
離乳食を嫌がられたら?対処法の解説
ようやく始まった離乳食、作るのも大変ですが、何より困ってしまうのは赤ちゃんが離乳食を嫌がって、受け付けてくれないことではないでしょうか。栄養が足りているのだろうかと不安になったり、せっかく作った離乳食を食べてくれないことから、時に育児に対する無力感や疲労感に襲われたりすることもあります。
まずは赤ちゃんが離乳食を嫌がるのはなぜかを考え、赤ちゃんの成長に合わせた対処法についてご紹介します。
赤ちゃんが離乳食を嫌がる理由は
今まで母乳やミルクしか飲んだことがなかった赤ちゃんは、基本的に「吸う」ことしかできません。赤ちゃんにとって初めての離乳食はまだ異物でしかなく、安心安全な母乳やミルクを「吸う」という行為から、異物を「飲み込む食べる」というのは、全く新しい行為への移行なのです。
そして離乳食の段階期ごとに、この赤ちゃんの嫌がる理由もステップアップします。まずはなぜ嫌がるのかを考え、赤ちゃんの気持ちに沿って解決していきましょう。
離乳期初期
離乳食初期は「飲み込む食べる」という行為に、まず慣れる段階です。母乳やミルクを「吸う」というだけのこの時期の赤ちゃんにとって、舌は前後にしか動けません。これは飴を舐めているときの舌の動きを思い浮かべれば、分かりやすいでしょう。
しかし「吸う」という行為に対して、離乳食では次のステップ「吸わずに飲み込む」という動きが必要になります。まずスプーンを口に入れるということ自体が、初めての異物との接触です。
もうひとつ、この段階で大切なのは母乳とは違った味を知る事、まずは食べて栄養をとは考えず、赤ちゃんの食べる練習のお付き合いといった気持でいましょう。
形状も味も全てが初めてのものばかり、スプーンと母乳やミルク以外の味に赤ちゃんが慣れてくれるよう、そして「飲み込む」ことを学習してくれるよう、ママも楽しみながらお付き合いしましょう。
離乳期中期
そろそろ離乳食にも慣れてきたこの時期、離乳食自体もステップアップしていきます。今までは「飲み込む」ことが主体だったピュレ状のものから、この段階では「噛む」練習に移行していきます。
ですからこの「嚙む」という行為に慣れる段階において、ピュレの中に少し固形物が混じったことによる違和感が、この時期の赤ちゃんの「離乳食いやいや」の原因になっていることが多いのです。
すりつぶした滑らかな離乳食にみじん切りを混ぜていく段階は、おかゆをイメージすればわかりやすいでしょう。重湯から三分がゆ、そして五分がゆへといった少しずつの変化が、赤ちゃんの新しいものへの抵抗感を薄めてくれます。
赤ちゃんは私たち大人が思っている以上に保守的です。これは食べ物を口に入れるということは「命」に関わることなのですから、当然な警戒心といえるでしょう。
新しい食材は一つずつ、まずはごく小さなみじん切りから、少しずつ大きくしていきます。そして嫌がった場合は、その前のステップの大きさに戻してあげましょう。一歩、もしくは半歩、後戻りしてみることで、赤ちゃんの警戒感が少しずつ薄れていくでしょう。
離乳完了期
離乳完了期に入ると、もう「嚙む」ことも「飲み込む」ことにも慣れ、赤ちゃんは次第に自立したがる時期です。つまり何でも自分でやりたがる、ママにとっては厄介な時期ともいえます。自分でスプーンを持ちたい、手づかみで食べたい、そんな赤ちゃんの気持ちをまずは優先してあげましょう。
つかんだ食べ物を散らかしたり、スプーンやお皿を投げ散らかしたりと、この時期の赤ちゃんは傍若無人です。手間暇かけて作った努力や、散らかった後片付けなどを思うと、気力が萎えてしまうこともあるかもしれません。でも赤ちゃんは自分の五感を使って、食事をしようという成長期なのです。
いろいろな食材に直に触れてみることは、固い柔らかいといった様々な感触を覚えていく大事なステップです。何でもダメと取り上げてしまうのは、赤ちゃんの好奇心を否定し、大事な成長の機会を奪うことにもなりかねません。
