
妊娠中の食事制限はやめたほうがいい?妊娠期間の体重と食事についての解説
妊娠中は体形が変化したり体調がいつもと違ったりと、はじめて赤ちゃんを授かった人には不安なことがたくさんあることと思います。自分の体重や体形はほかの人と比べておかしくないか、どれくらい太ってもいいのか、運動は?ダイエットは?など知りたいことがいっぱいでしょう。
そこでこの記事では、妊娠中の体重や運動、ダイエットについて解説します。あわせて妊娠中の食事で気をつけたいポイントや、積極的に食べたいもの、食べないほうがよいものを紹介します。
妊娠中はどのようにして体重が変わる?(初期から~後期までの体形の変化)
妊娠すると、お母さんの体の中には赤ちゃん、そして赤ちゃんが育つために必要な胎盤、羊水、血液などが増えますから、お母さんの体重は増加します。体重が増えるのは当たり前だと分かってはいても、増え過ぎなんじゃないかと心配になる人も少なくないでしょう。
妊娠中に体重がどれくらい増えるのが適正かは、妊娠前の体格によって違ってきます。BMIが18.5未満(やせ型)の人は7~12kg程度、BMIが18.5以上~25.0未満(標準)の人は9~12kg程度、25.0以上(肥満)の人は個別対応となります。
妊娠初期はつわりもあり個人差がありますが、中期からはだいたい4週間に1~1.5kgくらいの体重増加を目安に考えるとよいでしょう。
妊娠初期の11週くらいまでは、外から見て分かるような体形の変化はありません。12~15週くらいになると、お腹が少しふくらみはじめます。このとき、赤ちゃんの体重はまだ100gくらいです。
妊娠中期になるとお腹のふくらみが目立ちはじめ、27週くらいにはあお向けが苦しいくらいになります。このときの赤ちゃんの体重は1,200gくらいになっています。
妊娠後期にはどんどんお腹がせり出してきます。出産間近の39週目には赤ちゃんはおおよそ3,000gくらいに育ちます。
赤ちゃんは3kg程度ですが、お母さんの体重増加はその重さだけではありません。増加する体重の内訳は次のようになっています。
- 赤ちゃん:およそ3kg
- 胎盤・羊水:およそ1.5kg
- 血液・水分:約2~3kg
- 乳房・子宮:約1~1.5kg
- 皮下脂肪など:約2.5~3kg
妊娠中の運動はどのくらい
妊娠中は意識をしないと運動不足になりがちです。妊娠中に運動をしていいの?と不安ななる人もいると思いますが、出産や産後の育児には体力が必要です。また、体重を調整するためにも軽い運動は行ったほうがよいでしょう。
妊娠初期は赤ちゃんの状態もお母さんの体調も不安定ですから、運動をはじめるのは妊娠中期になってからがベストです。特に妊娠してから新しく運動をはじめる人の場合は12週以降が推奨されています。
妊娠中に安全に運動するためには、注意したいことがいくつかあります。まず、ジャンプをしたり相手と接触するプレーを伴う激しい運動や、お腹を圧迫するような姿勢をとる運動は避けましょう。お腹があまり大きくないうちは自由に動けるので、知らず知らずのうちに無理な体勢をとってしまいがちなので気をつけましょう。お腹が大きくなりはじめてからは、仰向けの姿勢を長く続けるのもよくありません。
また、つらいと感じたり体調がおかしいなと思ったら、無理をして続けずにすぐに休憩をとるようにしましょう。真夏や真冬の気候が厳しい時期は室内でできる運動がおすすめです。
妊婦さんに向いているのは全身を使う軽めの有酸素運動です。おすすめのスポーツをいくつか紹介しましょう。
ウォーキング
ウォーキングは特別な準備も必要なく手軽に始められる運動です。日常の買い物に出かけるときなどに、意識して速足で歩く、少し遠回りをする、といった取り入れ方でもよいでしょう。
マタニティスイミング
スイミングは水の浮力を利用してできる運動なので、お腹が大きくなって体重が増えた妊婦さんでも体に大きな負担をかけることなく行える運動です。泳ぐのが苦手な人は、水中ウォーキングや水中エアロビクスを試してはいかがでしょうか。
マタニティヨガ
マタニティヨガは、体の健康だけでなく心のケアも期待できます。マタニティヨガは妊婦さんにも無理のないポーズでゆったりした動きで行いますので、運動に苦手意識がある人でも抵抗が少なくはじめられます。
妊娠中はダイエットしてもよい?
