
妊娠初期に気をつける食べ物とは どのような影響もあるか合わせて解説
妊娠初期は赤ちゃんの脳や神経をはじめ、心臓や目、口などの器官が形成され、超音波検診でも赤ちゃんの姿がわかるようになる大切な時期。母体のほうもホルモンバランスが変化して、つわりなどの症状や、さまざまな変化が発生します。
つわりで満足に食事ができない場合は無理をせず、量は少しでも栄養バランスのとれた食事を摂ることが大切です。この記事では妊娠初期に気をつけたい食べ物について解説いたします。
妊娠初期のおもな症状
「妊娠初期」とは妊娠0~15週までのこと。ただし妊娠0週は最終月経の1日目が基点。実際の妊娠期間は3週目以降という計算になります。妊娠すると女性ホルモンのバランスが崩れて、お母さんの体や感覚にさまざまな変化があらわれます。
妊娠3~4週ごろから「おりもの」の量や色が変わったり、基礎体温が変化したり、生理が来なくなったりして妊娠に気づくことも。一方で、腹痛や着床出血など生理と区別がつきにくい症状も多く、うっかり見過ごしてしまう場合も少なくありません。
この時期の変化を「妊娠超初期症状」といいます。前述のように生理前に似た症状や、頭痛、倦怠感など風邪に似ている症状も。妊娠する可能性がある人で生理や風邪とは何か違うと感じたら、ためらわずに産婦人科で診察を受けることをおすすめします。
「妊娠超初期」を含む妊娠0~15週までの期間を「妊娠初期」と呼びます。妊娠検査薬で陽性の反応が出るのは妊娠4~7週ごろ。この時期になると超音波検査で赤ちゃんが小指ぐらいの大きさに育っているのがわかります。
妊娠8~11週になると、つわりなどの「妊娠初期症状」が出はじめます。つわりがつらいときは深刻に考えすぎないようにしましょう。食べたいものを食べられる量だけ食べること。胸焼けやむかつきを感じるときは消化のよいものを少しずつ食べましょう。
嘔吐や便秘がひどいときは水分補給を忘れずに。つわりは12週~15週でだんだん治まって食欲も回復してきます。お腹も少しずつ大きくなり、妊娠前に着ていた服がきつくなったことに気づくのもこの時期です。
妊娠中期の体調・食事の特徴
妊娠16~27週までを「妊娠中期」といいます。この時期はホルモンバランスや体調が安定してきて、つわりもほとんど治まります。食事もおいしく味わえるようになりますが、つわりの反動でつい食べ過ぎてしまうのは注意したいところです。
塩分や糖分、脂肪分などのとり過ぎも禁物。1日3食の規則正しい食生活を守り、暴飲暴食は避けましょう。そして、お腹の赤ちゃんの健やかな成長のために、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどの必須栄養素を摂取しましょう。
また妊婦に多い貧血を防ぐために赤身の魚やあさりなど鉄分の多い食品も意識して摂るようにしてください。
妊娠初期に重要な栄養素・成分と食べ物
すでに述べたように妊娠初期はつわりで満足に食事ができない状態に陥りがちです。食べられる量はわずかでも必要な栄養素をバランス良く摂るようにしましょう。そこで、ここでは妊娠初期の妊婦にとって重要な栄養素と成分、食べ物について解説します。
たんぱく質
たんぱく質は体を構成する大切な栄養素のひとつ。お母さんの健康はもちろん赤ちゃんの発育にも欠かせません。タンパク質を多く含む食品としては肉や魚介類、卵、大豆製品、乳製品などがあります。1日3回の食事を工夫してバランス良く摂取しましょう。
葉酸
葉酸はビタミンB類の一種。遺伝子のDNAを合成したり赤血球を作ったりする働きがあります。妊娠初期の赤ちゃんは細胞分裂が進んで脳や神経が形成されます。その頃に葉酸を摂取することで、赤ちゃんの神経管の形成異常を低減させる効果があります。
