
妊娠中に食べてはいけないものとは 理由も含め解説
この記事では妊娠中に食べてはいけないものを解説いたします。
妊娠中に食べるとお腹の赤ちゃんに悪い影響を与えてしまう食べ物があります。母体の健康と赤ちゃんのすこやかな成長のために注意すべき食べ物について知っておきましょう。
妊娠中のおすすめ食べ物は
妊娠初期はつわりで水さえも飲めなくなってしまうことも。つわりに苦しみながら「お腹の赤ちゃんのために何か食べないと」と思い詰めてしまう人も少なくありません。しかしつわりで無理に食べようとすると、かえって心身の負担となってしまいます。
つわりが苦しいときは決して無理をしないこと。飲食できる範囲内でバランスの良い栄養摂取と水分補給を心がけましょう。つわりが落ち着いてきたら、以下に紹介する栄養素とおすすめの食べ物を摂取してください。
たんぱく質を多く含む食べ物
たんぱく質は全ての生物にとって最も重要な栄養素のひとつ。筋肉や血液の主成分であり、骨の成長にも欠かせません。たんぱく質を多く含むおすすめの食べ物は肉や魚、卵、豆腐や納豆も含む大豆とその他の豆類、そして乳製品です。
大豆などの豆類は食物繊維が豊富で便秘予防にも効果があります。牛肉は脂肪分の少ない赤身がおすすめ。妊娠中に卵や乳製品を食べ続けると赤ちゃんがアレルギーになるという説もありますが、妊娠中の食事と赤ちゃんのアレルギーの関係は立証されていません。
野菜と果物
野菜と果物はビタミン類や各種ミネラル、食物繊維など重要な栄養素の宝庫。また小松菜やブロッコリーなどに含まれる葉酸も母体の健康と赤ちゃんの成長に欠かせません。野菜や果物は新鮮なものを調理するのがベストですが、妊娠中は料理がつらくなることも。
そんなときは冷凍食品や缶詰、ドライフルーツやジュースなどを遠慮せずに利用しましょう。注意してほしいのは妊娠すると血糖値が上がりやすくなること。ドライフルーツや果汁には糖分が多く含まれるので、血糖値が高めの人は飲食を控えてください。
牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品
乳製品はカルシウム、タンパク質、ミネラルなど必須栄養素をたくさん含んでいます。妊婦を悩ませる便秘を予防する効果も。ヨーグルトは無糖か低糖の低脂肪タイプがおすすめです。
妊娠中に食べては行けないものは
妊娠したらお母さんとお腹の中の赤ちゃんは一心同体。食生活も赤ちゃんの健康を第一に考えなければなりません。妊娠前は問題なく食べられるものでもお腹の赤ちゃんには良くない場合があります。ここでは妊娠中に食べてはいけないものを紹介します。
生もの
つわりが治まるとレアステーキや寿司や刺身をたくさん食べて栄養を補給したくなるかもしれません。しかし生ものや生に近い食材には寄生虫や食中毒のリスクも。たとえば牛や豚、鶏の生肉にはトキソプラズマという寄生虫が潜んでいる場合があります。
健康な成人であればトキソプラズマに感染してもほとんどの場合、無症状ですみますが、妊婦からお腹の赤ちゃんに感染すると流死産や水頭症、精神運動機能障害などの重大な悪影響を及ぼす場合があります。
妊娠中は生魚や生ハム、生煮えの肉や加熱殺菌していないナチュラルチーズ、スモークサーモンなどの食品は避けてください。またトキソプラズマは猫の排泄物にも潜んでいます。ガーデニングや家庭菜園で土に触れたあとは必ず手を洗って消毒しましょう。
妊娠中は免疫機能が低下することと、安易に薬を服用できないことを忘れないでください。
ビタミンAを多く含むもの
ビタミンAは皮膚や眼の健康を維持したり、鼻や喉の粘膜を強化して細菌やウイルスから体を守る効果がある大切な栄養素です。一方で妊娠中、特に妊娠初期に過剰摂取すると赤ちゃんの器官形成に悪影響を与える恐れもあります。
ビタミンAの摂取量は多すぎても少なすぎても良くありません。毎日の食事で適正な量を摂ることが大切です。ビタミンAが特に豊富なレバー類やウナギを食べ過ぎたり、ビタミンAを含むサプリメントを併用したりするのは控えましょう。
またニンジンやほうれん草などの緑黄色野菜に含まれるβカロテンも体内でビタミンAに変化します。ただしβカロテンはビタミンAが不足しているときだけ変化するため、過剰摂取の心配はありません。
βカロテンには抗酸化作用や、免疫力を高める効果もあります。緑黄色野菜は安心してどんどん食べてください。βカロテンは水に溶けにくく油に溶けやすい性質があるので、緑黄色野菜を油炒めにすると吸収力が高まります。
カフェイン
コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインもお腹の赤ちゃんには有害です。カフェインの摂取量が多いほど流産や死産の危険が高くなります。コーヒーは1日2~3杯まで。紅茶は4~6杯以内が目安。コーヒーや紅茶が好きな方はカフェインレスを選びましょう。
胃に負担がかかるもの
妊娠中はホルモンバランスが乱れたり、子宮が大きくなって胃腸を圧迫したりして消化機能が低下します。消化が悪いものや刺激の強いものは胃の負担になってしまうので、なるべく控えた方がよいでしょう。
消化が悪い食べ物としては、油脂類を多く含む天ぷらや揚げ物、きのこ、海草、ゴボウなど食物繊維の豊富な食材があげられます。もっとも脂肪は生き物のエネルギー源であり、細胞膜や脳の神経組織を形成する成分でもあります。
また食べ物に含まれる油脂には脂溶性ビタミンの吸収を助ける働きも。脂肪は「食べてはいけない」のではなく、「食べ過ぎてはいけない」もの。食物繊維も便秘予防だけでなく血糖値の上昇を抑制したり、腸内環境の改善に役立ったりするメリットがあります。
食物繊維が多いものを食べるとむかついたり胸焼けしたりする人は、柔らかくなるまで加熱したり、ミキサーで刻むなどして消化しやすいように調理しましょう。
最後に刺激が強い香辛料も、妊娠中は避けたほうがよいでしょう。激辛系のカレーやラーメンは舌がピリピリするだけでなく胃腸にも刺激が強く、胃もたれや腹痛、下痢などを起こす可能性があります。なお、わさびは特に問題はありません。
アルコール飲料
妊娠中のアルコールは厳禁です。妊婦がアルコールを摂取すると、お腹の赤ちゃんの低体重や形態異常、脳障害、知能障害などの「胎児性アルコール症候群」を引き起こす危険があります。この胎児性アルコール症候群には有効な治療法がありません。
アルコールがお腹の赤ちゃんに及ぼす悪影響の度合いは、妊娠の時期やアルコールの摂取量を問いません。妊娠したら「お酒や一滴も飲まない。アルコールを含むスイーツもぜったい食べない」ことを心に固く誓いましょう。
また料理に使う料理酒については、加熱してアルコールをしっかり飛ばせば問題ありません。ノンアルコール飲料も基本的に飲んでもだいじょうぶですが、中には糖分を多く含む製品も。妊娠中は糖分もなるべく控えることをおすすめします。
まとめ この記事のおさらい
妊娠すると食べた方が良いものと、だめなものがあります。おすすめの食べ物は肉や魚、豆腐、野菜類や乳製品など。だめなのは生ものやビタミンAを多く含むもの、そしてカフェインやアルコールを含む食品や飲料です。
妊娠すると消化能力が落ちるので、胃に負担がかかる食べ物もおすすめできません。