たんぱく質の種類の解説 それぞれの特徴とは
この記事ではたんぱく質の種類とアミノ酸との関係について解説いたします。
タンパク質とは?
タンパク質は三大栄養素のうち1つであり、体の主要構成成分です。また、タンパク質は酵素、ホルモン、抗体などとして生命活動を維持しています。
体内のタンパク質には寿命があり、絶えず分解と生成を繰り返し、新陳代謝されています。タンパク質は動物から微生物に至る全ての生物に含まれています。
タンパク質とアミノ酸について
生命活動を維持するために必要なタンパク質は、多数のアミノ酸が結合してできています。タンパク質を構成するアミノ酸は20種類です。1つのタンパク質を作り出すためには、アミノ酸の種類、数、結合の順番が決められています。
もし、20種類のうち1つでもアミノ酸が欠けてしまうと、筋肉の合成や、ホルモン、血液、酵素、抗体など体を防御するための機構、生体内反応などに影響が出る可能性があります。そのため、タンパク質を食事からバランスよく摂取する必要があります。
食物として摂取されたタンパク質は、体内で一度アミノ酸に分解された後、再び自分の体に必要なタンパク質に合成されます。
タンパク質の種類と特徴について
タンパク質の栄養価は、タンパク質を構成するアミノ酸の種類と量によって決まり、主に「アミノ酸スコア」で表されます。「アミノ酸スコア」とは、人間にとって理想的なアミノ酸組成を100として、食品に含まれる9種類の必須アミノ酸の含有率をそれぞれ比較したときの最も不足しているアミノ酸の割合のことを言います。
一般的にアミノ酸スコアは、植物性タンパク質より動物性タンパク質の方が高くなっています。
アミノ酸スコアの低い食品でも、アミノ酸スコアの高い食品を組み合わせることによって不足するアミノ酸が補われ、アミノ酸のバランスが良くなります。
これを「タンパク質の補足効果」と言います。1回ごとの食事にできるだけ多くの種類の食品を組み合わせると、タンパク質の補足効果はより効率よく現れます。
動物性タンパク質
動物性タンパク質はアミノ酸スコアが高く、体内では合成できないか、または十分な量を合成できないものである9種類の「必須アミノ酸」を含んでいるというメリットがあります。
ただし、動物性タンパク質のとりすぎは動物性脂質のとりすぎにもつながるため、動物性タンパク質は総タンパク質の40〜50%で摂取するのが理想的です。
タンパク質が多く含まれる主な食品
肉類、魚類、卵、牛乳、乳製品
植物性タンパク質
植物性タンパク質を含む食品は、動物性の食品と比較してエネルギー量が抑えられるため、量をしっかりと食べることができ、満足感を得られ、減量中などでも食事を楽しみやすいと考えられます。しかし、植物性タンパク質だけでは必須アミノ酸をすべて賄うことができないので、それだけで健康を維持することは不可能といえます。
タンパク質が多く含まれる主な食品
大豆、大豆の加工品(豆腐や納豆など)
食材別のタンパク質について解説
さまざまな食材にタンパク質が含まれています。そこで、それぞれ動物性タンパク質の肉類、魚類、卵、植物性タンパク質の大豆についてそれぞれ解説いたします。
動物性タンパク質:肉類
肉類の動物性タンパク質は、良質なタンパク質の指標であるアミノ酸スコアは最高値の100です。
肉類の動物性たんぱく質は、筋肉や血液を作るだけでなく、骨を作るメカニズムを促進し、ホルモンのバランスを整える効果もあります。また、血管をしなやかにして脳血管疾患を予防し、感染症に対する免疫力を高める作用もあるのです。
ではそれぞれ「牛肉」「豚肉」「鶏肉」にどれくらいのタンパク質が含まれているのかご説明いたします。
牛肉(100gあたり)
- 牛肩肉(赤肉)・・・20.2g
- 牛もも肉(赤肉)・・・21.3g
- 牛ヒレ肉(赤肉)・・・19.1g
「赤身肉」とは脂身が少ない部位の肉で、低カロリー、低脂質ですが、タンパク質は他の部位よりも多く含んでいます。同じ牛肉でも赤身肉のカロリーは半分以下、脂質は約5~6分の1、タンパク質は約1.5~2倍と大きな違いがあります。
豚肉(100gあたり)
- 豚ロース(赤肉)・・・22.7g
- 豚肩肉(赤肉)・・・20.9g
- 豚もも肉(赤肉)・・・22.1g
豚肉には「ビタミンB群」が豊富に含まれています。その中でもビタミンB1は疲労回復の決め手となるビタミンです。ビタミンB1は糖質の代謝に関係しているビタミンで、筋肉に溜まった疲労物質や乳酸を取り除いてくれるはたらきをしてくれます。ですから、豚肉は疲れが溜まっている人、激しい運動をする人などにはとてもおすすめです。
鶏肉(100gあたり)
- 鶏胸肉(皮なし)・・・24.4g
- 鶏もも肉(皮なし)・・・22.0g
- 鶏ささみ・・・23.9g
鶏肉は、皮ありと皮なしでは脂質の量が大きく変わります。脂質を抑えたい方は皮なしの鶏肉を選ぶのがおすすめです。また、牛肉や豚肉と比較すると低脂質・低カロリーであることも特徴です。体重が気になる方や、筋トレを頑張っている方、にとてもおすすめです。
動物性タンパク質:魚類
魚類の動物性タンパク質も、多くは肉類と同様良質なタンパク質の指標であるアミノ酸スコアは最高値の100であり大変良質なタンパク質です。
