
食べつわりとは 対処法と原因の解説
妊娠すると妊婦の体は刻一刻と変化していきます。妊娠による様々な体調変化の中で、多くの妊婦が経験するのがつわりです。つわりは妊娠によってホルモンバランスが変化し、その変化に母体が対応しきれないために起こるとされており、早い場合は月経が遅れたことに気づいた頃から始まる人もいると言われています。一般的に最も症状が辛いのは妊娠8週から11週ごろであり、15~16週になると落ち着いてくることが多いでしょう。その反面、つわりの辛さや種類、時期などは人によって様々で、症状に個人差が大きいのも特徴です。全妊婦の50~80%が経験すると言われているつわりは妊婦生活とは切り離せないものだと言えるでしょう。今回はそんなつわりの中のひとつ「食べつわり」について解説いたします。
食べつわりとは
吐き気がして食事が食べられなくなるイメージのあるつわりですが、食べないと気持ち悪くなるため食べ過ぎてしまうというタイプのつわりを「食べつわり」といいます。空腹を感じるとムカムカと気持ち悪くなってしまうので、常に何かを口に入れていないと落ち着かず、食事の摂取カロリーが増えてしまうのです。その結果、妊娠中の過度な体重増加を招いてしまい、妊婦・胎児ともに悪影響を及ぼしてしまうことがあります。食べすぎによる体重増加は妊娠高血圧症候群や巨大児、帝王切開のリスクを上昇させると指摘されています。そのため、食べつわりのある妊婦は食事のとり方を工夫し、妊娠中の体重増加をコントロールしていくことが必要になります。
食べつわりへの対応
食べつわりの方は空腹になると吐き気が起こるため、一日中何かしらの食べ物を摂取し続けている方もおられるかもしれません。しかし、食べたいものを食べたいだけ摂取するのは体重増加につながってしまうため控えなくてはなりません。食べつわりの方はいくつかの食事のポイントを押さえることによって少し症状を楽にすることができますので、紹介いたします。
食事を小分けにする
食べつわりの方は血糖値が低くなると気持ち悪くなりやすいといわれています。食事は小分けにして血糖値が下がらないように「ちょこちょこ食べ」をするようにしましょう。寝るときなども、起きてすぐつまめるものを枕元などに置いておくと、朝起きた時の吐き気にも対応できるので安心です。また、ちょこちょこ食べでは1日3回以上食事をしたり、その間に間食をしたりするため、1回あたりの食事量は減らすように心がけてください。例えば普段、朝から昼の間は朝食にご飯一杯を食べるところを、食べつわり中は量を3等分にして、朝6時→8時→10時のように食べてみましょう。最初は少し物足りなく感じるかもしれませんが、2時間後にまた食事が食べられるため食事と食事の間の空腹感は少なくて済みます。食べるもののおすすめとしては、一口サイズのおにぎりやグミ、クラッカー、クッキー、キャンデー、果物、スティック状にした野菜など、食べたいと感じた時にすぐに口に入れられるものが良いでしょう。
無理して重いものを食べない
食べつわりの方は1日に何回も食べ物を摂取しなくてはいけないため、どんなものを食べるかも重要になってきます。脂っこい食べ物や辛い食べ物、においの強い食べ物など、刺激の強いものはできるだけ避けた方が良いでしょう。人によって差がありますが、コーヒーや揚げ物など、特定の飲食物に強い嫌悪感を感じ、まったくこのようなものを食べられなくなる方もおられます。どうしても無理なものを無理してまで食べる必要はありません。食べられそうなものを少しずつゆっくりと摂取しましょう。しかし、妊娠してからこってりとした食べ物がむしょうに食べたくなってしまうこともよくあることです。妊娠中に脂肪や砂糖を含むもの(フライドポテトなどの揚げ物やケーキやチョコレートなどの甘いもの)を摂りすぎてしまうと、一日の摂取カロリーの総量が増加し、母体の体重増加につながります。
できるだけヘルシーなものを食べるように心がけてください。口の中をすっきりさせてくれるグレープフルーツやリンゴなどのフルーツやプチトマトなどはすぐに口に入れられ、水分も摂ることができます。また、こんにゃくゼリーなどはカロリーが低いですが食べた後の満足感があり、食物繊維も含まれていますので便秘対策にもなります。小さなおにぎりもおすすめですが、塩や梅干しなどを使う場合は塩分量にも注意してください。鮭おにぎりなど、具材を混ぜることでお米以外の栄養素も手軽に摂取できます。
空腹を紛らわす
一日何度も食事をとらないと気持ち悪くなってしまう食べつわり。できるだけいつでも口の中に食べ物を入れておきたいのではないでしょうか。間食として頻繁にお菓子を食べてしまうとカロリーオーバーも気になりますので、ガムを嚙むことをおすすめします。ガムなら小さくて持ち運びにも便利ですし、お仕事中や外にいるときでも他人の目を気にせず比較的口に入れやすいという利点もあります。また、ガムをよく噛むことによって満腹中枢が刺激されるので空腹になりにくく、つらい食べつわりを紛らわすことができるのです。つわり中は口の中が刺激される歯磨きがつらくなり、どうしても歯のケアが出来なくなってしまう方もおられますので、キシリトールのガムを選ぶと歯にもよく一石二鳥だと言えるでしょう。
また、口をすっきりさせ、空腹感を紛らわすのには水分を摂取するのも良いでしょう。無糖の炭酸水をよく冷やし、レモン汁やミントの葉などで清涼感をプラスすればさわやかな飲み心地になり、気持ち悪さも軽減されるのではないでしょうか。清涼飲料水は糖分や添加物が多いので控えてください。
まとめ
空腹になると吐き気を催してしまう食べつわりは、体重増加のリスクもありつらいものです。できるだけ食事を小分けにし、ちょこちょこと食べることにより空腹感を感じないようにすることが大切です。食べる内容にも注意が必要で、糖分の多いお菓子や脂っこいものは避け、できるだけヘルシーなものを摂取するように心がけてください。小さなおにぎりやフルーツ、野菜やゼリーなど、ヘルシーでも満足感の得られるものはたくさんあります。常に何かを口に入れておきたい場合はガムを噛んでみましょう。よく噛むことで満腹中枢が刺激され、空腹感を紛らわすことができます。また無糖の炭酸水なども口をすっきりさせてくれます。長い妊婦生活、食べつわりと上手に付き合って体重をコントロールしていきましょう。