鉄分
妊娠するとお腹の赤ちゃんを育てるために母体の血液が増えますが、赤血球の増加量は比例しません。そのため「妊娠水血症」という軽度の貧血状態になります。妊娠したら貧血予防に効果的な鉄分をしっかり摂取しましょう。
鉄分の多い食べ物には魚介類、大豆、緑黄色野菜などがあります。鉄分と合わせてビタミンCを摂取すると鉄分が吸収しやすくなります。
食物繊維
食物繊維は便秘の予防と改善に効果があります。食物繊維は麦や玄米、野菜や果物、きのこ、海藻類に多く含まれています。ただし食物繊維が豊富な食材は消化しにくく胃腸に負担がかかることも。つわりの時期に食べづらいときは加熱してやわらかくしましょう。
妊娠初期のおすすめ食べ物
妊娠初期におすすめの食べ物としては、カルシウムやタンパク質が豊富なヨーグルトや小魚、豆腐、納豆など。鉄分を多く含むあさりやほうれん草、食物繊維が豊富なきのこやリンゴ、バナナなどがおすすめです。
妊娠初期に食べては行けないもの・栄養素
妊娠すると母体には問題なくてもお腹の赤ちゃんに悪い影響を与える食べ物や成分があります。
生もの
寿司や刺身などの生魚や生肉、加熱殺菌していないナチュラルチーズなどは寄生虫や食中毒のリスクがあります。母体が菌やウイルス、寄生虫などに感染してしまうと赤ちゃんの発達障害や流死産を招くことも。妊娠したら生ものは口にしないようにしましょう。
また調理してから時間を経過したものは、食べる前に必ず火を通すこと。妊娠すると母体の免疫が低下することや、安易に薬を服用できなくなることを忘れないでください。
アルコール
アルコールは妊娠中に最も避けるべき成分のひとつ。妊婦の飲酒は量を問わず、お腹の赤ちゃんの低体重や顔の奇形、脳の障害を引き起こす可能性があります。これらは「胎児性アルコール症候群」といわれ、治療法がありません。
妊娠中または妊娠の可能性がある女性は断酒を徹底してください。もちろん授乳期間中の飲酒も厳禁です。
ヒ素
ヒ素は人体に極めて有害な物質ですが、多くの食品には微量ながら天然のヒ素が含まれています。近年、ヒジキにヒ素が含まれるとして問題視されましたが、ヒジキのヒ素は水溶性の無機ヒ素なので、調理するときにしっかり水洗いすれば取り除くことが可能です。
ヒジキは栄養豊富な食べ物です。ヒ素には神経質にならず適量のヒジキを摂取して栄養バランスを整えましょう。
水銀
水銀もまたお腹の赤ちゃんに悪い影響を及ぼす物質です。厚生労働省が発表した「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」によると、マグロ、キンメダイ、メカジキなどの魚類は食物連鎖で水銀を多く含む場合があります。
これらの魚は絶対に食べてはいけない、というわけではありません。極端に多く食べたり、継続して大量に食べ続けたりしなければ問題ありません。魚もまた栄養豊富な食べ物です。偏食せずにバランスよく摂るようにしましょう。
それでも気になる方はサンマやイワシ、サバといった水銀をあまり含まない魚を選ぶことをおすすめします。魚をいただくときは野菜や海藻類もたくさん摂って栄養バランスを整えてください。
まとめ
妊娠初期は赤ちゃんの体が形成される重要な時期。母体のほうもホルモンバランスの変化によって、つわりなどの症状が発生します。つわりがつらいときは深刻に考えすぎないこと。栄養バランスを考慮しながら食べられる量だけ食べましょう。
妊娠初期に重要な栄養素はたんぱく質や葉酸、鉄分、食物繊維など。逆に妊婦が食べてはいけないものは生魚や生肉、加熱殺菌していないナチュラルチーズ。アルコールも厳禁です。ヒ素や水銀も有害ですが、一般の食材に含まれる量は決して多くはありません。