また、肉類に比べ「すじ」の部分が少ないため消化しやすいという特徴があります。ですから、赤ちゃんからお年寄りの方まで幅広い年齢の方に無理なく摂取できるタンパク質です。
またタンパク質の代謝を手助けするのが「ビタミンB6」と「ビタミンC」です。マグロやカツオなどの赤身魚に多く含まれています。タンパク質の代謝を意識した食品選びもタンパク質を摂取するうえで重要になってきます。
動物性タンパク質:卵
卵の動物性タンパク質の良質なタンパク質の指標であるアミノ酸スコアは、肉類・魚類と同様最高値である100の良質なタンパク質です。
また卵には、含硫アミノ酸が特に多く含まれており、卵白のみならず卵黄にもタンパク質が多く含まれているのが特徴です。卵1個で約7gのタンパク質を摂取することができ、2個で成人が一日に必要な量の30%以上を摂取することが可能です。
植物性タンパク質:大豆
大豆の植物性タンパク質の良質なタンパク質の指標であるアミノ酸スコアは肉類・魚類と同じく最高値の100です。また体内での合成が難しい必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。
あわせて、大豆のタンパク質は消化吸収率も大変よいということがわかっています。100gあたりに含まれているタンパク質の量は国産大豆(乾)で33.8gで良質なタンパク質を多く含んでおり、「畑の肉」と呼ばれる理由です。
最近では、大豆タンパク質の約半分を占める成分である「グリシニン」の結成コレステロール低下作用が認められて、特定保健用食品の関与成分としても認められています。
大豆以外で植物性タンパク質がとれる食品とは
ブロッコリー
ブロッコリーの植物性タンパク質のアミノ酸スコアは80です。他の野菜に比べると高い値であり、良質なタンパク質を含んでいるといえます。ブロッコリー100gあたりに含まれているタンパク質の量は、生ですと4.3g、茹でると3.5gです。肉類や魚類などに比べるとブロッコリーに含まれているタンパク質の量は少ないですが、「タンパク質の補足効果」のことを考えると、バランスよくタンパク質を摂取するにはおすすめの食材です。また、ダイエット中で摂取カロリーを控えたい方にもブロッコリーですとカロリーが少ないままタンパク質を摂取することができます。
またブロッコリーにはタンパク質以外にも豊富な栄養が含まれています。茹でてしまうとタンパク質同様水溶性のビタミンは水に溶け出してしまいます。一番効率よくブロッコリーの栄養を保てるのが電子レンジでの加熱です。ブロッコリーの栄養を損なうことなく摂取したいという方は電子レンジでラップをかけて加熱する方法をお進めします。
アスパラガス
アスパラガスの植物性タンパク質のアミノ酸スコアは68です。普通サイズのアスパラガス1本に約1gのタンパク質が含まれています。アスパラガス100gあたりに含まれているタンパク質の量は、生ですと2.6g、茹でても2.6gです。アスパラガスのタンパク質は茹でても減らないのが特徴です。
ただし、長時間茹ですぎると、アスパラガスに含まれているルチンやビタミンなどの栄養素は水溶性ですので、溶け出してしまうので注意しましょう。なるべく栄養素が損なわれないためにも、1本そのままが、大きめのサイズにカットしてからサッと茹でるのがおすすめです。
とうもろこし
とうもろこしの植物性タンパク質のアミノ酸スコアは32です。とうもろこし100gあたりに含まれているタンパク質の量は、生ですと3.6g、茹でると3.5gです。茹でてもとうもろこしのタンパク質はあまり減ることはありません。
アミノ酸スコアは低いですが、他の食品と組み合わせることで「タンパク質の補足効果」を期待することができる食品です。また、とうもろこしの皮の一つ一つは不溶性の食物繊維である「セルロース」でできているのでお腹のスッキリ作用にもつながると言われています。
さらにとうもろこしには、たんぱく質をエネルギーに変える役割のある「ビタミンB6」という栄養素が肉類と同程度含まれています。ビタミンB6が不足すると、口内炎や貧血になりやすくなってしまいます。ですが、腸内細菌によって体の中でも作られるので一般的には不足しにくいといわれています。ビタミンB6はたんぱく質からエネルギーを産生したり、筋肉や血液などがつくられたりするときに働いている栄養素です。ですから、たんぱく質を多くとる人ほどビタミンB6をとる必要があります。
まとめ
タンパク質は私たちが生きていくための根底にある、最も大切な栄養素です。
タンパク質(Protein=プロティン)という言葉は、古代ギリシア語のProteios=プロティオスに由来します。その意味は「第一なるもの、主要なもの」という意味があります。古代ギリシア文明の時代から、タンパク質は私たちにとって最重要の栄養素であることが認識されていました。
動物性タンパク質と植物性タンパク質をバランスよく食事に取り入れて、豊かな生活を送れる体づくりを心がけましょう。
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