妊娠前に知っておきたい葉酸について!1日に必要な摂取量からお手軽レシピまで
「葉酸」は妊娠中に欠かせない栄養素の一つ…ということは知っている方も多いと思います。しかし、なぜ必要か、いつ頃から必要かということを知っていますか?妊婦さん向けの葉酸サプリがよく売られていますが、なるべくならサプリメントに頼りたくない、できれば食事で必要な分を摂りたい!という方も多いと思います。
ここでは葉酸の効果、必要な量を食事で摂るポイントを解説いたします。
なぜ葉酸が妊婦さんに必要なの?
葉酸は細胞を増殖させるのに必要なDNAの合成を促す栄養素。不足するとDNAの合成がうまくできず、先天性異常のリスクが高くなるとされています。厚生労働省では平成12年に赤ちゃんの二分脊椎症や無脳症など神経管閉鎖障害(日本では1万人に約3人の割合で発症)の発症のリスクを低減させるとして葉酸の積極的摂取を呼びかける通知を出しています。また葉酸は赤血球の形成を助ける働きを持ちます。不足することで貧血になることがあり、貧血予防として鉄と一緒に積極的に摂取してほしい栄養素です。平成12年に厚生労働省が「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」を発表しています。
食事、サプリメントで摂るメリット・デメリットって?
食事から摂るメリット
天然の葉酸、食事から葉酸を摂れれば余計な物を体の中に入れる必要がありません。サプリメントを摂る場合には葉酸やそのほかのビタミンと一緒に添加物も入っています。できることならば、今まで以上に体に入れるものは安心できるものを摂りたい時期。サプリメントではなく食事から摂りたいですね。サプリメントは手軽に栄養を摂れるメリットもありますが、体に吸収されやすいように作られているので、過剰摂取や副作用には注意が必要です。食事の場合にはそれだけで過剰になるといった心配はありません。葉酸の耐用上限量は900~1000μg。サプリメントと食事から摂った葉酸、気がつかないうちに上限以上の葉酸を摂ってしまうことも考えられます。
食事から摂るデメリット
食事から摂る葉酸は水・熱・光に弱い性質を持っています。効率よく体に吸収する為には保存や調理方法に気をつけなければいけません。また食事に限らずサプリメントでも、緑茶やダイエット茶に含まれるカテキンやカフェインは葉酸の吸収を阻害します。特に食事を摂る際の飲み物には向かないでしょう。
葉酸を効率よく摂るために
野菜に多く含まれる葉酸。厚生労働省の健康日本21でも目標とされている1日350gの野菜を食べるようにしましょう。葉酸は水に弱い性質の影響を受けないよう、さっと洗って食べるのがおすすめです。生で食べられる野菜は生で食べると葉酸の損失なく摂れます。買ったらすぐに冷蔵庫に入れて、早めに使い切り、光に当たることでの損失を抑えましょう。また、ビタミンB12を一緒に摂ることで吸収率がアップします。ビタミンB12はあさりやしじみ、牡蠣に多く含まれます。植物性食品には含まれない栄養素の為、動物性食品を控えている方は注意しましょう。
1日に必要な葉酸って?
厚生労働省では18~49歳の女性に1日240μg、妊娠中の女性に480μgの葉酸摂取を推奨しています。しかし妊娠6~7週目には赤ちゃんの神経管が形成され、妊娠に気がついた頃にはすでに神経管閉鎖症の予防にはなりません。神経管閉鎖症の予防には妊娠を考え始めた頃から積極的に葉酸の摂取が必要ということです。
では葉酸を多く含むとされる食品をどのぐらい摂るとどのぐらいの葉酸が摂れているのでしょう。わかりやすく1回の食事で食べる量あたりどのぐらいの葉酸が含まれるか示しました。また葉酸は水溶性ビタミンの為、茹でたときの損失があります。加熱して食べる食材については茹でたときの量を表示しました。
- ブロッコリー(ゆで) 60g(約4房) 72μg
- ほうれん草(ゆで) 100g 110μg
- アボカド 100g(1/2個) 84μg
- 枝豆 50g(さやを含めた量・可食部25g) 78μg
- 小松菜(生) 60g(2株) 66μg
(ゆで) 60g(2株) 52μg - モロヘイヤ(ゆで) 50g 67μg
- 水菜(生) 30g 42μg
- いちご 75g(5粒) 68μg
- バナナ 100g(1本) 26μg
- 卵 55g(約1個) 24μg
- 納豆 1パック(45g) 54μg
- 焼きのり 1/4枚(1g) 19μg
- 無調整豆乳 1杯(200g) 56μg
- 鶏レバー (50g) 650μg
※レバーはビタミンAを多く含む食品です。食べ過ぎには注意しましょう。
葉酸を多く含む食品を並べてみると、一緒に妊娠中に必要な栄養素も一緒に摂れることがわかります。
レバーやほうれん草、小松菜、豆乳は鉄を多く含む食品です。ブロッコリーやいちごに含まれるビタミンCは非ヘム鉄と呼ばれる植物性の鉄の吸収を促します。小松菜、水菜、納豆、豆乳にはカルシウムが多く含まれます。