離乳食を嫌がられた場合の対処法
離乳期のステップごとに、赤ちゃんの嫌がる理由は様々です。では離乳食を嫌がられた場合はどう対処すればよいのか、ご説明します。
むりやり食べさせない
離乳食を嫌がるのは赤ちゃんなら誰もが通る道、と考えましょう。これでは栄養が足りないとか、他の子は食べているのにどうしてうちの子はとか、そんなネガティブな気持ちで接するのではなく、成長へのお付き合いと思って無理強いしないことが大切です。
無理に押し付けられれば不快感が植えつけられてしまい、食べることに苦痛を感じてしまいかねません。決してむりやり食べさせたりはしないよう、気を付けましょう。
そして食べられた時には褒めてあげる、一緒に喜んであげるというのも、とても大切なケアです。ママが喜んでいる笑顔というのは、赤ちゃんにとってはとても嬉しいものなのです。
調理法を変える
昨日までは食べてくれたのに、今日は食べてくれない、そんなときは昨日に戻ってみましょう。例えば、ピュレ状なら食べてくれるのに、みじん切りを混ぜたら受け付けなくなった、そんな場合はさらに柔らかく細かくしたものを、少しずつ混ぜてあげましょう。
「飲み込む」ことに慣れない時期は、パサつき感があると嫌がるので、とろみをつけてあげるのもおすすめです。また人参ほうれん草ブロッコリーなど好き嫌いが起きやすい食材は、赤ちゃんの食べやすい食材や好きな食材に少しずつ混ぜてあげましょう。
離乳食後期になってくると、大人の食事と少しずつリンクしていくことが多くなります。味が濃くなりすぎていないかも、重要なチェックポイントです。また味覚が発達してくるにつれ、同じ味や触感ばかりでは飽き足らなくなってしまうので、旬の食材を取り入れバリエーション豊かに調理してあげましょう。
食事を楽しめる環境をつくる
赤ちゃんにとってママに抱かれて母乳やミルクを貰うのは、最も安心できる快適な環境でした。それが一人で椅子に座らされ、硬いスプーンが口に入ってくるなど、これは劇的な変化です。赤ちゃんにとって居心地の良い環境で離乳食を進めてあげましょう。
座り心地のいい椅子やお気に入りのスプーン、可愛いお皿など揃えてあげて、食事の時間を楽しい時間と認識させることも大切です。
また赤ちゃんは長時間同じ事が続くと、すぐに飽きてしまいます。興味がいろいろなものに移りやすいので、テレビが付いていたりすると食べることに集中できません。食事の途中でママが用事で立ったりすると、もうそれで気が散ってしまうこともあります。食事の時間はきちんと赤ちゃんに向き合い、おしゃべりをしながら楽しい時間を演出してあげましょう。
まとめ
私たち大人も初めての食材を食べる時は、好奇心とそして心配な気持ちが混在します。日々、生まれて初めての食材を口にしていく赤ちゃんも、同じ冒険をしているのです。新しいものを食べられた時は一緒に感動し喜び、褒めてあげましょう。ママが同じものを美味しそうに食べていると、それだけで赤ちゃんは安心するものです。
赤ちゃんはひとりひとり、それぞれの成長の仕方をしています。思ったように量を食べなくても、元気ならあまり神経質にならずに、いっぱい遊ばせてお腹を空かせるようにするとか、ちょっと味付けを変えてみるとか、工夫の仕方はいろいろあります。何より大事なことは「食べることは大切な行為」だからというのではなく、「食べることは楽しい」ということを教えてあげることです。
ママが頑張りすぎる必要はありません。赤ちゃんと一緒に初めて体験を楽しむ、そんな気持ちで離乳食いやいや期を過ごしましょう。成長過程のほんのわずかな期間だと思い、嫌がる顔を画像に残しておくのも、いつか楽しい思い出になります。
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