒーや紅茶だけでなく、チョコレートやコーラ、栄養ドリンクなどにも含まれているので気をつけましょう。
アルコールとカフェイン以外では、揚げ物やスイーツのように糖分や油分が多いものも要注意です。油脂や糖分を摂取しすぎると血液の粘度が高まって母乳の出が悪くなったり、味が悪くなったりすることがあります。
授乳期はお母さん自身の食欲が増してくるので、ついつい高カロリー食品に手が伸びてしまいがちですが、授乳中は赤ちゃんの成長とお母さんの健康に必要なものを必要な量だけとることを第一に考えてください。
参考:授乳中のアルコールはどのくらい大丈夫? | 母子栄養協会
産後の食事のまとめ
産後のお母さんの食生活で大切なこと3度の食事を規則正しくとることと、食事の栄養バランスを考えることです。産後にとりたい栄養素には鉄分、たんぱく質、葉酸、カルシウム、ビタミンCなどがあります。
鉄分は貧血予防に効果があります。たんぱく質やカルシウム、葉酸はお母さんの健康と赤ちゃんの成長に欠かせません。ビタミンCは鉄分の吸収を助ける効果があります。
産後に避けたい食べ物・飲み物としてはアルコール類やカフェイン類、脂質や糖質の多い食品があげられます。