出典:厚生労働省 日本人の食事摂取基準、厚生労働省 健康日本21 栄養・食生活
手軽に摂れる葉酸レシピ
妊娠中は思うように体が動かず、手軽に食べられる食事で済ませたいですよね。手間をできるだけかけず、葉酸が摂れるレシピをご紹介します。
小松菜とバナナのスムージー
ミキサーに小松菜、バナナ、豆乳、はちみつを入れて撹拌するだけ。豆乳が苦手な方は牛乳に変えてもいいです。バナナを入れることで小松菜を多く入れても飲みやすくなります。バナナは糖質を多く含み、スムージーは体を冷やすので、飲みすぎには気をつけて下さいね。
ネバネバうどん
茹でたうどんの上にアボカド、茹でたモロヘイヤ、納豆、トマトをのせ、めんつゆをかけ焼きのりをちらします。モロヘイヤはオクラに変えても。わかめやめかぶをのせたり、キムチをのせて味を変えてもいいです。温泉卵をのせると更に葉酸が摂れ、おいしくいただけますよ。さらにアレンジして同じような具材でそばや丼ものにしても。1品でお手軽ランチにおすすめです。
枝豆ポタージュ
レンジで加熱した玉ねぎ、冷凍の枝豆、豆乳をミキサーで撹拌し、鍋に入れてコンソメ、塩、こしょうで味をととのえ、温めます。ポタージュと聞くと面倒なんじゃないか…?と思いがちですが、ミキサーさえあれば簡単にできますよ。体も温まり、ポタージュの優しい味で心もほっこりと落ち着くスープです。そのほかにもほうれん草やブロッコリー、小松菜のポタージュにしても。加熱したじゃがいもを入れるとじゃがいもの味が出てビタミンCも一緒に摂れますよ。
グリーンサラダ
アボカド、サニーレタス、水菜は食べやすい大きさに切ります。枝豆はさやから豆を取り出します。オリーブオイル、酢(もしくはレモン汁)、塩、こしょう、砂糖で作ったフレンチドレッシングと和えたり、ヨーグルトにオリーブオイル、塩、こしょうを混ぜたヨーグルトドレッシングや、マヨネーズ、オリーブオイル、酢、塩、こしょう、おろしにんにく、粉チーズで作ったシーザードレッシングをかけ、刻んだミックスナッツをふれば葉酸たっぷりのデリ風サラダになります。
生で葉酸を摂れ、体に効率よく吸収し、野菜は食べやすい大きさにしてドレッシングを作るだけなので、手間いらずです。
茹でたブロッコリーやじゃがいも、かぼちゃを加えると食べ応えもあり、ビタミンCやビタミンEも摂れますよ。蒸した鶏むね肉やささみを加えたり、卵を加えるとたんぱく質も摂れます。ささっとドレッシングを作れるようになると、冷蔵庫の中がドレッシングの瓶でいっぱいになることもなく、油の種類も選べるので是非覚えてほしいです。油はオリーブオイルやごま油、亜麻仁油など良質な油を選びましょう。
牡蠣とブロッコリーのレンジ蒸し
牡蠣は海水程度の塩水で優しく洗います。水菜、ブロッコリーは食べやすい大きさに切ります。耐熱皿に水菜をしき、その上に牡蠣、ブロッコリーをのせ軽く塩、酒をふり、ふんわりとラップをしてレンジで加熱します。
食べるときにポン酢しょうゆや大根おろしをのせていただきます。ポン酢しょうゆの代わりにレモン汁としょうゆ、加熱前にバターを添えて食べるときにしょうゆをかけても。牡蠣は妊娠中に必要な亜鉛や鉄、葉酸の吸収を促すビタミンB12が豊富です。数個でも十分な栄養が摂れるのも魅力的なところ。ブロッコリー、大根、レモン汁のビタミンCで亜鉛や鉄の吸収を促します。
水菜はキャベツ代えてもいいでしょう。ブロッコリーに加え、エリンギやしめじを加えるとカルシウムの吸収を助けるビタミンD、食物繊維が摂れ、満腹感も得られるので、おすすめです。妊娠中は生ものは控えた方がいいので、調理中の扱いにも注意し、十分に加熱しましょう。
間食には果物
レシピの紹介をしましたが、間食にはいちごやバナナ、キウイなどそのまま食べられる果物がおすすめです。さっと洗って生のまま食べられる果物は葉酸を効率よく摂れ、ビタミンも一緒に摂れる上に手間もかかりません。果物の摂りすぎは体を冷やし、糖質も多く含まれますので、適量にしましょう。
どんな食品に葉酸が多いのか…少し意識すると1日の推奨量が摂れそうですね。野菜に多く含まれる葉酸。葉酸を意識した食生活を送ると自然と食物繊維やその他のビタミン、ミネラルも摂れます。1日に必要な葉酸を毎日摂らないと!気を張りすぎず、買い物に行ったら少し意識して食材を手にしてみてくださいね。
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岡田みなみ・管理栄養士
シェアダイン料理家 みなみさん
フリーランスの管理栄養士として料理動画のレシピ開発や撮影を中心として活動中。
ガス会社にて料理教室企画・運営・アシスタント、料理イベントに携わる。その後家事・育児の傍ら保育園の栄養士として3年勤務し、管理栄養士を取得。
一児の母。毎週末に、平日の夕飯を作り置きしている。
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