妊娠中のダイエットは、痩せるために行う普段のダイエットとは違います。体重が増え過ぎてしまった場合はダイエットを考えることになりますが、やり方には注意が必要です。
妊娠中は赤ちゃんの体重と赤ちゃんを育てるための胎盤、羊水、血液、脂肪などの重さで体重が増えます。妊娠すると体重が増えていくのはもちろん正常なことなのですが、体重が増え過ぎると身体にトラブルが起きやすくなりますので、適正体重の範囲にとどまるように心がける必要はあります。
そこでダイエット、となるわけですが、妊娠中のダイエットの目的は体重を今より減らすことではなく、太り過ぎないように調整することです。痩せるためでのダイエットとは違い、体重の増加を緩やかにするものと考えましょう。
妊娠中は食事を制限して栄養素が足りなくなるようなことがあってはなりません。糖質抜き、脂質抜きなどの極端なダイエットは避けましょう。
食事は食品の種類を減らすのではなく、油でいためるのをやめて茹でたり素焼きにする、といった調理法の工夫でカロリーを減らすことができます。また、おやつにお菓子を食べると糖分やカロリーのとり過ぎになるので、小腹がすいたとき用に小さいおにぎりを用意しておくと便利です。
妊娠中の食事で気をつけること
妊娠中の食事はバランスよく食べることを心がけましょう。どのくらい食べたらいいのか、食べてはいけないものはないか、と細かく気になるとは思いますが、たいていのものは食べ過ぎなければ問題にはなりません。
妊婦さんが特に意識してとったほうがよい栄養素は、葉酸、たんぱく質、カルシウム、食物繊維、鉄分などです。
妊娠中のおすすめ食べ物は
妊娠中は葉酸やカルシウム、鉄分などを積極的に補給したいものです。いつもの食事に少しプラスしたりおやつを置き換えることで必要な栄養素を上手にとり入れていきましょう。
たとえば、ヨーグルトにプルーンをプラスすればカルシウムと鉄分がとれますし、おやつをナッツと小魚にすればカルシウムや食物繊維が摂取できます。
妊娠中に食べてはいけないものは
妊娠中はバランスよく多くの栄養素をとることが大事ですが、食べるのを控えたほうがよいものもあります。
生肉やナチュラルチーズは菌に感染する可能性があるので妊娠中に食べてはいけません。また、生卵、生魚など火の通っていないものは、全般的に食中毒の恐れがあるため控えたほうがよいでしょう。
魚を食べるときは水銀にも注意です。食物連鎖の上にいる大きい魚には水銀が多く含まれているので、食べる頻度に気をつけましょう。メカジキやクロマグロは週に1回、ミナミマグロやマカジキは週に2回までが目安です。魚でもアジ、サケ、サバ、イワシ、ツナ缶などは特に食べる量に注意する必要はありません。
まとめ
妊娠すると、赤ちゃんの体重、胎盤、羊水、血液などの重さで体重が増えるのは自然なことで、標準体型の人で9~12kg程度が増加の目安とされています。あまり体重が増え過ぎるとトラブルになりやすいですが、体重が増えたからといって食事を制限して無理に痩せるダイエットをすると、必要な栄養が足りなくなってしまいます。バランスよく食べ、適度に運動することを心がけましょう。